「主人公家族は「より、いく、さき」だ」僕は妹に恋をする kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公家族は「より、いく、さき」だ
近親相姦はいけないことだとハッキリ言えない世代なのだろうか。それとも彼らはかつての皇族崇拝でもしていたのだろうか。法律で禁止されているのは婚姻だけだから、ハッキリ言えないだけなのだろうか・・・少なくとも楠友華(小松彩夏)だけはなんとなくイケナイことだと思っていたのだろうけど、彼女にしても矢野(平岡裕太)にしても横恋慕という形でしか行動できない悲しさ・・・そんな状況だったら「横溝正史の小説でも読みなさい」と言って『悪魔が来りて笛を吹く』あたりをそっと差し出すのも手かもしれません。
最初からナメてかかってしまいましたけど、映像的にはかなり満足のいく部分がありました。特に序盤の二段ベッドの下でキスするまでの長回し。そしてラスト近くのジャンケンおんぶの長回しです。台詞も少なめで松本潤と榮倉奈々の心理描写が見事でした。惜しいのは、楠が理科室でのキスシーンを目撃した後の「付き合って」と迫るところ。主人公側のたじろぐ心理は伝わってくるものの、楠の奥に潜む心理・・・たとえば、目撃したことによって脅迫するかのような心・・・があっさり描かれてしまいました。頼(松本潤)にしても、「秘密にしておきたい」「バレたらやばい」「俺たちゃサルか?」などといった心理部分が弱かったのではないでしょうか。なにしろその直後に矢野に告白したようだったし・・・
そんなドロドロした葛藤よりも双子の兄妹の純愛だけでいいんだという意図があったのかもしれませんけど、後半はだらだらと進みすぎました。「兄妹という禁断の恋であっても、愛し合ってるんだからいいじゃない」と思える方なら存分に共感して二人の世界に浸れるのでしょうけど、ストーリーそのものを楽しみたい人には退屈かもしれません。
アイドル俳優ばかりなのに、みんな良かった。特に平岡裕太なんて今までの映画で一番良かったかもしれません。ちなみに、原作者は青木琴美とおっしゃる方なのですが、ずっとAV女優だと勘違いしていました・・・