「有り得なくない?」バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
有り得なくない?
とにかく「バブル崩壊を食い止める」というテーマそのものがナンセンス。国民全てが浮かれていたなどという宣伝文句もナンセンス。「好景気だ」「株を買わない者はバカだ」と資本家のみならず、一般市民まで財テクに走り、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と褒めそやされて偉くなった気分になる人々。当時から冷めた目で見ていたおかげで、バブル時代にはひとつも感慨深いものはないし、バブル崩壊にしても当然のこととして受け止めていました。
個人的な話で恐縮ですけど、あの頃に好景気の恩恵などほとんど受けていないし、むしろ腹の立つことのほうが多かったくらいです。平成へと元号が変わり、消費税が導入されたおかげで仕事は忙しく残業だらけ。過剰受注、人手不足によって納期に苦しめられ、死にそうなほど忙しかったのに給料はほとんど上がらず、止む無く退職をした後に、新卒者の話を聞くと、自分が辞めたときの給料より初任給が高いことに驚かされたものです。初任給逆転現象なんてのも問題になった、そういう時代だった。おまけにNTT株の抽選にもはずれ、付き合っていた彼女も高級志向で財布はピーピー。あ、これはいつものことか・・・
そんなつまらないバブル期への郷愁を醸し出そうとするのは、これまたバブルの申し子のようなホイチョイ・プロダクション(監督はその中の馬場康夫という人物らしいけど、現おぼっちゃま首相は成蹊学園での同級生であるらしい)。なんだかバブリーな人たちがもう一度バブリーな日本を作りたがってるような内容でしたけど、痛い目に遭ってる人はこの映画をどのようにとらえるのかも興味あるところです。
1990年の「土地関連融資の抑制について」という発表がもしなければ・・・などという着眼点は面白いものの、それがなくてもバブル崩壊は必然的であったのだし、伊武雅刀が料亭に集めた外国人の正体だけが光るプロットだった。その本筋よりも面白いのが、阿部寛が何度も使う台詞「約束はしたけど、守るとは言ってない・・・」というところ。これがおぼっちゃまの前任首相が答弁した「公約は必ずしも守らなくてもいい」と妙に被ってしまう。これが風刺であるなら評価もできるのですが・・・
こんなことを言うとやばいかもしれませんが、タイムスリップ作品としては面白くないし、ヒロス○の演技だって相変わらずやばい。飯島愛への忠言にしたって、小説は売れたんだろうから言う必要のないこと。それよりも「裏ビデオ流出に注意したほうがいいわよ」くらい言ってやれよ!