「眠ってしまったら殺される!まるで『エルム街の悪夢』のような怖さ。フ...」悪夢探偵 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
眠ってしまったら殺される!まるで『エルム街の悪夢』のような怖さ。フ...
眠ってしまったら殺される!まるで『エルム街の悪夢』のような怖さ。フレディにあたる恐怖の男は監督兼俳優の塚本晋也が演じている。火傷を負っていたり手が凶器になってたりするわけでもなく普通の人間なのに、この恐怖感は『HAZE』の続編じゃないかと思えるほどド迫力の音響効果によるものだろう。夢の中ではあちこちからけたたましい轟音が響く・・・何の音なのかもさっぱりわからない。この見えない音の恐怖が一層盛り立てているのです。
悪夢探偵と呼ばれている影沼(松田龍平)がヒーローとして活躍してくれるのならば安心して観ていられることもできたでしょう。しかし、なにしろ彼は自殺志願者だったり、他人の夢の中は怖いから入りたくないのだとも言う。そうした頼りなさがまた恐怖心を倍増する。ヒロインであるhitomiも警察ではキャリア組で実戦には弱そうだし、大杉漣の刑事も頼りないし、頼れそうな安藤政信は真っ先に殺されてしまうし・・・こうした全ての設定が観客をも絶望感に導いてくれるという徹底ぶりなのです。
ストーリーは単純ながらも、なぜ死にたいと一度でも思ったことのある者が狙われるのか。幼少時のトラウマが残る者や生きる勇気を失いかけたときに忍び寄る悪夢。人間本来の弱さを突いてくる恐怖に対していかにして立ち向かうのか。眠気も忍び寄ってくるのですが、色々と後から考えてしまうほど、ドライブ感たっぷりの塚本流ホラーを堪能いたしました。
映像も『六月の蛇』のようにブルーがかった夢の部分が印象に残るし、『ヴィタール』のようにグロいシーンも健在だった。欲を言えばきりがないけど、警察の描写や脚本は刑事ものを見慣れていると物足りないと感じるかもしれません。