ランボー 怒りの脱出のレビュー・感想・評価
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カタルシス溢れる80年代アクションの傑作
何度もTVやビデオで観てるんだけど、劇場で観るのは初めてで、大迫力アクションてんこ盛りの痛快作でした。第一作は、あえて原作の結末を改変することで当時のベトナム帰還兵への差別を訴え大ヒット。今回は、未帰還兵救出をテーマに、ベトナムへの落とし前だけでなく自分達を消耗品扱いにした軍上層部への落とし前までつけてくれるわけで、当時アメリカで大ヒットしたのも納得です。そんなアメリカの事情とは関係なくこの作品が面白いのは、耐えに耐えた主人公の怒りが爆発して敵を粉砕するカタルシスが、万国共通だからだと思います。最近のアクション映画は、CGの技術展覧会みたいで、映像はきれいだけど燃えるものが少ないですね。役者では、スタローンの第一作に続いての紛れもない代表作で、鍛えあげた肉体で役柄と一体化しているようです。弾帯を左手に巻きつけ片手で重機関銃をバリバリ撃ちまくるラストは名シーンですね。紅一点のジュリア・ニクソンも強さと美しさが魅力的でした。脚本にジェームズ・キャメロンが参加しているだけに、サラ・コナーの路線を意識したのかも。
それでもやっぱり気になるアメリカの視線
アクション映画としての面白さは置いておくとして(それを置いといてはいけないのかも知れませんが)、やはりベトナム戦争の描き方が気になります。
ベトナム戦争で傷つき国家への恨みを募らせたランボーを再びベトナムに送るのに「まだ戦地にPOW(戦争捕虜)として捕らえられている兵士を助け出す」という動機が与えられます。その任務を際立たせる為には、「ベトナム兵は凡庸なのに残虐」という描写が必要となります。でも、本作ではベトナム兵には「悪」としての魅力すら与えられず、それを放つのはベトナム軍の上に立つソ連将校なのです。その結果、ベトナム兵はモブ(群衆)としての役割でしかなくなります。
また本作では、ランボーが信頼を置く嘗ての上官トラウトマン大佐に「間違った戦争だったが、国を憎むな」と語らせます。しかし、何が間違っていたのかは全く語られぬままでした。もしかして、「勝てない戦争に加わった戦略が間違っていた」と言うだけなのではないでしょうか。傲慢なアメリカの帝国主義的驕りが誤っていたとは思っていないのでしょう。
更に、POWを救出しようとするランボーはその過程でベトナム民間人と思われる村を焼く事になってしまいます。何の罪もないのにあの火で死んでしまうベトナム人は仕方ないのでしょうか。
などと、ベトナム戦争に対するアメリカ人の視線は、小さなことも妙に気になってしまうのでした。
手加減なし
2024年劇場鑑賞282本目。
よくよく考えてみるとランボーシリーズは全部観た気でいましたがこれだけ観てなかった・・・。昔このランボー2だけファミコンのゲームになっていて、わんぱっくというファミコンをモチーフにした漫画だけ載っている雑誌があり、そこに連載されていたファミ魂ウルフという野生児がファミコンの中に精神を同化させて入り込んでスーパープレイを見せるというむちゃくちゃな漫画の中でそのゲームをプレイしていたのでほぼ映画のあらすじを知った気でいましたが全然違ってたぜ!
