劇場公開日 2007年3月17日

「ベタな題材だけど、分かっていても母ちゃん物はやはりグッとくる」キトキト! スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ベタな題材だけど、分かっていても母ちゃん物はやはりグッとくる

2017年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

まあよくあると言えばよくあるタイプの泣かせ系家族の物語でしたが、程好く笑えて程好く感動出来て、予想以上とまではいかなかったもののまずまずは楽しめた作品でした。
ところどころ粗削りな部分があったり、やや中だるみした部分もありはしたのですが、私も含めて母ちゃん物に弱い人は何だかんだでグッと来ちゃう作品だったのではないでしょうか。
露骨に泣かせに入るので、こう言うのダメな人は全く持ってダメなんでしょうけど・・・。
それと本作は富山を舞台にした作品でしたが、私も含めて地方出身者や地方在住者なら、どこかしらに共感ポイントはあった作品だったのではないでしょうか、学生時代に抱いた主人公の気持ち・・・何となく分かります、田舎って、若い頃は確実に一度は出て行きたくなりますよね・・・。

それにしても、周りからスーパー智子ちゃんと呼ばれるようなザ・肝っ玉母ちゃんを演じた大竹しのぶが、まあとにかくパワフルでホント嵌まり役でしたね。
でも、こんな母ちゃん、劇中のように思春期の頃ならやっぱりちょっと恥ずかしいって思いにもなりますよねぇ、普通の母ちゃんだって思春期の頃は一緒に行動するのがどことなく恥ずかしい気持ちになるものなのに、こんなパワフルな母ちゃんだったらもう・・・。
そんな母ちゃんの想いなんて、あの頃は当然分かるはずもなく・・・でも、歳を重ねた今なら分かる母ちゃんの想い、子供の為ならなんだってやる、そんなパワフルさに思わずグッと来てしまった作品でした。

母親って、いつも元気で、いつでも存在するものだと思ってしまいがちですが、でも当たり前ですがそんな訳はないんですよね。
出来るうちに、今のうちに親孝行しておこうと、ほんのり優しい気持ちになれた映画でしたよ、普段はなかなかそう思わないのですが・・・。
そう思わせてくれる大竹しのぶの繊細な演技がホント素晴らしかったなぁ、そして母ちゃんも女なんだなと、人間臭さを感じさせてくれるエピソードも現実的で良かったと思いました、光石研のさりげない存在感も相変わらず素晴らしい!

井川比佐志が演じた義理の祖父ちゃんのエピソードは、逆に現実的過ぎてちょっと・・・。
それと平山あやが演じた姉の話が、やや中途半端過ぎたかな、こんな中途半端なら主人公と母ちゃんだけの話にしてしまった方がむしろ良かったような。
それと主人公のホストの話も長すぎた印象でしょうか、全体的に詰め込み過ぎなんですよね、主人公の風俗嬢との恋も、どこか中途半端で・・・。
ただ、演じた石田卓也の都会に染まり切れない田舎の悪ガキ感は好きでした、この雰囲気で成り立った映画でもありましたよね、まあ全体的には粗削りでしたけど、程々にグッと来る家族の物語でした。

スペランカー