酒井家のしあわせのレビュー・感想・評価
全2件を表示
勉強しまっせ、引越しの酒井家~♪
お盆に里帰りしたときにカニを食べるのはどうかと思いましたが、ユースケ・サンタマリアが笑い転げてくれたおかげで直ぐに忘れ去りました。大阪にある里はお母さん(友近)の実家で、お祖父ちゃんが笑福亭仁鶴という豪華な家族。突如相続問題なんかを話し出すものだから、つい「生活笑百科」を思い浮かべてしまいます。家族構成を対比しながら観ていると、とてもリアルに描いてあることもわかりました。
主人公はお母さんの連れ子である中2になる息子(森田直幸)。彼の目から見た新しいユースケお父さん像と、ほんのりとした淡い恋心。積極的な女の子・谷村美月を部屋に入れたシーンにはドキドキしてしまいます・・・男の子の部屋に入るのは初めてだったのか、海賊盤DVDを探していたのかわかりませんけど、黒い涙は流さずに白いアイスクリームを食べていたのが印象に残ります。
家族の崩壊と再生・・・またこのテーマなのか?と家族それぞれの心理を探りながら観ていると、突然、ユースケお父さんが家を出て行くという展開。「好きな人ができたから」「しかもその相手は女じゃなく男」というハリウッドライクな意外性で攻めてきます。またしても「ゲイのためなら~♪」と口ずさんでしまいそうになる映画かと思ったのですが、主役は思春期・第二反抗期を迎えている息子なので、観客としてもそう茶化すわけにはいかなくなりました・・・
終盤になると、なぜか号泣。家族それぞれが自分なりの愛情を抱いていたことがわかり、心が温かくなります。それにしても、関西弁のお母ちゃんは強い!「結婚するなら絶対に関西の女だ」と感じる関東の男性も増えるかもしれない。そんな映画でした。
三重県伊賀がロケ地であるせいか、ラストシーンにはとっくりのセーターで顔を隠すカットがあります。なんとなく○○美容整形外科のCMへのオマージュかとも思いましたけど、さすがに強い母ちゃんでも割礼まではしないようです・・・
"覆水盆に還らず"
“覆水盆に還らず”
少年の目線から見たじわじわと進む家庭崩壊は戸惑う事だらけ。
しかしその都度に画面から漂うユーモアのセンスに感心する。
監督は女性で、これが第一作らしいが生活感のある空間を作り上げては笑いに転換させており注目に値すると思う。
出演者全員が好演。ユースケ・サンタマリア等は本広作品の時の大根役者振りとは一変しているし、映画初出演の友近が何とも言えず良い雰囲気です。
更に実質的な主人公の森田直幸くんが『君といた道』以降、着実に成長しているのが実に逞しい。
これはお薦めしたいと思います。
(2006年12月27日アミューズCQN/シアター1)
全2件を表示