M:i:III : インタビュー
イーサン・ハント率いるIMFチームの一員で、“美しき武器のエキスパート”ツェン役を演じたのは、モデルとして数々の有名雑誌の表紙を飾り、ジャッキー・チェンのもとで映画女優デビューを果たしたという経歴を持つマギー・Q。モデル時代に滞在した東京の話など、彼女の素顔に迫るインタビューをお届け。(聞き手:町山智浩)
マギー・Q インタビュー
「わたし獣医さんになりたかったんですよ(笑)」
──「M:i:III」に抜擢されたのは「レディ・ウェポン」で女殺し屋役を演じたから?
「(笑)。監督はあの映画を観てません。普通に送ったオーディション・テープを見て連絡してくれたんです」
──ハリウッド・スターになって、子供の頃の夢がかなった感じ?
「全然(笑)。わたし獣医さんになりたかったんですよ(笑)。うちは豊かじゃなかったんで子供の頃から、ウェイトレスや新聞配達をして働いてたんですけど、大学に入る前、友達から『あなたなら東京に行けば、モデルになれるわよ』って勧められて、学費を稼ぐために行ったんです。でも、帰る気がなくなっちゃって。ハワイに生まれ育ったわたしにとって東京みたいな大都会も、あんなに大きなお金をもらったのも生まれて初めてだったから。まだ17歳で、バカだったし(笑)」
──でも、日本は物価が高くて大変だったでしょ。
「六本木にモデルは何食べてもタダにしてくれるお店があったんですよ。アパートは乃木坂だったから六本木で酔っ払ってもタクシー使わないで歩いて帰れたし(笑)」
──日本でいちばん思い出深いことは?
「“プロとは何か”ということを教えられました。私は夏休みのバイトのつもりだったんで最初は仕事に遅刻したんですけど『プロ意識ない人はもう来なくていいよ』って言われて。時間を守ること、礼儀正しくすること、いつもベストでいることの大切さを学びました。その後、香港に行った後も、日本で学んだプロ意識は役に立ちました。特に香港で事務所の社長だったジャッキー・チェンさんは、京劇学校で育ったせいで非常に厳しい人だったから。たとえば、こうして空のドリンクのボトルをテーブルの上に置いておくでしょ? するとジャッキーはいちいち見つけて『マギー! ちゃんと片付けなさい!』って怒るんですよ(笑)」
──ジャッキーの事務所にどうして入ったんですか?
「香港に行ってCMのモデルとして人気歌手と共演したら『2人はデキてる』って芸能スキャンダルになって(笑)、それで私を知ったジャッキーが『君、女優にならないか?』って連絡してきたんです。最初は断りました。演技の経験がまるでなかったから。でも説得されて、気がついたらジャッキーにアクション修行させられてた(笑)。演技の勉強じゃなくて(笑)。クンフー、詠春拳、テコンドー、なんでもやらされて(マギーはガリガリのモデル体型のようだが、腕を上げると肩にはたくましい力コブが!)。香港映画ではキックは全部フルコンタクトだから、ひどい怪我もしました。今も痛むんですよ。爆破シーンも本物の爆弾をテストなしで爆発させるし(笑)」
──ハリウッド映画はCGだから安全でいいよね。でも、ジャッキーはそれが不満なんだよね。
「ハリウッドの悪口ばかり言ってましたね(笑)。それにハリウッドは分業主義で、他のスタッフに意見できないのが辛いって。ジャッキーはアクションだけじゃなくて脚本から撮影から何から何まで仕切るでしょ。誰よりも技術と経験があるから」
──そのへん、ジャッキーってトム・クルーズに似てない? 大スターで大プロデューサーで、黒のTシャツが好きだし(笑)。
「そう言われればそうね(笑)。スタントも自分で全部やるし、誰よりもたくさん働くし」
──そんな2人に育てられてあなたは本当にラッキーガールですね(笑)。次回作は?
「ニューヨークで今、ハリウッド製のコメディを撮ってます。『怒りの卓球』(笑)というコメディで、暗黒街の闇ピンポンの話(笑)。わたしのアクション・シーンが盛り沢山だから楽しみにしてください!」
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