前作は弱いと思っていた人をコケにしたらめちゃ強でしたみたいな感じで最終作と通ずるものがあったのですが、一応警官相手ということで死なないよう手加減して戦ってくれていました。今作はもうそんな遠慮する必要がないので後半はやりたい放題で最高でした。ストーリーはうっすいので満点つけるのははばかられますが、観たいものは観られた感じでした。
スタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。
アクション映画の不滅の金字塔『ランボー』シリーズが4Kレストア版となって40年ぶりに劇場上映。
早速、新宿ピカデリーさんへ。スケジュールの都合でまずは第2弾『怒りの脱出』(1985)から。
『ランボー/怒りの脱出』(1985)
本作が公開された1985年はアクション映画の当たり年、『ベスト・キッド』『ターミネーター』『コマンドー』『ロッキー4/炎の友情』と百花繚乱、そして本作以降ゴリゴリマッチョなアクション作品が『ダイ・ハード』(1988)公開されるまでレンタル店に激増しましたね。
今回見直してみると派手なアクションシーン以外にも脚本とテンポの良さが秀逸。
若きジェームズ・キャメロンがスタローンと共同執筆したことが近年話題に上がりますが、『ロッキー』でアカデミー脚本賞にもノミネートされたスタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。
本作も94分の短尺ですが、きちん伝えたいテーマを織り込みながら、ベトナム・ソ連軍および身内の敵(マードック司令官)の憎々しい設定やコー・バオのさらっだけど深みのあるラブシーン、一切の無駄セリフやカットがなく、だれずにラストまで高揚感を持続させてくれたのは実にお見事でした。
※本編中「俺は消耗品(エクスペンダブルズ)だ」というセリフには驚きましたね。
もちろんアクションも現在ではあまり見ることが出来ないノーCGのゴリゴリの肉弾・爆破アクションは逆に新鮮、アクションや武器の選択とラストに向けた積み上げかたも抜群ですね。
もうひとつ評価すべきはジェリー・ゴールドスミスの劇伴。
「ここぞ!」というサスペンスフルで緊張感あるシーンにタイミング良くかかるんですよね。
本作は1985年度のラジー賞にて4部門受賞しているようですが、いやいや40年経った今でもアクション映画としては最高傑作ですよ。
アサシン、アーチャー、バーサーカー
ランボートリロジー4K上映にて鑑賞。
初めは穏やかだった瞳も、戦闘に身を置くに従いどんどん怒りに染まっていく。その怒りは敵兵だけに向けているのではなく、自国にも戦争そのものにも向けている。
敵地で、一人で、ゲリラ戦をやってのけるのは恐ろしい。
面白いと思いますけど
大ヒットしたし、痛快で面白いのにトマトは評論家38%一般60%の低評価でした。
第一作は評価高いですが、やはりベトナムの病巣を厳しくえぐった点が支持されたんでしょうね。
今回はスタローン先輩らしいといえばらしい全編アクションの連続です。
ベトナムの悲劇も若干引きづってはいますが飽くまでもストーリー展開上の添加物、といった趣ですね。
ベトナム人を300万人殺しても、まだ飽きたらず虫ケラのように殺しま...
ベトナム人を300万人殺しても、まだ飽きたらず虫ケラのように殺しまくる。
アメリカ人の残虐性がよく分かる作品。
路線変更がとても残念だった
前作の『ランボー』が、ベトナム帰還兵の悲哀というか、一般生活に溶け込めずにアウトサイダーとして社会からつま弾きにされる男の、情念の爆発だったのに比べて、今回は特殊任務を帯びたスペシャリストとしての、ミッションチャレンジ・アクションに変わってしまい、その路線変更にかなりがっかりしたものだ。
とは言え、これはこれでド迫力の戦闘シーンをフィーチャーした娯楽アクション大作になっており、一人の殺人マシーンが敵を倒していく様には単純に興奮する。何も考えずに身を委ねるにはちょうどいい映画かもしれない。
この映画の成功によって『ロッキー』のシリーズにも大きく影響を与えた作品。ロッキーは貧しい移民の子供が、ボクシングでしか自分の存在価値を示せずに、恋しい彼女にも振り向いてもらえない男が、チャンピオンとの試合を通じて自分の可能性を実現したお話しだったのに、いつの間にかとんでもないモンスター相手にリングの上で対決する方向性に変わり、ボクシングの描写は置いて行かれた印象が強い。エンターテインメント路線にシフトしていったのだ。
人間ドラマから、アクション大作に路線変更して、映画は成功しても、もともとのシリーズのファンには少し寂しく受け取られたんじゃないだろうか。
自由と民主主義のアメリカは乱暴者に翻弄されるんじゃ
ベトコン(差別用語)とソ連っぽい白人からアメリカ人っぽい白人を解放する出鱈目なお話。
1985年のベトナムに南ベトナム解放民族戦線の旗が風になびいている。
1985年はベトナム戦争はアメリカの敗北で終結している。従って、ベトナム民主共和国は滅亡している。さて、ランボーを追う船に、はためく旗は南ベトナム解放民族戦線の旗。
ぎょぎょ!?
