悪い奴ほどよく眠るのレビュー・感想・評価
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これでいいのか
加藤武が問う。実際に闘う者は身を削り葛藤しながら息絶える。森雅之の電話の相手は誰か。巨悪なるものが本当にあるか?眠っていられるのは自分自身ではないかとも思う。
西村晃の怪演もあって身元を明かすまでの展開は楽しい。主人公の苦悩と共に推進力は低下する。
現代も悪い奴ほどよく眠る‼️
この作品は黒澤プロの第一回作品と言う事ですが、記念すべき作品に政治汚職を描いた社会派の作品を選ぶところが、黒澤監督らしいし、スリルとサスペンス満点の演出で、凄く面白く出来ています。流行語大賞を獲れそうなタイトルも素晴らしい‼️
バッドエンドの代表作である。 終盤で、これは主人公が死んでいると匂...
バッドエンドの代表作である。
終盤で、これは主人公が死んでいると匂わせる。
主人公は心を殺し日本の悪と戦う。悪の娘と結婚するが、娘は純粋な良人で、主人公は心の甘さ(良心)から つい居場所を教えてしまう。それを知った父(悪)は「主人公が危ないから、助ける為に」娘を騙し居場所を聞き出す。主人公の断末魔の無念の叫びも描かれない。ただ電車にぶつかった車の中で発見された話だけである。
「ああああああ確かに 確かに この映画は死んでる方が面白くなるなあ!でもでも面白くなくても 生きていてほしい!!」と願う僕がいる。
黒澤明にそんな願いが通じる訳がない。
興行収入が悪くなろうが、面白さ(映画の完成度)を無慈悲に優先する人だから、だから僕は敬愛するのだから、
不可解な死…
先日、裁判で判決の出た森友文書改ざんによる職員自殺。
裁判で自殺と文書改ざんの問題に、因果関係は認められず…
豊田商事の永野会長殺害事件、ライブドアの幹部の謎の自殺に続く、不可解な死に
よって、また事件がうやむやになる…
これらの人の死によって、どれだけの政治家や権力者が救われたか…
巨匠・黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」によって、日本の闇部が描かれた。
それから50年以上経っても、この国の闇世界の構造は、何も変わらない…1歩どころか
1ミリも進歩しない。
最後に、若い物が「こんな事が許されて、いい物かっ!!!」と絶叫する者が、今も
多くいる事を願う………
《愕然》 黒澤プロの第一作が、こんな胸糞映画だったとは....
タイトルだけは知っていたけど、全くの初見。
1960年の黒澤作品は、戦慄のバッド・エンド。これはキツイ。フィルム・ノワールとして、今日的な過激な作品に慣れてしまった身からすれば、物足りなさも感じてしまうけど。このラストは衝撃的であり絶望的。
にしても思うのは。
暗黒社会に対する恐怖と同時に、憎悪を掻き立てるには、充分過ぎるほどの描写力であるわけです。黒澤明と言う映画史に残る巨匠の凄まじさを、まざまざと見せつけられた気分です。
復讐するには「悪」が足りない。悪を排除するには、それ以上の悪を行う覚悟が要る。って言うのでしょうか?
いやいや、それは違う、って信じてますけどね。
「夕べは一睡もしてないので」
⇒「悪い奴ほどよく眠る」の題字
つまりは、更に悪い奴が上に居るのだと示唆して終わる150分のモノクロ作品は、昭和35年の黒澤プロ設立の第一作。つまりは、黒澤明が、当時、一番描きたかったもの。
あれから60年。悪いヤツは多様化し、より巧妙になり、善人顔で甘言を弄し、我々の前に現われたりします。
それ以上の悪にならなければ、それを排除できない世界。それが現実なら、「それ以上に、巧妙に、善人顔で甘言を弄する」って言う手もありますね。
精巧緻密。日本人的で現代的。まさしく今にも当てはまる、ということは...
精巧緻密。日本人的で現代的。まさしく今にも当てはまる、ということは話の出来も相当ということ。長尺だけどこの程度はよくある、いやあったけど最近はもうない。人間がもう長尺に耐えられなくなってしまった。
闇深き権力構造に挑む!
黒澤プロダクション第一回作品。
Blu-rayで鑑賞。
東宝から独立した黒澤明監督が、自身のプロダクション初製作作品に選んだ題材は、当時世間を賑わせていた大企業と国が絡んだ汚職の実態に迫る、という骨太な社会派路線でした。
描写はリアルでありながら、エンターテインメント性も忘れず…。蜥蜴の尻尾切りで自殺した父親の復讐のために行動する西幸一を主人公に、スリルとサスペンスが炸裂しました。
冒頭の披露宴シーンで、背景説明を分かりやすくスマートにやってのけたかと思えば、後は最後までノンストップ、息も吐かせぬハラハラ・ドキドキの展開に手に汗握りました。
悪を追い詰めるためには、自らも悪に染まるしかないのか。目的と手段の相克に苦悩しながらも、ジワジワと標的を追い詰めていく西。しかし、敵はあまりにも巨大でした。
闇深き権力構造に対して、個は無力なのか。正義を貫徹することが何故こんなにも困難なのか。苦い結末の後の「これでいいのか!」と云う怒りの叫びも虚しく響き渡るのみ…
決して表に出ることなく、利権を貪り、国民の血税を懐に納め、枕を高くして眠っている悪い奴には、指一本触れることさえ出来ないのか。今も昔も不変な黒い機構に戦慄しました。
※修正(2023/06/01)
存分に堪能できるサスペンスの傑作です
傑作です
やはり黒澤明監督は物凄いです
副総裁役の森雅之の老け役が見事です
その上滲み出る酷薄さが超一流の悪役ぶりでした
三船敏郎は主人公でありながらしばらく台詞もなく、地味にしているので、登場しているにも係わらず気がつかないほど
野良犬の時のような若い風貌を真面目な秘書姿に押し込んでいますが、次第にらしさが輝き始めます
存分に堪能できるサスペンスの傑作です
・加藤武のこういう役柄が新鮮 ・ノイローゼのシーンで声を出して笑っ...
