劇場公開日 2007年2月10日

「ラストシーンに到っては、憎いのひと言です。」守護神 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラストシーンに到っては、憎いのひと言です。

2008年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 日本で大ヒットした『海猿』がハリウッドでリメイクされるという噂があったようです。でも、それとは関係なく『守護神』はハリウッドのオリジナル企画のようです。

 沿岸警備隊の鬼教官に鍛えられる若き訓練生の訓練風景となるとどうしてもかぶってくるものを感じますね。『海猿2』もなかなかの迫力で、最後のどんでん返しもあり日本映画としては頑張っている作品でした。けれどもそこはハリウッド。海難シーンのド迫力は比べものにはなりません。決死の救出シーンでは、命がけの撮影と思いきや、大型プールを使って、大時化のアラスカの海を再現しているそうで、それでもリアルティがすごいのです。

 この映画は、なんと言っても52歳を迎えるケヴィン・コスナーの男臭い演技に尽きますね。JFKを始め、アメリカンヒーローを演じる役柄が多かったですが、若い隊員に闘志を露わにしていく鬼教官役にまさに体当たりで演じています。
 彼に対峙するのが、アシュトン・カッチャー演じる天才スイマー。その圧倒的な自信と若さを前に、教官と激しく対立するのですが、単に反目し合うのでなく、ふたりの人生のエピソードを明かしながら、次第にその距離を縮めていくところがグッときますね。
その二人の会話の部分を、丁寧に描いているので分かりやすく、ラストの感動まで思い入れタップリ感傷に浸れました。

 アシュトン・カッチャーについては、私生活でバツ2熟女と添い遂げたり、弟の学費のために芸能界に入ったりと、ハンサムな上に役柄の天才スイマーの過去に似て、結構苦労人なんですね。そういうことを知っていると、彼にもチョット感情移入できるかもしれません。

 とにかくこの映画では、52歳のケヴィン・コスナーを起用しても、訓練シーンや救助シーンで嘘っぽさが全然感じませんでした。ボロを出していないのは、監督の演出がいいのかもしれませんね。ただ惜しむらくは、訓練シーンが、ちょっと長いような気がしました。

 ラストシーンに到っては、憎いのひと言です。チョット書くとネタバレになってしまいますので、アバウトに言いますが、見返りを求めないこころこそ「守護神」なんだなぁと思いました。ラストのラストで「守護神」のタイトルの意味が解って、感激ひとしおでありました。ハリウッド映画の厚みをタップリと堪能できる作品です。

流山の小地蔵