酒井家のしあわせのレビュー・感想・評価
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笑いとペーソス
2006年公開
今から18年前の作品
それゆえにみなさん若い
監督と脚本は『オカンの嫁入り』の呉美保
ほのぼのとしたホームドラマ
仄かなユーモアとペーソス
呉美保監督の魂が詰まっている
よくできてる
ベタすぎるきらいもあるが素敵な映画
舞台は三重県伊賀
城は伊賀上野城
場所は伊賀だが忍者の要素は全くない
「ニントカモニンニンデゴザル」と言う人は1人もいない
三重といえば愛知や岐阜の隣で東日本から出たことなんて一生に三度しかない者にとっては関西ではなく中部という認識だが言葉は関西弁
和歌山や京都にも隣接してるから無理もない
そんな背景もあり関西弁圏の地域出身の俳優でほぼ固めてる
福井も四国四県も関西弁だからOK
しかし伊賀市出身の俳優は知る限り出ていない
呉監督だけは伊賀市出身
どちらかと言えばあまり脚本を書かない呉監督だが舞台が関西弁圏となるとそうじゃないようだ
基本的に関西人は関西弁を喋らない人は東の人という認識があるようだ
ユースケサンタマリア演じる酒井正和は設定で東日本出身のようだがユースケの出身は大分
そういえばウンナンも上京し芸人になったが西日本出身なのに関東芸人扱いなされがち
熊本と香川の方が大阪よりよっぽど西なのに
主人公の次雄は難しい年頃
まっ40代50代になってもそういうおじさんはいるけど困ったものだ
クラスメートで幼馴染の筒井秋は次雄のことが好きなようで付き合いたくて積極的にアタックするものの肝心の相手は連れない
モテ期なのにそんな時に男の方が幼すぎて女にガツガツどころか素っ気ない
全くもってせつない
継父政和は早くに両親を亡くしている
妻照美の兄とその息子が親子喧嘩してるのを見て大笑いする変人
それでも良い父親良い夫を演じてきた正和は好きな人ができたと家を出る
相手は職場の後輩の麻田武!?
照美は子供2人を連れて大阪の実家の側に引っ越すという
正和は発見が遅すぎて末期癌で入院していた
両親を亡くしてることもあり前夫を交通事故で亡くし6年も悲嘆に暮れた妻に自分の病状を知らせたくなくホモだと下手な嘘をついたのだった
配役
照美の連れ子で中学生の酒井次雄に森田直幸
事故で夫と長男を亡くした次雄の母の酒井照美に友近
照美の2番目の夫で平野という小さな工務店に勤務している酒井正和にユースケ・サンタマリア
正和と照美の間に生まれた次雄の妹で園児の酒井光に鍋本凪々美
次雄と同じ中学に通う親友で同じくサッカー部に所属している田上一成に栗原卓也
一成の母で女手一つで息子を育てている喫茶店経営者の田上百合子に濱田マリ
正和の職場の後輩の麻田武に三浦誠己
照美の前夫の弟の菅原和吉に赤井英和
次雄の中学校の同級生で小学校も一緒だった筒井秋に谷村美月
次雄のクラスを担当する中学校教師で既に結婚しており妊娠中の藤田明美に本上まなみ
次雄一が通う中学校教師でサッカー部顧問の堤曜造に高知東生
息子とともに天ぷら屋を営む照美の父に笑福亭仁鶴
照美の母に山田スミ子
照美の兄に山田雅人
照美の兄嫁に水島かおり
照美の兄夫婦の息子で定職にはつかずに日雇い労働で働いているつとむに山本浩司
耳が遠く認知症の和吉の父に守田比呂也
和吉の知人に松永京子
百合子の知人のユキに洞口依子
とろけそうなくらいの暖かさ
勉強しまっせ、引越しの酒井家~♪
お盆に里帰りしたときにカニを食べるのはどうかと思いましたが、ユースケ・サンタマリアが笑い転げてくれたおかげで直ぐに忘れ去りました。大阪にある里はお母さん(友近)の実家で、お祖父ちゃんが笑福亭仁鶴という豪華な家族。突如相続問題なんかを話し出すものだから、つい「生活笑百科」を思い浮かべてしまいます。家族構成を対比しながら観ていると、とてもリアルに描いてあることもわかりました。
主人公はお母さんの連れ子である中2になる息子(森田直幸)。彼の目から見た新しいユースケお父さん像と、ほんのりとした淡い恋心。積極的な女の子・谷村美月を部屋に入れたシーンにはドキドキしてしまいます・・・男の子の部屋に入るのは初めてだったのか、海賊盤DVDを探していたのかわかりませんけど、黒い涙は流さずに白いアイスクリームを食べていたのが印象に残ります。
家族の崩壊と再生・・・またこのテーマなのか?と家族それぞれの心理を探りながら観ていると、突然、ユースケお父さんが家を出て行くという展開。「好きな人ができたから」「しかもその相手は女じゃなく男」というハリウッドライクな意外性で攻めてきます。またしても「ゲイのためなら~♪」と口ずさんでしまいそうになる映画かと思ったのですが、主役は思春期・第二反抗期を迎えている息子なので、観客としてもそう茶化すわけにはいかなくなりました・・・
終盤になると、なぜか号泣。家族それぞれが自分なりの愛情を抱いていたことがわかり、心が温かくなります。それにしても、関西弁のお母ちゃんは強い!「結婚するなら絶対に関西の女だ」と感じる関東の男性も増えるかもしれない。そんな映画でした。
三重県伊賀がロケ地であるせいか、ラストシーンにはとっくりのセーターで顔を隠すカットがあります。なんとなく○○美容整形外科のCMへのオマージュかとも思いましたけど、さすがに強い母ちゃんでも割礼まではしないようです・・・
あ・うん
"覆水盆に還らず"
“覆水盆に還らず”
少年の目線から見たじわじわと進む家庭崩壊は戸惑う事だらけ。
しかしその都度に画面から漂うユーモアのセンスに感心する。
監督は女性で、これが第一作らしいが生活感のある空間を作り上げては笑いに転換させており注目に値すると思う。
出演者全員が好演。ユースケ・サンタマリア等は本広作品の時の大根役者振りとは一変しているし、映画初出演の友近が何とも言えず良い雰囲気です。
更に実質的な主人公の森田直幸くんが『君といた道』以降、着実に成長しているのが実に逞しい。
これはお薦めしたいと思います。
(2006年12月27日アミューズCQN/シアター1)
家族と人生の歩み方
家族愛、夫婦愛。
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