ソ連はアフガニスタン侵攻(1978年)の失敗で本国はペレストロイカの最中。ベトナムにソ連軍が駐留することがあっても、アメリカ相手に戦う事は絶対に無い。あったとすれば、ポル・ポトの残党相手や中国のはずだ。そして、本国のソ連にトドメを刺すのは、1986年のチェルノブイリ。1991年にソ連は崩壊する。
乱暴者の怒りを武器に、ベトナムに進行しなくとも、後一年まてば、誰一人命を落とすこと無く.ベトナムと友好関係をアメリカは結べたはずである。
さて、
せっかちな乱暴者はまだまだ怒り続ける。次はソ連があきらめたアフガニスタン相手に。アメリカは乱暴者に翻弄されると言う事さ。
ランボー、怒りのおバカ火力を大幅アップ!
シルベスタ・スタローン主演&脚本。
脚本協力にはあのジェイムズ・キャメロンも。
ラジー賞4部門獲得の大傑作アクション。
【ストーリー】
前作の騒動により服役していた主人公ジョン・ランボー(シルベスタ・スタローン)だが、トラウトマン大佐から特殊任務に従事すれば特赦の取引きを持ちかけられる。
作戦内容は、かつてランボーが脱出したベトナム国内のアメリカ人捕虜収容所証拠をつかむ事。
現地に赴いたランボーは、虐待をうける仲間の窮状にガマンできず、彼らを救出しようとするのだが……。
前作『ランボー』こと『First Blood』がシリアスな社会問題を描いたカントリーアクション映画なのは、シリーズのファンなら皆知っています。
そしてこの『ランボー2 怒りの脱出』の原題が『Rambo: First Blood Part Ⅱ』と、アメリカ本国では初めて主人公ランボーの名を冠した作品であることも。
同年にあの『ロッキー4』も上映されており、どちらも空前の大ヒットと、スタローンがエンタメ方向に全力疾走していた時代です。
初代の『ロッキー』や『ランボー』が持たざる者の悲しい姿を赤裸々に綴ったのに対して、この頃の作風は「おバカでもいい、筋肉と爆発を心ゆくまで楽しんでほしい」路線に切り替わっています。
だってこのランボーったら、小さな爆薬をつけた矢を撃ち込んでありえない威力の爆発させたり、ムキムキの上腕二頭筋腰をカッコよく見せるために狙いなんか知らんとばかりに腰だめでマシンガン撃ったり、滝壺でヘリをホバリングさせながら寝たふりをして敵を油断させたり、バカバカし……おっとうれしいツッコミどころ満載なんです。
もちろんちゃんと捕まって拷問もされますよ!
なんだこの売り文句!
スタローンが世に出た初期を「スタローンヒストリー:貧者の時代」とでも名付けるとすれば、こちらは「ホット☆ショット!の時代」とでもしておきましょうか。おっと命名の解説はしないぜ?
