「一つの想いが巨悪に挑む時!」悪い奴ほどよく眠る ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
一つの想いが巨悪に挑む時!
世界的に有名な黒澤明監督!とは言っても、自分の中では圧倒的に時代劇の監督というイメージが強い。勿論、色々な作品があるんだけど、普段自分が見るジャンルのものではないため、今まで眼にする機会がなかった。
最近BSで黒澤明監督の作品を続けて放送しているのを見かけて、先日「生きる」を録画して初めて見たんだけど、これがメチャ面白かった。
そんなわけで、本作品も何の情報もなく見てみる事にした。
いきなり、結婚式のシーンから始まる。あぁ、昔の結婚式ってこんな感じだったな〜と懐かしみながら見てたんだけど、何やら不穏な雰囲気が漂っていく。警察に連行される人も現れ、一気に引き込まれた。
新郎が三船敏郎さんだった。荒々しい侍のイメージしかなかったので、七三分けのスーツ姿は違和感でしかなかったが、これがなかなか野性味あふれているビジネスマンで馴染んできたから、ホンっと魅力的な役者さんです。
汚職事件に絡む復讐劇という感じで、早々に三船敏郎さんが正体を表し、なかなか見応えのある展開で楽しませてもらいました。
【ネタバレ】
ドキドキワクワク、巨悪に挑む三船さんがホンっと良かった。リベンジの為に悪に徹しようとするが、それができない。接触のために利用した娘を蔑ろにできない優しさが切ない。
時折、流れる軽快な音楽が、ドス黒い復讐計画を緩和してくれるようにも感じた。
ただ・・・
ラストがいただけない。九分九厘、確実視していたリベンジが最後の土壇場で崩れてしまった。
そのシーンは、説明と言う形で言葉で示されたため、最後の最後までわずかな期待を持っていたんたけど・・・
あっさりと″終″の文字が画面に映し出された。
えっ、このまま終わっちゃうの!何とも後味の悪い最後だった。
確かに、子供に見離された親は惨め以外の何ものでもなかったが、結局汚職事件も真の黒幕も明かされないまま。
如何にもな昭和的映像、そして昭和的な展開、結末って感じ。スッゴイ面白かったから、余計にこの終わり方で打ちのめされてしまった。