悪い奴ほどよく眠るのレビュー・感想・評価
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バッドエンドの代表作である。 終盤で、これは主人公が死んでいると匂...
バッドエンドの代表作である。
終盤で、これは主人公が死んでいると匂わせる。
主人公は心を殺し日本の悪と戦う。悪の娘と結婚するが、娘は純粋な良人で、主人公は心の甘さ(良心)から つい居場所を教えてしまう。それを知った父(悪)は「主人公が危ないから、助ける為に」娘を騙し居場所を聞き出す。主人公の断末魔の無念の叫びも描かれない。ただ電車にぶつかった車の中で発見された話だけである。
「ああああああ確かに 確かに この映画は死んでる方が面白くなるなあ!でもでも面白くなくても 生きていてほしい!!」と願う僕がいる。
黒澤明にそんな願いが通じる訳がない。
興行収入が悪くなろうが、面白さ(映画の完成度)を無慈悲に優先する人だから、だから僕は敬愛するのだから、
《愕然》 黒澤プロの第一作が、こんな胸糞映画だったとは....
タイトルだけは知っていたけど、全くの初見。
1960年の黒澤作品は、戦慄のバッド・エンド。これはキツイ。フィルム・ノワールとして、今日的な過激な作品に慣れてしまった身からすれば、物足りなさも感じてしまうけど。このラストは衝撃的であり絶望的。
にしても思うのは。
暗黒社会に対する恐怖と同時に、憎悪を掻き立てるには、充分過ぎるほどの描写力であるわけです。黒澤明と言う映画史に残る巨匠の凄まじさを、まざまざと見せつけられた気分です。
復讐するには「悪」が足りない。悪を排除するには、それ以上の悪を行う覚悟が要る。って言うのでしょうか?
いやいや、それは違う、って信じてますけどね。
「夕べは一睡もしてないので」
⇒「悪い奴ほどよく眠る」の題字
つまりは、更に悪い奴が上に居るのだと示唆して終わる150分のモノクロ作品は、昭和35年の黒澤プロ設立の第一作。つまりは、黒澤明が、当時、一番描きたかったもの。
あれから60年。悪いヤツは多様化し、より巧妙になり、善人顔で甘言を弄し、我々の前に現われたりします。
それ以上の悪にならなければ、それを排除できない世界。それが現実なら、「それ以上に、巧妙に、善人顔で甘言を弄する」って言う手もありますね。
闇深き権力構造に挑む!
黒澤プロダクション第一回作品。
Blu-rayで鑑賞。
東宝から独立した黒澤明監督が、自身のプロダクション初製作作品に選んだ題材は、当時世間を賑わせていた大企業と国が絡んだ汚職の実態に迫る、という骨太な社会派路線でした。
描写はリアルでありながら、エンターテインメント性も忘れず…。蜥蜴の尻尾切りで自殺した父親の復讐のために行動する西幸一を主人公に、スリルとサスペンスが炸裂しました。
冒頭の披露宴シーンで、背景説明を分かりやすくスマートにやってのけたかと思えば、後は最後までノンストップ、息も吐かせぬハラハラ・ドキドキの展開に手に汗握りました。
悪を追い詰めるためには、自らも悪に染まるしかないのか。目的と手段の相克に苦悩しながらも、ジワジワと標的を追い詰めていく西。しかし、敵はあまりにも巨大でした。
闇深き権力構造に対して、個は無力なのか。正義を貫徹することが何故こんなにも困難なのか。苦い結末の後の「これでいいのか!」と云う怒りの叫びも虚しく響き渡るのみ…
決して表に出ることなく、利権を貪り、国民の血税を懐に納め、枕を高くして眠っている悪い奴には、指一本触れることさえ出来ないのか。今も昔も不変な黒い機構に戦慄しました。
※修正(2023/06/01)
黒澤監督の逸品
田中邦衛さんがヒットマン役で登場。
検事役の宮口さんは七人の侍と同様にクールな役どころ。
志村さんは悪役。
笠さんはこの作品では若かった。
藤原さんは隠し砦の三悪人同様に情けないオーバーな演技。
オールスターで揃えた凄い作品です。
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