誤ってタリバンに捧げちゃった次作『怒りのアフガン』でそのおバカ傾向はメーターをふり切り、なんやかやで20年ほど当シリーズをほったらかしの宙ぶらりんな「クリフハンガーの時代」に至ります。
その間にスタローン自身の成功や失敗、スキャンダルやシャウエッセンのCM出演なんかの迷走もありました。
我に返って『最後の戦場』『ラストブラッド』でスプラッタ残虐アクション描写に振り切っちゃう『エクスペンダブルズの時代』へと突入します。
ええ、今なおエクスペンダブルズ期です。
1946年生まれ、御年77歳のスタローンですが、いつまでこんな全力疾走アクション俳優でいるんでしょう。
ライバルだったシュワルツネッガー76歳はアクションよりも枯れた演技を重視するスタイルになり、お金大好きブルース・ウィリス68歳は認知症に、メルギブ67歳もハリソン・フォード81歳もとっくにアクションはスタントマンに任せ、同世代のスターたちがどんどんアクション現場からドロップアウトしてゆく中、若手(若くない)トム・クルーズ61歳とのチキンレースをいつまでつづけるのでしょう。
いやもう永遠につづけて欲しいんですけどね。
始まり方がいいよなー
1で自首したあと刑務所から始まるとか
1の続きが見れる事に当時異常にワクワクした記憶ありますね、ヒット作の続編という事で内容がパワーアップしていて 派手にはなってますし単純なアクションモノとはいえ スタローンがときかくカッコ良くてその頃のアクションスターといえばシュワちゃんとスタ公とチャックノリスとマイケルパレって感じでしたから(マイケルパレは実はかなりマイナー)
この作品もランボーと一緒に1カ月連続で見るくらい大好きで ランボーナイフが流行って 使い道なんて無いのにまあまあ買ってる人居ましたし凄い話ですよねー
ジュリア・ニクソン様・・・
反戦映画の秀作だった前作に対し、ランボーが超人になりすぎたきらいがあるんですが、それがあまり気にならないくらい凄まじいアクションの数々で、ランボー愛用のナイフや弓矢、そして機関銃の弾倉を腕に巻きつける仕草などは、幼いながらよくマネしたものです。そしてこの一作で消えてしまったヒロイン、コー・バオ役ジュリア・ニクソン‼️ランボーのピンチを助け、ランボーと将来を約束し、敵の銃弾に倒れ、ランボーの腕の中で息絶える彼女の姿は忘れる事が出来ません。それだけになぜランボーは彼女の形見のペンダントを手放したのか・・・?
ランボーVSベトナム兵!
シネフィルWOWOWの吹き替え版で初めて観ました。
ベトナムで捕虜として捕まっているアメリカ人達を救出するだけの任務かと思ったが裏切り行為で置き去りにされ、処罰を受けてしまいますが女性兵士の救出で成功したかと思ったら今度は逆に女性が射殺された時に彼の怒りが爆発し全兵士に逆襲します。
中でもラストの基地に戻ったときのマシンガンを連射するシーンがヤバかったです!
スライの「エクスペンダブルズ」人生、ここに開演。 爆発まみれの出ベトナム記。
ベトナム帰還兵ランボーの戦いを描いたアクション映画『ランボー』シリーズの第2作。
服役中のランボーは、トラウトマン大佐の要請を受け、捕虜救出のためにかつての戦場・ベトナムへと舞い戻る…。
○キャスト
ジョン・ランボー…シルベスター・スタローン(兼脚本)。
共同脚本として『殺人魚フライングキラー』『ターミネーター』の、後のオスカー監督ジェームズ・キャメロンがクレジットされている。
第6回 ゴールデンラズベリー賞において、最低作品賞や最低脚本賞など、4部門を獲得🌀🌀
とんでもなくキレイに纏まっている『ランボー1』。
この続編を作る意味があるのか全くの疑問だったのだが、観賞してみて納得。
確かにこれは正当で真っ当な『ランボー』の続編だ!
まずもって申し上げたいのは、この映画は不当に貶められているっ!ということ!
これは強く主張しておきたいっ!
