「スタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。」ランボー 怒りの脱出 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
スタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。
アクション映画の不滅の金字塔『ランボー』シリーズが4Kレストア版となって40年ぶりに劇場上映。
早速、新宿ピカデリーさんへ。スケジュールの都合でまずは第2弾『怒りの脱出』(1985)から。
『ランボー/怒りの脱出』(1985)
本作が公開された1985年はアクション映画の当たり年、『ベスト・キッド』『ターミネーター』『コマンドー』『ロッキー4/炎の友情』と百花繚乱、そして本作以降ゴリゴリマッチョなアクション作品が『ダイ・ハード』(1988)公開されるまでレンタル店に激増しましたね。
今回見直してみると派手なアクションシーン以外にも脚本とテンポの良さが秀逸。
若きジェームズ・キャメロンがスタローンと共同執筆したことが近年話題に上がりますが、『ロッキー』でアカデミー脚本賞にもノミネートされたスタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。
本作も94分の短尺ですが、きちん伝えたいテーマを織り込みながら、ベトナム・ソ連軍および身内の敵(マードック司令官)の憎々しい設定やコー・バオのさらっだけど深みのあるラブシーン、一切の無駄セリフやカットがなく、だれずにラストまで高揚感を持続させてくれたのは実にお見事でした。
※本編中「俺は消耗品(エクスペンダブルズ)だ」というセリフには驚きましたね。
もちろんアクションも現在ではあまり見ることが出来ないノーCGのゴリゴリの肉弾・爆破アクションは逆に新鮮、アクションや武器の選択とラストに向けた積み上げかたも抜群ですね。
もうひとつ評価すべきはジェリー・ゴールドスミスの劇伴。
「ここぞ!」というサスペンスフルで緊張感あるシーンにタイミング良くかかるんですよね。
本作は1985年度のラジー賞にて4部門受賞しているようですが、いやいや40年経った今でもアクション映画としては最高傑作ですよ。