バックダンサーズ!のレビュー・感想・評価
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舞台挨拶付き(人生3度目くらい)
「さみ~(寒い)デイビスJr.」と何気ないオヤジギャグに笑ってしまったあなたは70年代の音楽を語る資格があるのかもしれませんが、「爆弾サーズ」などとつまらないことを口走らないように注意しましょう。
ソニンの舞台挨拶付き上映。生ソニンは映画ほど肉付きが良い感じではありませんでしたが、「ソニンって誰?」というレベルの者が言うことですから信じないほうが懸命です。だいたいが、4人グループのうち、苗字がついているのが平山あやだけということを理解していないために、国際色豊かなダンスチームなんだと勘違いしていたのも反省しています。とにかく、今まで邦画の本格的なダンス映画は『Shall we ダンス?』しか知らなかったので、鮮明でダイナミックな映像には鈍った体の奥底からリズム感が甦ってきたような気分になりました。
ガーリームービーという流行に乗っただけの雰囲気もありましたが、主人公は社会人であり、浮き沈みの激しい芸能界における成功と挫折は実社会における現実と共通項が多いことから青春モノよりは感情移入しやすいかもしれません。特に子持ちの元キャバクラ嬢である巴(ソニン)のエピソードがとても良くて、前職のほうが稼げるかもしれないなどという天秤に惑わされることなくダンスを選ぶ気持ちが伝わってきました。元SPEEDのhiroもダンスや演技で他のメンバーを引っ張っていた雰囲気もよくわかり、しなやかな彼女に対して迫力のソニンを絡めたパフォーマンスは見事なものでした。
ボーカリストが抜けて後釜の歌手をすぐに売り出そうと事務所も躍起になるのですが、そのグループ名がスーパータイガースだったというのも安室奈美恵とスーパーモンキーズを意識したのでしょうか。とにかくエイベックス色が前面に出ていたので好みは分かれてしまうのでしょうけど、芸能界の裏側を垣間見ることができたような気もするし、オヤジバンドも活躍していたので好感度が上がりました。
オヤジバンドのボーカルは陣内孝則でしたが、ドラマーはなんと、つのだ☆ひろ!打ち上げ二次会のカラオケでは締めくくりに「メリー・ジェーン」を歌ったに違いありません。そして、そのカラオケ風景を覗き見て、変態写真を撮って楽しむのが田中要次であったと確信しています。そしてエンドロール後に樹里のその後を映し出してくれれば文句なしの映画でした。
私たちこのままじゃ悔しいの、何とかしてよ
映画「バックダンサーズ!」(永山耕三監督)から。
平山あやさん、hiroさん、ソニンさん、サエコさん主演で贈る
青春ダンス・ムービーには違いないが、
私がメモしたのは、彼女たちが夢と現実の狭間でもがいている姿。
「あたし、悔しい」「あたしも悔しい。本当に悔しい」
「茶野、悔しいの。私たちこのままじゃ悔しいの、何とかしてよ」
それまでが一所懸命じゃなかったとは言わないが、
この台詞を叫んでいる時「このままで終わりたくない」という
強いエネルギーみたいなものが、画面を通して伝わってきた。
今の若者は、すぐ諦めてしまったり、逆ギレしたり、
最後には投げ出してしまう、そんなイメージがあったが、
この台詞を口にした後から、彼女たちの顔つきが変わった気がする。
最近「悔しい」という台詞(音)を耳にしたことがなかったから、
とても新鮮に聴こえたのは事実である。
やはり人間の欲望を、とことん突き進めるのは、
自分の思うようにならない「悔しい」という感情なのかもしれないな。
陰で支える者への賛歌
自ブログより抜粋で。
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でも、基本的には旬の女性アイドルとダンスを堪能するためだけの薄っぺらいアイドルダンス映画、っていう印象。ただ、この映画、嫌いじゃないのよ。
なんでこの映画が理屈を超えて魅力的なのか考えてみたんだが、ひとつにダンス映画として、とにかくダンスで魅了するという軸が終始ぶれることなく、しかもそれに成功していることが大きい。一芸に秀でた映画とでも言おうか。
それに、添えられた隠し味も効いている。
実はこの映画、マネージャー・茶野ら脇役たちこそが真の主役と言ってもいい。そのことは『バックダンサーズ!』というタイトルには、陰で支える者への賛歌の意味があることからも自明だろう。
この映画は、バックダンサーズが成功していく物語であると同時に、陰で活躍する裏方たちが彼女らを成功へ導くサクセスストーリーでもあるのだ。
そう考えれば、バックダンサーズはことあるごとに「なんとかして!」とお願いするだけで、実際には茶野の奮闘記となっているのも合点がいくだろう。
そんな中でもこの浮世離れした成功物語映画をぐっと地に足がつくところまで引き寄せている一番の陰の立役者は、売れないオヤジバンド“スチールクレイジー”だ。
陣内孝則、つのだ☆ひろらが演じるこのバンドは、いうなれば伝説にまで登り詰めるバックダンサーズと表裏一体の存在。
浮き沈みの激しい音楽業界にあって売れなくても続けていくこと。そのことの大変さは多くを語らずとも想像に難くない。
本来の主役であるはずのバックダンサーズたちにはまるで生活感がないのに、このおじさんたちの口からは「またバイトしなきゃ」やら「バンド五つ掛け持ちしてる」といった生々しいセリフがぽんぽん飛び出す。しかし決してそこに悲壮感はない。好きなことをやり続けられる喜びに裏打ちされた悟りのようにあっけらかんと発せられる。これこそがこの映画の神髄なのだ。
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