「中盤までは良作」ゲド戦記 asukari-yさんの映画レビュー(感想・評価)
中盤までは良作
巨匠:宮崎駿監督の息子:吾郎が初めて監督したアニメ映画。鷹の子は鷹か?偉大なスタジオでいきなりの抜擢は荷が重すぎるのでは?いろんな思い、情報が錯綜し、劇場で見た思い出があります。そして今回、久々に鑑賞する機会があって、改めて見直すことに。すると、
思いのほか、今の世の中に通ずる発言が多いことに改めて気づきました
舞台は古代~中世の趣を感じさせる世界。人と竜は一つだったが、ある時を境に分裂し交わりがなかったが、最近になって姿を見せるように。それは世界の均衡が崩れているのではと感じたハイタカ(大賢人ゲド)は諸国を旅してまわっている。その過程で心に闇を持つ少年:アレンと出会う、てな感じです。
さて、今の世に通ずると思った箇所。それは序盤によく見られます。古代~中世にかけての趣ある世界観は、実は現代にも起こっているように思うのです。
反映している街の裏で見られる人身売買、詐欺まがいの商売、麻薬・・・。人間が欲望によって同じ種族を貶める世界や、傷があるものに対する偏見、差別、しかし自分の利益になることだとそれを隠す強かさ。また、世界は常に均衡を取ろうとし、それを人間が崩しているとハイタカは感づいてる。
今の我々の世界やん
この街、この世界は、“現実に起きていることの縮図”ではないかと思えるシーンの連続。改めてなかなか強いメッセージ性のある作品であったと思うんです。
しかし、問題は後半。物語が進むにつれて、ヒロインのテルーが名曲「テルーの唄」と披露するシーンまでは、かなり見ごたえがある。むしろピークはこの唄にあるんですが、逆に言えば、ここから展開が急に、雑になって言った感じが否めない。演出も淡白に感じ、なんかお決まり路線というか、すごく中身の薄い展開になったような気がしてしまうんですな。特にテルーが竜の化身なんて、どこにあった?
監督、疲れたのかな?息切れかな?と思ってしまうような性急さと雑さが、本作最大のマイナスポイント。ここさえうまく出来ていれば、良作やったのに。なにかと勿体ないなぁと感じる作品でありました。