幸福な食卓のレビュー・感想・評価
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人生を変えた映画
まだ業界にいない頃に、原作を読み、1人しかお客さんがいなかった観客席に入り、その人の隣の隣に座った。
指定席だから少し気まずかったけど。
映画が終わって、その人に声を掛けた。
良かったですよね、ええ、すごくいい映画でした。
今は、この作品がきっかけで助監督の仕事をしています。
この仕事をするきっかけになった映画。
配信がなかったので、手元にもなく購入したDVDで鑑賞。
今になって初めて、大浦勉学くんの口癖が僕の口癖になっていたことに驚いた。
その時に買ったパンフレットには確か、
小松監督が勝地さんに、寅さんを観てから撮影に臨んでほしいというようなことを言っていた事が記載されていた。
思い出の映画は色褪せてなかった。
40歳になった今の歳で観て、うん、
すごくいい映画でした。
クリスティーヌとガブリエル。嗚呼、彼らの運命やいかに!
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」といういきなりの切り出しで始まるほどユニークな設定。毎朝、家族4人揃って食卓を囲むという暗黙のルールがあった中原家だったが、3年前に父親(羽場裕一)がリストカットしたときから家族の歯車が狂ってしまった。母親(石田ゆり子)もそれを機会に家を出て一人暮らしをはじめていたのです。そして主人公佐和子(北乃きい)は転校生・大浦勉学(勝地涼)によって振り回されることに・・・
家族の崩壊から再生への道と言われてますが、実際には崩壊していないように思えました。心の病を持った父親を常に温かく見つめる兄と佐和子が描かれていたし、母親にしてもちょっと離れて遠くから見つめなおしていただけのこと。言葉や態度には示さないけど、お互いに尊重しあっている家族の絆がスクリーンの裏側に見えるような気がするのです。さらに、見守っている母親、別居という状況ではあっても様子を見に来たり食事を用意してくれたりする。この石田ゆり子はまるで家族の守護神のようでした。
食卓というタイトル通り、数々の料理が映し出されましたが、中でも印象に残るのはソバ炒めの生クリーム和えだったでしょうか。シュークリームも美味しそうに見えるものの、卵の殻入りでは営業停止になりかねません。そのシュークリームを差し入れしてくれた小林ヨシコ(さくら)という女性の存在も、単に兄の片想い相手という立場ではなく、しっかりと外から見守ってくれる家族予備軍のような雰囲気だった。彼女がいなければ家族の歯車に潤滑油を注ぐ者も見当たらないほどキーパーソンとなっていて、ストーリーを輝かせてくれたと思います。
生きていくうえで大切なものは何?と問いかけてくれるような映画でもあり、常に前向きに生きている登場人物たちがみな輝いているようにも感じました。佐和子にとっては辛い出来事もあったけど、しっかりと繋がっている人たちがいる。ぶっきらぼうではあってもしっかり意見して支えてくれる人たちもいる。内側へ内側へと現実から逃避する『僕妹』を観た後だけに、対極的でもあるプラス志向のこの作品に感動しました。
ちなみに切磋琢磨も臥薪嘗胆も書けません・・・勿論大学受験なんて無理です。だけど、教員免許更新制度だけは止めてもらいたい!履歴書に書くんだから!!
