「【父の遺産を得る事しか頭になかった愚かしき弟がサヴァン症候群の純粋な兄と共に旅をする中で学んだ事。弟の思考の成長を、サヴァン症候群の兄を演じたダスティン・ホフマンの見事な演技を通して描いた作品。】」レインマン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【父の遺産を得る事しか頭になかった愚かしき弟がサヴァン症候群の純粋な兄と共に旅をする中で学んだ事。弟の思考の成長を、サヴァン症候群の兄を演じたダスティン・ホフマンの見事な演技を通して描いた作品。】
ー 今作は、御存じの通り、サヴァン症候群の兄レイモンドを演じたダスティン・ホフマンの演技が絶賛された作品である。
自動車ディーラーのチャーリー(トム・クルーズ)は、幼い頃から憎んでいた父の訃報を受け葬儀に向かう。
遺産目的のチャーリーだったが、遺産300万ドルは見ず知らずの、サヴァン症候群(今作では、自閉症と言われている。)の兄・レイモンド(ダスティン・ホフマン)に渡ることを知る。
そこでチャーリーはレイモンドを勝手に施設から連れ出し…。ー
◆感想
・観る度に思うのであるが、チャーリーの身勝手過ぎる行為に、中盤まで苛苛しながら鑑賞してしまう作品である。
ー 彼は、意に添わなかった父親の遺産を得るために、レイモンドを勝手に施設から連れ出し、サヴァン症候群の中でも、数字に特別強いレイモンドの特性を利用しながら、ラスベガスで大金を稼ごうとする姿には、毎回違和感を感じる。ー
・だが、飛行機に乗る事、雨の日には外に出ない、高速に乗る事を嫌がる兄、レイモンドの要求を嫌々ながらも受け入れるチャーリーの姿勢。
そして、徐々に徐々に、繋がっていく兄弟の絆。
- それまで、我が道を行く我儘な男チャーリーが、”我慢する事を学び”人として成長して行く姿。-
<今作は、多くの方が書いている通り、ダスティン・ホフマンの名演技ありきの作品である。
彼の名演技が有り、その後、雨後の筍の様に公開された、サヴァン症候群を患う人物にフォーカスした映画の数々。
その意味では、今作はエポックメイキングな、位置づけにある作品である。
”チャーリーはボクのメインマン・・”と再後半に無表情で言ったレイモンドは、何処までチャーリーに心を開いていたのか・・。
だが、遺産を獲得することだけが目的だったチャーリーが、兄に対する愛情を徐々に、そして仄かに感じていく様を描いた今作は、チャーリーと言う男の、人間として純粋無垢な兄レイモンドと共に旅をする中で、成長する姿を描いている魅力的な作品なのである。>