どう考えたってラジー賞を総なめするようなダメ映画じゃないっしょこれ。
1985年といえば、『ランボー2』&『ロッキー4』が公開されている、正にスタローン・イヤー。
『ランボー2』が全米年間興行収入第2位、『ロッキー4』が第3位だったというのだから、いかにスタローンが凄かったのかがよくわかる。
またこの前年は、『ターミネーター』が公開されたメモリアル・イヤー。
この映画を期に、異次元の肉体を持ったアーノルド・シュワルツェネッガーという男がスクリーン上でその存在感を強めてゆく。
当然、同じ肉体派スターであるスライとシュワちゃんは、この後長きに渡り激しく鎬を削り続ける。
シュワルツェネッガーというライバルの登場によって、さらに磨き上げられたスライの彫刻のような肉体は正に芸術品。
この映画のスライの身体はバチバチに鍛え上げられており、それを観られるだけでもこの映画の観賞価値は大いにあると言って良い。
もう一つ言うと、この時期のスライはアメリカ代表🇺🇸という意識を強く持っていた…ような気がする。
『ランボー2』にしろ『ロッキー4』にしろ、彼はソ連に立ち向かう英雄というキャラクターを演じており、「強いアメリカ」の象徴として自らを売り出そうとしていたように思われる。
これはやはりシュワルツェネッガーという競合への対抗策だったのではないだろうか。
元々オーストリア人であるシュワちゃんでは、どれだけアメリカ的なキャラクターを演じてもやはりアメリカン・ヒーローにはなり得ない。
その隙を狙って、スライがマッチョなアメリカン・ヒーローという枠を掻っ攫っていった、というのが私個人の見解。
これはわりと穿った意見だと思うのですがどうでしょう?
とにかく、1985年というのはシュワちゃんの登場により焦りを感じたスライがとにかく頑張りまくっていた年。
露出が多くなれば当然アンチも増えるし、政治色の強さを増した彼に対して不快感を示す層が一定数いたであろうことは想像に難くない。
そういった事により、本作は当時、不当に叩かれてしまったのだろう。
今観てみれば、本当によく出来た『ランボー』の続編でありアクション映画なんだけどね。
本作は爆発💥爆発💥💥爆発💥💥💥まみれのド派手な作品に仕上がっており、この映画単独で観ても十分に楽しめる。
しかし、やはり『1』と合わせて観ることに価値があると思う。
『1』では、①何処からか流れ着いたランボーが、②不当な扱いにブチギレて大騒動を巻き起こし、③トラウトマン大佐に説得されて逮捕される。
『2』では、①逮捕されていたランボーがトラウトマンに説得されてシャバに出て来て、②不当な扱いにブチギレて大騒動を巻き起こし、③何処かへと流れ去ってゆく。
このように『1』と『2』は綺麗な鏡像関係であり、この2つを合わせることで綺麗な円環構造を成す。2つで1つの物語であると言って良い。
また、『1』ではキルカウント0だったランボーだが、本作では100人単位の敵兵をぶっ殺す。
『1』では封印されていたランボー本来の戦闘力が万全の状態で発揮されており、そうそうコレコレ!!コレが観たかったんだ!という感じがある。
パブリック・イメージとして普及しているランボー像はやっぱりこっち。
バンダナ・半裸・弓矢というお馴染みのルックスで登場して来た時には、「よっ!待ってました!」という掛け声を掛けたくなりました♪
前作がベトナム帰還兵の苦悩と絶望を描いているのだとするならば、本作で描かれているのは彼らへの「救済」。
ベトナム戦争自体は「過ち」であると断罪しつつも、国家に従い戦った兵士たちには何の罪もないと、この映画を通してスタローンは伝えようとしている。
ソ連や北ベトナム兵と戦うが、彼らはあくまでも障害物(「侵略者」のランボーが現地の人間をぶっ殺しまくるという構図になってしまっている点において、批判が集まるのもまぁ確かにわかる…。ベトナム人の扱いに据わりの悪さを感じる人もいるだろう)。
本当に倒すべき敵はアメリカ政府のシステムやイデオロギーである、というふうに設定していることが、本作がただの考え無しなアクション映画ではない、『ランボー』の続編に足る政治性に富んだドラマを持っていることの証明ではないだろうか。
もう一点気づいたのは、本作の宗教色の濃さ。
ランボーを人ならざる者、超越者として描き、彼にベトナム戦争に対する罰を肩代わりさせることで、ベトナム帰還兵たちの罪を雪いでいる。
物語の基礎が旧約聖書の「出エジプト記」であることは明らかだし、中盤に行われる磔にされたランボーへの拷問は、どう考えたってイエスへのそれと被る。髪型もたぶん意図的に寄せているんだろう。
ランボーを救い出し復活させるヒロインはマグダラのマリアだろうし、超越者たるランボーにより齎される殺戮は、正に黙示録的な神の怒り。
人の罪に対する復讐が許されるのは神のみ、というキリスト教の教えに則り、超越者であるランボーが敵を蹂躙するのである。
事程左様に、本作は政治的かつ宗教的な物語になっており、決してただただ阿呆なアクション映画ではないと断言したい。
ただ一点、トラウトマン大佐とかいうオッさんは一体なんなんだ…。
前作も今作も役立たずすぎるだろっ!∑(゚Д゚)
本当にこのオッさんがランボーを作り上げたの〜?
