「三十郎は強いけど」用心棒 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
三十郎は強いけど
冒頭は主人公三十郎の後ろ姿から始まる。ラストも名セリフ「あばよ」で後ろ姿。後ろ姿=背中で強さを表現するシーンが最初と最後にあり、映画を象徴しているのが面白い。
剣の強さだけでなく、相手をあざむいて目的を果たす知力があり、大勢のならず者を圧倒するのが痛快。
しかし、この映画の1年後に封切られる「椿三十郎」と比較すると、相手が簡単に騙されすぎたり、多くを殺す大儀が弱かったりして、脚本の弱さを感じるところもある。徳右衛門の情婦おぬいの一家を逃がすところは、ひとつのヤマ場なのだが、逃がしてやろうと思った理由が不十分に思えた。
逆に言うと「椿三十郎」は、「用心棒」よりさらによくできた映画で、「椿三十郎」の素晴らしさをほめるべきなのかもしれない。
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