劇場公開日 2025年4月4日

「岩井俊二監督の長編デビュー作」Love Letter かずぼんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0岩井俊二監督の長編デビュー作

2025年4月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

公開30周年&中山美穂さんの追悼興行という事で行ってきました。
何度も観た作品ではあるが、こうして大きなスクリーンで観るとまた違っていいものである。
この物語は婚約者を冬山の遭難事故で亡くした主人公「渡辺博子」と、二人の「藤井樹」が織りなす不思議な物語である。
当時大人気であった中山美穂の一人二役という事で、よくある興行成績を伸ばすための人気歌手起用だと、当時は斜に構えていたところがあった。
しかし世間の評判は上々。諸外国でもヒットを飛ばしたのは皆様も知る通り。
とにかくこの映画はそれぞれの出演者の魅力あふれる作品になっている。
若かりし中山さんの美貌はもちろんですが、性格の異なる二人の女性を演じ分け、「女優・中山美穂」の魅力がふんだんに出されているなと感じられるのである。
昨今の邦画と言えばアイドルや芸人などを多数起用し、出演者人気を頼りに興行収入を得ようとする動きが多い。
この作品も当時はそう思われていたことと思うが、その評判を払しょくするほどの上質の映画となったのは、良く練られた脚本と劇場初挑戦ながら手腕を発揮した岩井俊二さんの力に他ならないだろう。
最近はビデオオンデマンドが盛んで、映画など配信されてから見れば十分という人が増えているようだ。確かにそれも良いだろう。
しかし午前10時の映画祭もそうだが、こういった懐かしくも上質な作品を劇場で見ることの良さ、複数の人間と同じ空間を共有するという事、大画面で見ることの意味というのを改めて感じられたし、これらはテレビやスマホ、言ってみれば家庭用プロジェクターで見るのとも異なる感動があると改めて感じたし、映画産業がこれからも発展していって欲しいと切に願うのだった。

おまけですが、本編最後に英文で追悼メッセージが流れました。
多分作風的に英文が良いのだろうと判断したのでしょうが、字幕もでなかったので解らない人も居たのではないでしょうか。
追悼文は日本語との併記で良かったんじゃないかと思いました…。

かずぼん
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