「三船敏郎の後ろ姿」用心棒 ハットコックさんの映画レビュー(感想・評価)
三船敏郎の後ろ姿
三船敏郎の後ろ姿から始まり、後ろ姿で終わる。面白いのは、始まりと終わりの間に変化がないということです。通常、主人公の心には何らかの変化が起こります。それは成長であったり、形は様々です。しかし本作では、仕事が片付くと何事もなかったかのように颯爽と消えていきます。ここが最高に格好良いのです!つまり、彼はただ頼まれたことをしただけなのです。
この単純すぎるストーリーが何故こんなにも魅力的なのか。それは全ての登場人物が個性豊かであることです。本作をもとに『荒野の用心棒』が製作されましたが、この要素は自然と引き継がれています。
雨や風を巧みに使った演出がまた素晴らしく、所々挟まれるユーモアが作品のメリハリをつけているので、バランスがしっかりと保たれています。そして何と言っても、三船敏郎のクールな演技ですね。厳しく、時に優しく。誰もが憧れるヒーロー像を見事に確立した彼は、やはり名優であり黒澤監督が気に入ったわけです。
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