「敗戦があって今の日本と私たちがある」出口のない海 ヨギニのわたしさんの映画レビュー(感想・評価)
敗戦があって今の日本と私たちがある
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明大野球部の名ピッチャー並木が、仲間に感化されて海軍に志願し、人間魚雷回天に乗るなる話。
並木は家族、友人、恋人に野球と青春真っ只中の生活から、急に特攻へ。
当時大学に通える人は限られていたはずで、そのレベルの人でも戦争(日本の負ける可能性や、戦争の意義)に何の疑問を持たずに海軍志願したり、特攻を請け負ってしまう無知さに驚きを隠せない。当時はそれだけ日本という国が幼かったのだと思う。
敗戦後日本は成長し、また情報社会の今、私たちは、「特攻以外の戦闘方法を考案する余裕もない状態での戦争参戦なんてあり得ない」と誰でもわかる。命より大切なものをなんてない。「敵を見たことがあるか?」という父のセリフにあるように、誰も自分の目で戦争意義について裏取りをしないなんてありえない。
選択肢の少ない当時、無駄死にだとわかっても、人間魚雷の存在を知ってもらう為に死ぬと理由づける並木少尉。本番1回目出番なしで引き返し、2回目故障で突撃できず引き返す。死ぬ覚悟を何回も繰り返すなんて、どんな精神状態だ!と切なくなった。
しかしながら、演習で浮上できず回天の中に閉じ込められて死ぬという最期も、かなり間抜けで別の意味でも切ない。実際、役目を果たせた回天はほんのひと握りだった模様。
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