ホリデイ : 映画評論・批評
2007年3月20日更新
2007年3月24日より日劇3ほかにてロードショー
この恋物語にはマジックがある
ビッグスター共演作なのに、肝心の主演スターの共演シーンがほとんどない。そんな作品は駄作と相場が決まっているが、これはその常識を覆す秀作ラブストーリー。なぜか? ホーム・エクスチェンジで休暇を過ごすキャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレットがなかなか顔を合わせなくても、彼女たちが休暇先で出会う“運命の相手”たちが、それだけで映画1本撮れそうな豪華な顔触れだからだ。
泣けない女と泣き虫女。対照的な2人のヒロインが、滞在先でそれぞれが運命の出逢いをするなんて設定からして、かなりベタ。でも、アイリスが夢心地になるゴージャスなハリウッド・ライフも、アマンダが旅先だからこそ仕掛ける後腐れのない関係(しかも、相手はジュード・ロウ)も、女心をくすぐりまくり。ジャック・ブラックの軽妙な映画音楽トークや、自分の人生を予告編風に客観視してしまうアマンダの職業病など、映画好きをニヤリとさせるスパイスも効いている。なにより、想定外の恋に戸惑う恋人たちのみならず、周囲の人々の想いの描き方も丁寧なら、会話も粋。誰もが思いがけず心が浮き立ってしまうあたり、この恋物語にはマジックがある! その秘密は、きっとコレ。やっぱり、人は“運命の出逢い”を夢見てる生き物だからよね。
(杉谷伸子)