ラジー賞に最低上司賞があったのならば、間違いなく受賞するのはトラウトマン大佐である。
セリフにも登場した通り、本作はスタローンの「エクスペンダブルズ」人生の序章。
ここから現在に至るまで、ハリウッドの「消耗品」として扱われ続けるスライ。
しかし、消耗品である紙コップやティッシュペーパーの方が、高級な陶磁の皿や芸術的な絵画よりも親しみやすく重宝するものなのだ。
消耗品をバカにしちゃあいけないよ。…ということで、『エクスペンダブルズ4』を心待ちにしてますよスタローーーン!!💪✨
2作目は只のアクション作品に
ヒーローランボー。
ヒーロースタローンの作品。
2作目は痛快アクション作品に。
当時の中学生や高校生男子にはたまらない作品でした。
それにしても、あんな華奢な綺麗な女の人があんな戦闘地域にいる不自然さ。(笑)
【”戦争は悪い事だ、だが祖国を恨むな!”強きアメリカ、弱気ベトナム、支援するソ連。だが、政治的背景は十二分に分かりつつ、幼き時に観たインパクトが強かった作品。】
ー 30年振りに鑑賞した。
細部まで結構覚えていて、ランボーがベトナム兵に捕らえられたMIA(戦時行方不明者)2500名を救出するために、第一作でも彼を助けた上官トラウトマン大佐の願いにより、再びベトナムに赴く。
だが、トラウトマン大佐も知らなかった上層部の指示を受けたマードック司令官が隠していた事・・。-
◆久方ぶりに鑑賞した感想
・今作は、御存じの通り1985年のラジー賞の作品賞を受賞している。正に、アメリカがベトナム戦争の悪夢を、勝手に無かった事にしようとしていた時代に、今作は公開されたのである。
・ストーリーも、”強きアメリカ、弱気ベトナム、支援するソ連”を前面に出しつつ進む。そして、ランボーを助ける地元の美しきベトナム女性諜報員パオ。で、彼女はあっさり殺されてしまう。
◆今でも凄く鮮明に覚えているシーン。
・ベトナム兵に捕まったランボーが、蛭がうようよいる沼に繋がれているシーン。あれは嫌だなあ。その後、登山をしている時に、蛭が大嫌いになったのは、この映像がトラウマになったからである。
(というか、蛭は大嫌い。アジア、日本の山岳の川沿いに沢山いる。)
・今作では、ソ連がベトナムの支援をしているように描かれているが、実際には支援という名の下、現在ロシアがシリア、アフガニスタン、北挑戦、インド、中国に軍事支援をして大金を得ている事は万民が知る所である。
<大変、懐かしく鑑賞したが
”戦争は悪い事だ、だが祖国を恨むな!”
