汚れた血

ALLTIME BEST

劇場公開日:2026年1月10日

解説・あらすじ

フランスの鬼才レオス・カラックスが1986年に手がけた長編第2作。監督デビュー作「ボーイ・ミーツ・ガール」に始まるアレックス3部作の第2作で、結ばれない男女の三角関係を独自の映像センスと鮮烈な色彩でスピーディに描き、弱冠25歳にして映画作家としてのカラックスの評価を決定づけた一作。

愛のないセックスにより感染する奇妙な病気「STBO」が蔓延した近未来のパリ。空虚な日々を過ごす青年アレックスは父が不可解な死を遂げた後、父の友人であるギャングの男マルクから犯罪に誘われる。マルクを手伝うことにしたアレックスは、彼の愛人であるアンナにひかれていくが……。

「ボーイ・ミーツ・ガール」に続いてドニ・ラバンが主人公アレックスを演じ、名優ミシェル・ピコリが父の友人マルク、キャリア初期のジュリエット・ビノシュがマルクの愛人アンナを演じた。後にアメリカで「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」などを手がけるジャン=イブ・エスコフィエが「ボーイ・ミーツ・ガール」に引き続き撮影を担当。1986年度ルイ・デリュック賞、第37回ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞を受賞。2026年1月、4Kレストア版にてリバイバル公開。

1986年製作/120分/フランス
原題または英題:Mauvais sang
配給:ユーロスペース
劇場公開日:2026年1月10日

その他の公開日:1988年2月6日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

5.0 飛べない生

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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まぬままおま

4.0 avant-garde

2026年1月26日
PCから投稿

40年近くぶりにスクリーンで観る、レオス・カラックスの名作。当時、カラックスの溢れんばかりの才能に打ちのめされた記憶がある。確かその5年くらい後に『レザボア・ドッグス』でタランティーノに打ちのめされたんだっけ。
原題はアルチュール・ランボーの『地獄の季節』の詩に由来しているようで、「悪い血筋」って意味。アレックスは父親譲りの手先の器用さを買われ、亡き父の仲間たちから、犯罪グループに勧誘される。おりしも性交で感染する致死率51%というレトロウイルスが蔓延しており、こちらも汚れた血が媒介するようだ。原色が効果的に配され、観念的な台詞が配され、音楽が画面を爆発的躍動感を演出し、当時のおとなしい理詰めのフランス映画の常識を超えたアバンギャルドを、レオス・カラックスが僕を驚かせた。

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t2law

4.5 「真の愛を映像で物語るカラックスのすごさ」

2026年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

斬新

ドキドキ

 愛を伴わない性行為によってのみ感染し、死に至らしめる正体不明のウイルス「STBO」が蔓延している近未来のパリが舞台。

 裏社会で生きる老人マルク(ミシェル・ピコリ)と盟友のハンス(ハンス・メイヤー)は、アメリカ人女性に多額の借金をしていて、期日まで返済しないと命はないと脅されている。そこで亡くなった友人の子供で、手先の器用なアレックス(ドニ・ラバァン)を仲間に入れ、製薬会社が極秘に開発したウイルスの特効薬を盗み出すというのがあらすじである。

 若干25歳でこの映画を作り上げたレオス・カラックスは、物語(ストーリー)の展開にほとんど固執していないように推測される。カラックスが求めたものは、映像で映画を「物語る」ことなのだ。そしてこの映画は、どのように撮影されたかという視点で観ると一層深みを感じることができる。

 冒頭、アレックスとリーズ(ジュリー・デルビー)がデートしてその後バイクで二人乗りして猛スピード走る姿をとらえるカメラマンのスピード感も伝わってくる。アレックスが恋人リーズとの別れを決めたときの、疾走しながら逃げるアレックス、アレックスを愛していて、諦めきれず、追うリーズの二人の顔を撮影する。カメラマンも二人の前で必死に走っているからカメラがブレ、逃げ、追う二人の表情の形相が変化するショットには驚く。

 リーズを振り切ったアレックスは、マルクの仲間になることを決める。マルクとハンス、そしてマルクの恋人アンナ(ジュリエット・ビノシュ)と同居することになる。

 アレックスは、マルクの若い恋人アンナに強く惹かれていく。しかしアンナは、マルクを愛していて、三人のあいだには言葉にできない緊張と感情の亀裂が生まれていく。あることでアレックスとマルクが諍い、マルクが倒れてしまう。ハンスが治療しマルクは無事であったが、アンナはマルクを心配して、首をちょっと傾けて、目に涙をためぽろぽろと泣く。このショットはビノシュのアップでカメラのフレームにおさまる最適な構図でありなが、フレーム外にいるアレックスの視線を見る者は感じるが、アンナは感じていない絶妙なショットである。

 アンナは泣き横になると、アレックスが彼女の髪に触れようとする手のクローズアップ。アレックスの恋心の強さが伝わるが、アンナが気付いたので手を引っ込める。そして泣いているアンナを慰めるため、腹話術や手品をする。このシーンのアレックスとアンナの切り返しのショットごとにアンナの表情の変化、じょじょに微笑むビノシュは美というオーラにつつまれていた。

 アンナが音楽をかけてとアレックスに言い、アレックスがラジオをつけデビット・ボウイの曲にあわせて疾走しながら踊るシーンはドニ・ラバァンの身体能力の高さを撮りきる移動カメラでありながら構図が完璧なのには賞賛するしかない。

 終盤のアメリカ女性との追っかけ、アレックスの負傷、アレックスを諦められないリーズもバイクで追う、ラストシーン、失ったことで知る愛にかられた、アンナの身が引きちぎれるほどの疾走で幕は閉じる。

 カラックスの本作は全編、真の愛にあふれたラブストーリーだ。台詞で安易に愛を語るのではなく、ジャン=イヴ・エスコフィエのカメラが雄弁に愛を語る手法こそがカラックスだ。カラックスの分身と称されるアレックスの手品を思わせる、圧倒的な驚きを見る者にカメラ、つまり「映像」で見せつけるカラックスは、ただただ凄いという言葉しかない。

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かな

4.0 「恐るべき子供たち」の若き日の代表作

2026年1月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

34年振りに観ました。
当時はビノシュの美しさにただただ心酔していましたが、今回見返してみて、意外に台詞による説明が多いなと感じました。映像はやはり圧倒的にすごいのですが、カラックス25歳の青さみたいなのも微妙にあってとても新鮮でした。

赤いカーディガンのビノシュの登場シーンには今回も息を呑みました。
ジュリー・デルピーやミレイユ・ペリエも素晴らしいのですが、やっぱり私はビノシュ推しです。

あとは何と言ってもドニ・ラヴァンの存在!
ピコリとの小競り合いからビノシュとの夜の語らい、手品や腹話術に仄かな恋心が乗っています。彼の「モダンラブ」の疾走が本作の白眉です。そしてそれがデルピーのバイクの、ラストのビノシュの躍動に呼応していきます。

カラックスは早すぎた天才だったのでしょうか。この後の破滅的半生——ミレイユやビノシュとの別れ、「ポンヌフの恋人」の制作の難航、撮影監督ジャン🟰イヴ・エコフィエとの対立、「ポーラX」のカテリーナ・ゴルベワとの結婚と彼女の死——を見るとそう感じざるを得ないのです。。。
でも昨年久々に「It's not me」を撮り、ゴルベワとの間にできた娘とも共演しました。今年65歳。もう一度「汚れた血」のような新作を観てみたいような、もう観たくないような複雑な心境です。

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