「ヒッチコックのアメリカ時代がここから始動」レベッカ(1940) ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒッチコックのアメリカ時代がここから始動
ヒッチコック監督のフィルモグラフィーの中で、本作ほど重要なターニングポイントとなった作品はない。というのも、これは彼がアメリカからの招聘を受けて初めて撮った記念すべき「アメリカ映画」だから。
序盤はコミカルなロマンス物を予感させ、身分の違う二人が惹かれあって開始30分で「結婚しよう!」と劇的展開を見せるさまに驚かされる。さらにそこから「ダウントン・アビー」ばりのお屋敷生活の中で用意周到に展開していくミステリーとサスペンスは、安心して身を委ねていられるほど重厚で高品質。なるほど、特定の人物に対し募っていく疑心暗鬼や(疑惑の影)、あるいは死んだ者の影響が身辺にずっとはびこってヒロインを得体の知れない運命へと導いていく(めまい)あたり、のちのヒッチコックの傑作に通じるエッセンスもひしひしと感じられる。ちなみに本作はこの年の作品賞オスカーを受賞。こうして彼のアメリカ時代は華々しく始まったのだ。
コメントする