「究極のファム・ファタール」ロスト・ハイウェイ naokiさんの映画レビュー(感想・評価)
究極のファム・ファタール
飛び込んだ家に映写機から映し出されるブルーフィルム(ポルノ)、それは私の知っている女だった・・・このシチュエーションは「ゾンゲリア」でもあったなぁ(宣材チラシだけが怖かったホラー映画)
あちこちの映画館でデビッド・リンチ追悼上映が行われ、先日観た「マルホランド・ドライブ」で、すっかり舞い上がってしまった私でした。
いきおいに乗って、じゃ次は「ロスト・ハイウェイ」観ちゃう?
観る前に、この映画はガソリンスタンドで出会った女に車を盗まれる追っかけミステリーかと?!勝手に憶測してたら全然違っていた・・・
前半は、ちょっとウトウトしてしまい見逃してしまったシーンもありました。
正直つかみ所がなく退屈でしたが、ある場面を境に画面から目が離されなくなりました。まぁこのシーンは往年のハリウッド映画なら魔法使いが出てきて“お前の願い叶えてやろう”ボヨヨーン“あっ変わった!?”て入れるところなんですがリンチ監督は、あえてカット。観客は何々!?と画面に惹きつける事となります。
後半はマフィアのボスの女を寝取った事で組織から狙われる羽目になるわで、
また、その女にそそのかされ殺人にまで手を染めてしまい、まじヤバイよ!
私のトラウマ映画でもあるフリッツ・ラング「スカーレット・ストーリー」を
思い起こしヒリヒリハラハラもうマジ、そんじょそこらのホラー映画より怖かったです。この怖さはポランスキー「反撥(はんぱつ)」以来。両作品に通じるのは小道具である写真を、うまく使ってる。下手だったのはキューブリック「シャイニング」・・・これ、ただの記念写真だろ!
話はロス・ハイに戻って結局後半の展開は何だったの!?
この映画の展開に似ているロベール・アンリコ「ふくろうの河」もいいよね
(←観てないけど)
ゲリー・ビジーが良識あるお父さん役で出てたのは良かったです。
この映画は奇をてらったシーンは、ほとんど出てこなくて、
何度も出てくるホテルのルームナンバー・・・妻の浮気を疑う
男の苦悩に寄り添った映画でした。
ところで火災の逆回しシーンはノーラン「テネット」を予見してるのかな。