明日に向って撃て!

ALLTIME BEST

劇場公開日:2022年10月21日

解説・あらすじ

西部開拓時代から20世紀初頭にかけて銀行や鉄道を襲撃した実在のアウトローをモデルに、彼らの自由奔放な生きざまをユーモラスかつシニカルに描き、アメリカン・ニューシネマを代表する作品として語り継がれる青春西部劇の傑作。

19世紀末のアメリカ西部。強盗団「壁の穴」を率いて銀行や鉄道を襲撃し、お尋ね者として知られるブッチ・キャシディと相棒のサンダンス・キッド。ある日、ボスの座を狙う手下のハーベイに決闘を挑まれたブッチは、卑怯な手を使って勝利する。さらに、ハーベイの考えた列車強盗を実行したものの、追われる身となった2人は、サンダンスの恋人エッタを伴い、南米ボリビアへ。彼らはここでも銀行強盗を繰り返し、逃避行を続けるが……。

主人公のブッチをポール・ニューマン、サンダンスをロバート・レッドフォードが演じた。2022年10月の「テアトル・クラシックス ACT.2 名優ポール・ニューマン特集 碧い瞳の反逆児」では、「明日に向かって撃て!」の邦題で上映。

1969年製作/110分/G/アメリカ
原題または英題:Butch Cassidy and the Sundance Kid
配給:東京テアトル
劇場公開日:2022年10月21日

その他の公開日:1970年2月21日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第42回 アカデミー賞(1970年)

受賞

脚本賞 ウィリアム・ゴールドマン
撮影賞 コンラッド・ホール
作曲賞(ミュージカルを除く) バート・バカラック
主題歌賞

ノミネート

作品賞  
監督賞 ジョージ・ロイ・ヒル
音響賞  

第27回 ゴールデングローブ賞(1970年)

受賞

最優秀作曲賞 バート・バカラック

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀脚本賞 ウィリアム・ゴールドマン
最優秀主題歌賞
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(C)1969 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画レビュー

5.0 バカラックの音楽こそが肝

2020年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

西部に新しい風が吹こうとしていた19世紀末、あいも変わらず銀行強盗に明け暮れるブッチとサンダンスにやがて訪れる惨めな最後を、まるで見透かすような淡い映像と洗練された音楽。終始付き纏う悲劇の予感が、それらを通して次第に観客の心を侵食していく。その快感ったらないのだ。だから、時が過ぎても映像アートの名品として長く愛され続けるわけだ。特に、フッテージを見ながら画面に旋律を付けていったというバート・バカラックの狂いのないメロディは、映画音楽史上最高の仕上がり。もし、それがなかったら、本作は青春西部劇の名編としてのみ記憶されただろう。まるで、音楽が映像を先導しているかのような錯覚に陥らせるアウトローへの鎮魂歌。ジョージ・ロイ・ヒルの名人芸的な演出、ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードの以来長く続いた友情の始まり、控えめで美しいキャサリン・ロス、等々、味わい方は色々あるけれど、やっぱり音楽の魅力こそが本作の肝。公開後何年経っても、否、時が経つほど、そのことを実感するのだ。

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清藤秀人

4.0 眩い映像、バカラックの音楽との組み合わせがもたらす新食感

2019年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アメリカン・ニュー・シネマを語る上でも欠かすことのできない一作。今はじめてこの作品に触れる世代も、一見正統派の西部劇のように見えて実はとてつもない新しいことをやってのけている本作に驚きを隠せないはずだ。

「この物語はほぼ実話に基づく」という字幕からスタートする本作は、冒頭にモノクロ映像が続き、かと思えば眩いばかりの陽光で満たされた、まるで遅れてやってきた青春のような映像が挟み込まれたりもする。とりわけ自転車で野原を滑走するシーンは、バート・バカラックの楽曲とのマッチングも含めて、まさに「新食感」と呼ぶべき境地だ。

本作で欠かすことのできないのは、やはりラストの暗転部分。印象的な静止画で終わるこのやり方は、レッドフォード主演作「コンドル」でも踏襲されていて、この時代の名作群がいかに「結末」ではなく、いかに「一瞬」を切り取って提示しようとしたかが分かる。折を見て何度でも鑑賞したい名作だ。

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牛津厚信

4.0 映像 × 音楽 × 役者の華 × 演出 = 傑作映画

2025年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

癒される

主題歌『雨にぬれても』。これだけでも、語り継がれる映画。
いつまでも聞いていたい。

DVDについていた監督のコメンタリーによると、この歌の歌詞がこの映画の主人公たちを表しているのだそうだ。
 歌詞だけ聞けば、救いのない世界。そんな歌詞に、あのようなメロディをつけるなんて!
 そして、その曲が流れるシーンをあのようにするなんて!

