「大人のような少女と子供のような殺し屋」レオン 完全版 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
大人のような少女と子供のような殺し屋
この作品の見所の一つは、マチルダのあやうさ、アンバランスさ。きっとナタリー・ポートマンが一歳若くても、一歳年上になっていてもこの作品は成立しなかったのではと思う。
そんな彼女に振り回されながら人間性を取り戻していく殺し屋を、ジャン・レノが緊迫感と戯けを織り交ぜながら見事に演じている。サングラスに隠された愛嬌たっぷりの目はとてもキュートだ。
そしてなんと言ってもゲイリー・オールドマン。怖さ、残忍さ、振れ幅の大きさ、不安定さ、色気、全てが渾然一体となったこの予測不能な壊れっぷり。緩みがちな雰囲気を、彼が一人で作品を引き締めている。
作中、「私は大人よ、あとは年を取るだけ」というマチルダにレオンが「俺は年を取ったが子供だ」と返すシーンがある。しかし、実際にはマチルダはどうしようもなく子供で、レオンは読み書きが出来なくても立派な大人だ。
マチルダの感情的で短絡的な行動は、結果としてレオンを絶体絶命の危機に追いやる。それでもレオンは、最後まで子供を守るという大人としての責任を果たす。更に、彼女の弟の仇であり、将来の障害となるであろうスタンフィールドを道連れにして果てる。
あと少しで明るい外に出られる所まで来た時の表情はとても印象的。あの明かりの先に、どんな光景を思い描いていたのだろうか。
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