「都会の闇に咲いた純愛」レオン 完全版 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
都会の闇に咲いた純愛
総合:90点
ストーリー: 85
キャスト: 100
演出: 90
ビジュアル: 75
音楽: 90
物語も悪くないですが、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマンの三人の演技力とそれを描く演出は特に優れている。
不幸な家庭に生まれたまだ幼いナタリー・ポートマンと、鉢植え以外に友人もいなくて読み書きすらできなくて、どう考えても幸せな家庭に生まれたはずがない孤独な殺し屋ジャン・レノ。たまたまポートマン一家を襲った不幸な事件から巡り合った二人。ひっそりと隠れながら暮らす二人の純愛がお互いを癒しあい助け合う。
レノが殺しをする一方で、二人でコスプレしながら物真似ショーをしたりする姿が微笑ましい。レノにとってはそれまで全くなかったような経験だろう。そうかと思えば、ホテルでレノとは親子の設定のはずだったポートマンが、「私、本当は彼の愛人なの」と上目遣いでフロントの支配人に言う場面の彼女はなんとも艶かしい。
そんな二人はもう何よりも大切な存在となる。待つ人、待ってくれる人、一緒に過ごす人がいる。この世界において、お互いこの人しか信頼でき愛する人はいないのだ。二人で過ごす時間の描写がそれを物語る。都会の闇にひっそりと咲く純愛とささやかな幸せである。
もう一人の主要人物である、ゲイリー・オールドマンの悪役ぶりがこれまた凄い。刑事のくせにさんざん悪いことをしまくりながら、さらに麻薬中毒らしくいきなりブチギレるのがその凶悪さぶりに拍車をかける。
レノを追い詰め全員をここに呼べと命令するときに
「全員って誰ですか?」
「ぜ・ん・い・んだーーーっ!(Eーーーーveryoneーー!)」
なんていきなり叫ぶ場面が鬼気迫るのである。オールドマンは憎たらしいタイプなんでちょっと役柄が違うが、ブラックレインの松田優作にも負けないくらいの悪役ぶりである。
とにかくそんな三人の演技力と、レノとポートマンの純愛の関係にやられました。最後のスティングの悲しげな曲も良かった。