・加藤武のこういう役柄が新鮮
・ノイローゼのシーンで声を出して笑ってしまった。すごすぎる
・2人の子どもはどうするかと思ったけどまともな人間だったな
長すぎてだれる!!
長尺の上どのシーンも長くテンポが悪いです。冒頭の結婚式のシーンも長すぎます。黒澤作品はいつもタイトルは熱いのですが、中身はひたすら起伏に乏しい気がします。夜道に切り替わると、おっ暗殺パート来たかとなりますが、重要人物が誰もいない夜道を一人歩きしたり、官庁で一人居残っていたりするのでネタ映画になっています。10年前の第一次安倍内閣では松岡農相の不審死がありましたが、死体を見つけて一時間通報しなかったそうです。次の赤城農相の顔がボコボコになっていたり、農水官僚も次々と痴漢で逮捕されたので、これは農林中金を寄こせという脅迫によるものでしょう。経世会の政治家は次々に汚職が発覚したり殺害されたり病気にさせられました。昨年、加藤の乱で森喜朗に歯向かった加藤紘一が亡くなり、谷垣は自転車事故で半身不随となったので邪魔者はいなくなり、清和会は現在も安泰です。社会派のようで、下山事件の黒幕のGHQや現在でいうジャパンハンドラーズのような存在も出てこないし、中川昭一殺害を指示した世界銀行のロバート・ゼーリックみたいのが出てくればワクワクしましたが、リアルさに欠ける内容の映画でした。
黒澤監督の逸品
田中邦衛さんがヒットマン役で登場。
検事役の宮口さんは七人の侍と同様にクールな役どころ。
志村さんは悪役。
笠さんはこの作品では若かった。
藤原さんは隠し砦の三悪人同様に情けないオーバーな演技。
オールスターで揃えた凄い作品です。
世の中、こんなものだよね
9回裏、ツーアウト、ツーストライクからの逆転劇。しかも、さらりとジ・エンド。この不本意な余韻が、実に秀逸。
黒沢明・橋本忍を含めた5人の脚本家が悩みながら作った様が目に浮かぶ、優れた脚本だ。
黒沢明作品には、『七人の侍』など悪人VS 被害者といった図式が根本的にある。そして、勧善懲悪とはならず、世の中こんなものだよね、と感じさせる。その綺麗事で終わらせない姿勢が説得力があり、素晴らしい。
それにしても、藤原釜足はいい役者だね。
サスペンス映画の傑作
片刻も目が話せず151分があっという間。
主人公の三船敏郎をはさんで公団の課長補佐役の和田(白髪のメガネ)と
加藤武が天使と悪魔のように配置されたカット。
三船が天使の方を向きその話に従ってもうまくいく訳ではない。
理想主義者が喜びそうな展開にうんざりさせられるのか思いきや・・・。
政治サスペンス映画としても屈指の出来であります。
96点。
テンポよく展開して飽きさせない。2転3転する。ただ、画面からは空気...
テンポよく展開して飽きさせない。2転3転する。ただ、画面からは空気感のような緊張感があまり感じられない。これは最近の映画のような音楽や効果音を多用していないことではないかと思った。
その音を使わない代わりに、光や表情や態度の演技は迫り来るものがある。
この映画の三船敏郎はいい!
黒澤明の映画の中では「天国と地獄」同様、珍しいタイプなのかな?かなり前に見たのだがすごく面白く強く印象に残っている。でも彼女役が香川京子さんであるとか結婚式の場面で始まったというのは覚えていない。再度、見なくては!
どうしようもない気持ちになる
毎度黒澤作品はストーリーや前情報をなるべく入れずに見ているのですが、今回は復讐モノかと少し上がるテンション。復讐モノにありがちな「復讐なんてくだらないよ」的なメッセージはほぼほぼ皆無で、むしろある人物のその甘さがあの悲劇的な結末を招いていると言っていい。そしてその結末から僕たちが受け取るものは資本主義社会の暗部、大人の汚さ、数の暴力…ああ気持ち悪い。しかし黒澤監督のそういうものに対する怒りがラスト付近のある人物の慟哭に託されている。あれを聞いていると、紛れも無い悪に対する怒りや悲しみが湧き上がり混ざり合いどうしようもない気持ちになってくる。あれは名演でしょう。これと併映されたのが成瀬巳喜男監督の『秋立ちぬ』って心ズタボロになるわ!!どっちも名作!!
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