物語は、列車・銀行強盗の逃走劇。
 つい、この映画の数年前に公開されたという『俺たちに明日はない』と比べてしまうけれど。
 この映画の時代的には、まだ『西部劇』というくくりに入れることも可能だけれども。
 なんとも、見せ方・アレンジが全く違う。

「壁の穴」という盗賊団を率いるブッチ。
 その仲間たち、隠れ家の娼館の人々、鉱山主なども出てくるけれど、そのほとんどが、役名も確かではない人々。
 ほとんど、ブッチ・サンダンス・エッタの3人で話が進んでいく。
 正体が見えない追跡者。映像でもほとんど豆粒や、シルエットやカンテラの光で、その存在を示す。それが不気味過ぎて。逃げても、逃げても、巻いても、巻いても、ついてくる。ボリビアまでも!!!たくさんの映画を観た身であれば、追跡の手掛かりを、ブッチもサンダンスもばらまきまくっていると思うが、追跡者側の探索場面を見せないので、魔法でも使っているのか、この時代にGPSでも仕掛けているのかと思うほど。ブッチとサンダンスの焦りと困惑が手に取るように見えてくる。
 その中での掛け合い。不思議な三角関係。言葉だけを記せば、女を品物のように扱ったり、お互い罵倒しあったりしているのだが、絶妙な関係性をにじみだす。いつまでも、その掛け合いを見たくなる。

冒頭の無声映画。セピア色。光と影で見せる銀行リサーチ。ゾクゾク来る。

国立公園で撮影したという風景。伸びやかで美しくも、神々しい。
陽に透けた紅葉。
闇夜の中、近づいてくるカンテラの光。

写真で表した渡航生活。NYのシーンは予定していたセットが使えなかったゆえの苦肉の策だそうだが(監督のコメンタリーから)、かえって、物語にメリハリがついて、見ごたえがある。その享楽的なシーンの後の、ボリビアの風景。コメディ感あふれる展開。

USAの風景に比べると、ボリビア(撮影はメキシコ)は埃っぽいが、異国情緒あふれ、旅情を誘う。
斬撃のシーンも、その奥には山が神々しくすべてを見通しているように。

全体的にコメディチックな演出。たくさんの軍隊投入すら、やりすぎ感がコメディチックに見えてくる。

そして、有名なラスト。この流れだと、『俺たちに明日はない』の再演?といぶかしむと…。ああ、そう来るか!!!

そのような演出・映像・音楽に、役者の存在感が光る。
 知恵が廻り、用意周到にリサーチして計画を練るブッチ。軽口をたたいているようで、相手のことをうまく誘導している。そう説明すると神経質そうな切れ者をイメージしてしまうが、映画でのブッチは、おおらかで、楽天的で、何も考えていないようにすら見える。逃走劇なので、場当たり的な発想もあり、泣き言もあり、とても頼もしいとは言えない。それでも、どこかついていきたくなる人間味あふれたように演じるニューマンさん。
 対してサンダンスは即物的で激情型。考えることは全部ブッチ任せ。所見では、そんな男を背伸びしてレッドフォードさんが演じているようにも見えた。まだ売れる前に大抜擢。すでにスターだったニューマンさんのお相手。若者ありがちの、「俺だって」と粋がっているようにも。でも、何度も見直しているうちに、あの目が、様々なことにおもしろがっているいたずらっ子に見えてきて。かわいくってかわいくって。髭ずらなのに(笑)。この映画でブレイクするのもさもありなんと思ってしまう。
 その魅力あふれる二人に想われるエッタを演じるロスさん。絶妙な三角関係を成立させる立ち位置。見事。
 この3人が演じられたのではなかったら、ここまでの映画にはならなかったのではないだろうか。

強盗を主人公にした映画。
 コメディチックに仕上げ、主人公たちに思い入れできるように作っているが、実話ベースであるからか、筋だけ追えば、結構シビア。
 「自分のお金なら、貴方になら渡しますけれど」と金庫番に言われるブッチ。実話的にもそれなりに、人気者だったのだろうか。だが、仲間に裏切られそうになるシーンもある。大衆からもてはやされてという様なシーンは一切ない。
 「働けど、働けど」と石川啄木のような愚痴も…。「金遣いが荒い」とサンダンスに突っ込まれてもいるが。
 強盗はすれど「人を殺したことがない」というブッチ。初めて人を殺したのは…。なんたる皮肉。
 そして、ラスト。

それでも、これしかできなかった二人が、刹那的にも、その境遇の中で明日を信じて生きた生き様が哀れであり、心に残る。

≪追記≫
 ニューマンさんとレッドフォードさんの共演なので、つい『スティング』とも比べてしまう。役の中の関係性から、てっきり『スティング』⇒『明日に向かって撃て』だと思っていたが、逆だったのね。
 確かに、中身を見れば、即物的で激情型でひねりの無いサンダンスよりも、敵をひっかけるために交錯するフッカーの方が、より複雑な演技を要求される。
 ニューマンさんは、二つの役柄がまったく違い、どちらも魅力的。さすがです。

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とみいじょん

4.0 雨に濡れても

2025年10月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

音楽は言わずもがな、場面場面の色調が鮮やかで光を取り入れた画が映える。
その日暮らしでありながら明日を見続ける姿に哀愁さえ感じる。

スクリーンでも見てみたいと感じる作品。

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