と言う言葉は、大国を統べる男には、絶対に口にして欲しくないな・・、と現況下を観て思った作品。
ランボーシリーズはこの後、一切見ていないが、少しづつ観ようかな・・、と思った作品。
何故なら、このシリーズが公開時の世界情勢をどのように反映させているかを観るのも、必要かな、と思ったからである。>
名作と認定された第一作も良いが、のちのノンストップ・アクションに影響を与えた本作も良い。
刑務所に服役しているランボーに、恩赦を条件にベトナムへの調査任務に赴くが、味方の裏切りにより窮地へと落ちる。そして壮絶な怒りの脱出へ向かう
最初に脚本を担当したジェームズ・キャメロンの脚本は、スタローンなどによってかなり改訂されているらしいので、アクションシーンなどにどの程度の名残があるかは分からないが、当初はランボーに最初から相棒が同行するバディ・ムービーの要素も入っていたらしい。
その相手役は当初ジョン・トラボルタにオファーがあったと最近の記事で知ったが、実現していたらかなり映画の印象も違う方向になったかも。
最初にこの映画を観た時に感動したのは、中盤から後半にある絶対絶命のピンチからの爽快な逆転逆襲が繰り返されるシチュエーションの上手さと迫力に魅了された。
もちろん今の映画では当たり前で、もっと洗練されてカタチで繰り出される作品も多いが80年代前半では、割と珍しいくて、ノンストップアクション映画の走りでもある。
特に収容所での拷問から逆転場面は、映像と音楽も含めて盛り上がり爽快感がある。
ラストのヘリ同士の戦闘場面も性能的に不利な条件を、機転利かせて倒す逆転劇は、カット割も含めて手に汗握る。(狭い機内でロケット砲を撃つのには無理があるけど)
撮影を担当したイギリスのベテランの名カメラマンのジャック・カーディフの絵作りも流石な出来栄えで、ヘリを撮る構図も太陽を背にした逆光で撮影して不気味な強敵感を出したり、収容所のシーンでは画面の明暗差とストロボ光によってサスペンス演出したり、クレーンなどの移動やパンを使ってスケール感を出したりと雰囲気醸成に長けた手腕を発揮している。
『アフリカの女王』や『赤い靴』A級大作や巨匠監督の名作に携わってきた名カメラマンのジャック・カーディフ何故この作品に?と最初は疑問に思ったが、前後にも『戦争の犬たち』(傭兵アクション)や『コナンパート2』(シュワルツネッガー主演!)の撮影を担当していたり、本人の監督作の『戦争プロフェショナル』(これも傭兵モノ)や『悪魔の植物人間』(フリークスのリメイクに近い)や『あの腕にもう一度』(ルパン三世の峰不二子の元ネタ)などを見るとジャンル映画に愛着があったのではと思う。
撮影も当初はタイなどのアジアで行う予定だったが、ロケハンをした結果に想定した場所が無いので、メキシコのアカプルコ近辺の土地に、棚田やベトナムの村や捕虜収容所のセットを建てて行われた。
特に前半の救出ヘリの合流地点である棚田のロケセットの風景がコンパクトながら良く出来ており、そこでの戦闘場面は高低差の感じや水飛沫が飛び散る炸裂も迫力があり、ジャングル場面などが多くなりがちな画面に変化を添えている。
もう一つのロケセットでベトナムの小さな村での地上戦闘やヘリが通過する場面も現地感があり良く出来ている。
偶然見つけてロケしたと監督が言っていた、滝でのアクションも印象的で、滝壺全体にナパーム弾の炎が炸裂場面は、強烈で、沢山の火薬とガソリンを使った特殊効果CGとは違う迫力あるが、今だと環境面で出来ないのでは?思う。
余談だが、ラスボス的なソ連軍戦闘ヘリの部品が村の家に落ちる場面は、想定外のアクシデントで、部品がエキストラのすぐ近くに落ちるので、事情を知ると余計にヒヤリとする。
主演のスタローンの見事にビルトアップされた肉体と精悍な顔つきはランボーの孤独と忍耐強さを体現しており、多くのスタントアクションもこなしているのも好感が持てる。
