テロリスト 幽閉者

劇場公開日:

テロリスト 幽閉者

解説

テロリストMは、ひとり独房へ入れられてしまう。様々な拷問に、Mの神経はすり減っていく。「略称・連続射殺魔」の足立正生、35年ぶりの監督作。この映画のモデルとなったのは、1972年”リッダ空港事件”の主犯のひとり、岡本公三。主演は、幅広い役を自在にこなす田口トモロヲ。

2006年製作/113分/日本
配給:スローラーナー
劇場公開日:2007年2月3日

ストーリー

空港襲撃作戦メンバーのM(田口トモロヲ)。林檎の木の下、ゲリラ基地の仲間たちと肩を抱き合い別れを告げる。Mは、仲間とともにオリオンの三ッ星になることを誓い、自爆攻撃を決行した。空港襲撃作戦は成功するが、Mの手榴弾だけが不発。仲間は自決し、この地獄の現実に、ひとりMだけが取り残されてしまう。捕らえられたMを保安隊員たちが襲う。死に損ねた悔しさに、死を望むMだが、保安情報部の中尉らはMを、精神的、肉体的に痛めつけ、次の作戦計画を吐かせようとしていた。『なぜだ! なぜ俺だけ生き残ってしまったんだ!』独房の中のMは、悔しさに叫び続ける。『殺せ、殺せ、殺してくれ!』軍事法廷にかけられるM。「弁護は不要、自ら死刑を望む」「俺たちは自爆してオリオンの三ッ星になるはずだった!」とMは叫ぶ。しかし、彼に下された判決は、無期刑。次の作戦計画を自供すれば、死を許すという保安隊員らの言葉を信じ、Mは、自白してしまう。そして、渡されたピストルをこめかみにつけ、Mは息を飲み、自決した二人の後を追おうとする。だが、そのピストルに、銃弾は込められていなかった…。俺はいつもすぐに信用してしまうんだ。自分の愚かさを責めるM。犬のように飼育され、人体実験の注射が繰り返される。独房、水攻め、糞尿地獄…。彼らは、それを“豚の飼育”と呼んだ。独房に次々と訪れるMの破壊者たち。破壊することを楽しむ彼らに、狂気を装って抵抗するM。ポツンポツン…と真っ暗な狭い箱の中で、水滴の拷問が繰り返される。それが、次第に脳をかち割る轟音となり、反復するリズムとともに、自分の原点、情けなかった少年時代の記憶がよみがえってくる。繰り返されるリズムとともに狂気に満ちていくMの前にあらわれるのは、宗教の導師、過去に幽閉された革命家たち、肖像人物(PANTA)、真面目屋(梶原譲二)、マフラー男(大久保鷹)の幻影。彼らはMに、“君は君自身だということ。”“自分の原点に還れ”と助言する。加速していく“豚の飼育”の中で、Mは、従順になることをおぼえる。マゾヒズムを装い、そして、実行する。果たして、それは本当にMの装いなのか、それとも…。Mは、自分が自分であることとは何か、この装いと繰り返す自問は俺自身の存在を確かめることなのか、自分をめぐる問いかけの中で、徐々に混乱していく。Mの独房には、痩せの囚人(山本浩司)が送り込まれ、Mの調教と観察をする。犬のように振舞うM。だが、狂気に満ちたMの前に出された林檎が、ひとすじの光をもたらす! 狂気と幻想の中で、Mは自問を繰り返す。だが、怒りと悔しさとともに、否応無く記憶は遠のいてゆく。そして、破壊されかけたMの精神と肉体は、ついに、本当の狂気へと足を踏み入れてゆく。ある時、檻の鍵が開けられていた。Mは、長い長い廊下を進み、一気に外の空気を求めて突き進む。気がつくと、Mの後ろには大勢の囚人たち。彼らとともに、精一杯走り続ける。歓喜に満ち、走り続けるM。だが、また牢屋の前に戻ってきてしまった。これは、隊員たちの企みなのか、それとも、Mの幻影だったのか……。

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