cf.『おいしい家族』の台詞と似てる
普通と違う選択は真摯な気持ちの現れ
家族と少女と青春の物語。
重い要素もあるし、とっつきにくい冒頭シーンなど
人を選ぶのかもしれないが、刺さる人には刺さる作品だと思う。
北乃きいは、まだ拙いものの完璧に役にハマっていて、見事な存在感。
「父さん、父さんを辞めようと思う。」で始まる冒頭。
変化球な話かと思うが、ちょっと真面目に見てみると
たくさんの人の、見えにくいけど深い愛情が琴線に触れるストレートな内容。
家族のために父親を辞める、別居する
というような一見矛盾した選択を何故するのか。
そこに共感できると刺さる。
食卓の形は何かあるごとに変わるけど、
それは彼らが前に進もうと試行錯誤した証であり、
食卓を囲む彼らの気持ちは、前からずっと変わっていない。
家族のことを考える
普段あまり家族のことを考えないが、この映画を見て改めて家族はいいものだなあと感じた。ヨシコの佐和子に言った言葉で「家族はさ、作るのは大変だけどその分めったに無くならないからさ、あんたが努力しなくったってそう簡単に消えたりしないじゃん。だから安心して甘えたらいいと思う」というセリフがとても印象に残る。家族というものは、余計な事を言ったり、けんかしたりウザかったりするが、実は自分がとても悲劇に出会った時には甘えることのできる素晴らしいものであり、生きていくためにはとても必要なものだと思った。俳優陣がとても自然体で安心して見れた。中学生にもぜひ見せたい一作である。
積み重なる不幸
北乃きいデビュー作かぁ。。デビューにしてはかなりしっかりした演技。
幸福な食卓というタイトルには程遠い不幸具合。
主人公の女の子がこんな風につらい中、まっすぐ生きてくってすごいなぁ。。。でもそれがリアルな気がしました。
【美しい少女性】
扱う家族問題はかなりヘビーだが 決して重々しくせず、もう一つの要素である初々しい恋と同じ肌触りで描写される。 重過ぎない事で問題が縁遠いものに陥らず、身近で 共感・理解し易いものとなった。 また恋と同比重の描写とした事で 様々な諸関係との相対が少女の成長を形作る側面が強調され、全事象が「成長」とゆう作品根幹へ集約されてゆく。
その成長模様を私は[美しい少女性]と呼びたい。
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〜予てより私は「中学から高校へと成長・変遷する時期の少女達」に対して胸をもがれる様な想いを抱いてきた。
美しく、愉しげで、将来の希望に満ちた彼女達を見て、なぜ真逆とも言える切ない気持ちになるのか ずっと不思議に思っていた。
それはこの「少女期」が、女子から女性へと変遷してゆく人生の中で最も多くの喪失を経てゆく刹那-瞬間-だから〜なのかもしれない。 家庭…、従来集団である学校…、そして幼さ・無垢との永遠の訣別…。〜
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本来エンドロールとなる筈の主題歌シ-クエンスを敢えて本編とした事で その成長主題は最後にもう一度強く再認識されるのだ。 そこに映るのは極めてミニマム・些細だが[普遍的な美しい少女性]だ。
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《DVD観賞》
繊細な演技で魅せる北野きい。秀作です。
少し、青春チックと言えばそれまでだがこの作品、泣けます。
恋愛の一番純粋な時期に好きな人を失う。
このつらさを北野きいが素晴らしい演技で表現している。
この作品のテーマは家族の絆なんだろうが
この部分だけがすごく印象に残っていてインパクトありました。
なぜ、父親が自殺したのか?
兄の病気って?
なぜ、母は家を出たの?
つうか戻るくらいなら出るなよって突っ込み入れたくなりますが・・・。
まあ、ストーリー的には王道な物語ですが、
俳優と北野きいの演技力だけでこの映画は見事に
成立している。それをこの若さで見事にこなす女優。
彼女は今や若手では抜きんでた存在ですが
やはりこの若さでのこの演技は只者ではないです。
家族って結構ばらばらな現代に一石を投じたわけではない。
この映画は北野きいのシンデレラストリーと思えば
納得できる作品です。
北乃きいさんを初めて知った作品
予想以上の面白さ。
笑える面白さではなくて、
それは考えさせられる面白さ。
全体のぬるい感じも心地よい。
家族でもカップルでも楽しめ、
人それぞれ感想は違うのかな?と言った印象。
気になる作品で2回も鑑賞しちゃいました。
ただ、当時は北乃さんと、勝地さんが、同じ
事務所だったなんてことは知らなかったなぁ。
ちなみに、北乃さんは同作の出演後、
尊敬する役者として、勝地さんの名前を挙げるようになりました(笑顔)
愛の大切さを教えてくれる映画
この映画を観てもっと周りの人間を大切にしようと思った。
家族の大切さや、友達の大切さ、愛の大切さを改めて考えさせられる映画だなと思いました。
ただ何となく観てみたのですが、ここまで考えさせられるのはすごい事だと思います!
もし今、何かを悩んでいて元気が無い人や、自殺なんて考えている人がいるなら、その人たちにぜひぜひ観てもらいたい映画です!
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