現地協力者のコーとの交流によって信頼関係が生まれてきて少しずつ表情が変化してゆく姿も定番だけど殺伐した映画でなごむ描写である。
ちなみに劇中でエクスペンダブルの台詞が度々ありのちのシリーズの芽はここにもあったのかと感慨深い。
巨匠ジェリー・ゴールドスミスの音楽も、絶好調でノリが良く活劇場面も盛り上げてくれる。
監督のジョルジ・パン・コスマトスは、過去に欧州のオールスター大作映画で手腕を発揮している職人で、テンポ良く見せ場を繋いでおりアクション映画としては上級点である。
監督としては、ほとんど語られる事はない感じだが、問題のある現場をまとめて映画を完成させて、観客をそれなりに満足させて映画をヒットさせる能力には長けた人で、縁の下の力持ち的存在だと思う。
特に同じ様な題材で当時話題になった『リバイヤサン』(『アビス』や『ザ・デプス』の競作)や『ワイアット・アープ』と競作になった『トゥーム・ストーン』などは、娯楽性のバランス良くて楽しめる。
気になるのは、どうしてもランボーの最後の愛国的演説で、捕虜の救出とコーの復讐への行動を歪めてしまうところが、あり正直この部分は無かった方が良かったと初見した30年前から思う。当時のスタローンは、愛国主義を旗印した反ソ連臭のする映画の『ロッキー4』や「ランボー3』などもあり所謂良識派からは叩かれていたが、その後の傑作『クリード2』や『ランボー4』で自己総括をするのも凄いと思うしエクスペンダブルズシリーズでの多くの問題児をまとめて映画製作をする器の大きさは正にスター。
その時々政治や思想感を映画に出していたスタローンは映画にとどまり、時代性や思想性のない映画に出ていたシャワルツネッガーが政治家になっていたのは皮肉。
でちなみの本作のネガな部分や思想性を取り去った映画が、今でも無邪気に観られる傑作の一つでシュワルツネッガー代表作の『コマンドー』だと思う。(この映画も冷静に観ると虫けらのごとく人が、死ぬがそれをジョークにして異常にポジティブ)
ランボーの上司であるトラウトマン大佐の役割も弱くてほとんど何もせず傍観しているのも微妙。
せめてランボーの救出時に銃で威嚇してきた日和見サングラス野郎をやり込めるくらいの場面があるべき。(ちなみにランボー2の小説版だとトラウトマンもランボーを援護して活躍します。)
ソ連軍の悪役であるスティーブン・バーコフも悪くないが、特殊部隊(スペツナズ風)の指揮官としてのシャープさがないので、当時売り出し中だったエド・ハリス(のちの軍人役者で『アンダー・ファイヤ』の傭兵が印象的)やユルゲン・プロフノウ(Uボートの艦長)などが補佐などの相手役だったらと思う。
基地の司令官のマードック役のチャールズ・ネイピアの卑劣で小物感溢れる演技は、とても良かったが、悪役としては、前作の名優ブライアン・デネヒーと比べると損な役回りでもある。
ともかく名作と認定された第一作も良いが、のちのノンストップ・アクションに影響を与えた本作は、タカ派的愛国心とベトナム戦争肯定映画と捉えるより当時、似たような内容で量産された娯楽アクションの一つの作品として楽しむのが一番。
余談だが、この映画の公開当時にアジア圏で出回った海賊版ビデオは、ランボーが太平洋戦争時代で日本軍と戦う内容に改変されていたと、新聞記事で読んだが、確かにベトナム軍側の身なりなどは日本軍風に見える。(ヘリとかの近代兵器は明らかにヘンだが)
2021年4月現在にNetflixで配信されている一作目の「ランボー」が何故か「ランボー怒りの脱出」のタイトルになっているのに唖然としたが、Netflix JAPANの担当は最低限のチェックもして無いのかな。
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