「整形て、文化のひとつなのだろうか」絶対の愛 こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)
整形て、文化のひとつなのだろうか
前半に出てくる「いつも同じ顔でつまらないでしょ」「人は皆おなじ」という台詞が物語の進行とともに、恐ろしく、虚しく思えてくる、ちょっと精神的なホラー映画を見ているような気分になってくる作品。
ただ、ちょっと登場人物がすべて自分勝手すぎるところが気になりました。ポテンシャルの高い映画をつくり続けているキム・ギドクにしては、今回はキャラクターの創り込みが甘い、という印象が残りました。キム・ギドクファンにとっては、ちょっと消化不良でしたねえ。
ただ、キム・ギドクらしい人間をぎりぎりまで追い詰めていく、凄みある演出は、今回も健在。見る者の心にぐさりと突き刺さるような衝撃を与えています。整形は顔は変えても、心は変えられない。人は心で繋がっていることを心底実感させられた、問題作だとは感じました。
私は、キム・ギドク映画の大ファン!。でも、この方の作品は、演出が強烈すぎて受け入れられない、という人も大勢います。ですから、なかなかおすすめするのは難しいのですが、この「絶対の愛」よりは前作、前々作の「弓」や「うつせみ」のほうが、内容は上でしたね。
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