醉いどれ天使のレビュー・感想・評価
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2人の天使と天使になれなかった男
終戦後の1948年公開
黒澤明監督の酔いどれ天使
志村喬 演じる町医者
町のチンピラ三船敏郎
そのほか癖の有る俳優達
+ 結核の少女、久我美子
映画初出演の久我
駆け出しの三船
志村は中心にいる。
戦後の混乱期、人を生かす事に執着する医者は、絶望感の中にいるヤクザを治療し大きな病気を発見する。療養を進言するが聞く耳を持たない。しかしその眼は死への恐怖に怯え、治そうとも考えた。一方 同じ病気の少女は医者の言葉を聞き未来を見つめる。ある事がありチンピラは壮絶な死に方をする。医者は心を痛めた。良くなってきた病気、少女は埃にまみれた町で強く生きようとしていた。
チンピラの衝撃的な死に方
厳しいが根は優しい医者
笑顔の少女、白い花
どん底の日本の姿
そこから光を見せる
黒澤監督の手腕。
凄い人だと思う。
数日前、久我美子さんが亡くなった。
この作品は17歳くらいか?
いい監督、いい作品と出会った。
映画はその人の姿を残す。
多くの人の心に残すもの。
※
思い出しながら書いた。
また鑑賞しよう。
※
【戦後の混乱期、飲んべえの医者と肺病病みの若いヤクザの交流を描いたヒューマンドラマ。若き三船敏郎と志村喬の存在感が凄き作品である。】
■闇市に住む人々を診る町医者の眞田(志村喬)は、口は悪いが心根は優しく腕も一流。
そんな眞田の元に、闇市の顔役でありチンピラである松永(三船敏郎)がピストルの傷の手当てを受けにやって来る。
眞田は松永が肺を病んでいることを知り何かと世話を焼くが、血気盛んな松永は聞く耳を持たないが、冷酷な上役の扱いもあり、眞田の元に再びやって来る。
◆感想<感想になってません・・。)
・私にとって、黒澤明監督に出演している三船敏郎氏のイメージは豪放磊落な知恵に長けた武士のイメージが刷り込まれている。
・だが、今作は終戦直後の闇市を舞台にしており、志村喬も、三船敏郎も無茶苦茶若い。
ー 驚くのは、三船氏の声である。時代劇では声を作っていると思っていたのだが、元々テノールの、響きある佳き声の持ち主であった事が分かる。-
・志村喬氏演じる眞田もアルコール依存ではないかと思う程、医療用アルコールに水を入れて呑んでいるが、彼は多くの貧しき民に慕われているのである。
・印象的なのは、破滅の物語かと思いきや、セーラー服の少女を演じた久我美子さんが、結核を患いながらも、眞田の治療法により、病を克服していく姿である。
<黒澤明監督=時代劇と思い込んでいた私に、彼の名監督がオールラウンドプレーヤーであった事を教えてくれた作品である。
それにしても、若き三船敏郎氏はイケメンであったのだなあ・・。(イメージとしてイケオジだったので。
邦画は、昔からハイレベルであったのだなあ・・。私の様な若輩者にとっては嬉しき限りである。>
運命の出会い‼️
世界のクロサワと世界のミフネが出会った記念すべき作品ですね。黒澤明監督にしてもヤクザと市井の人々、親分と子分みたいな強者対弱者、背景にある戦争の影響といった作家性が確立した作品だと言われています。そして闇医者を演じる志村喬さん、病弱な女子高生役久我美子さん、深い凄みを湛えた山本礼三郎さんら素晴らしき役者陣。メタンガスを吐き続ける沼地や「ジャングルブギ」といった終戦後の光景も生々しく捉えられていて興味深いのですが、全てが三船さんの強烈すぎる個性の引き立て役になってしまっています。こけた頬にギラギラとした眼光で、野獣性とナイーブ性が同居しているようなその魅力‼️白ペンキまみれによる立ち回りも圧巻。そして物干し台で三船さんが死ぬシーンも、こんなにも美しく人間の死を描いたシーンもあまり無いんではないでしょうか。とにかくこの後に連作される世界のクロサワ&ミフネのキラ星の如き傑作群の事を考えても、世界映画史の歴史を変えた名作‼️
黒澤映画の全てのパーツが揃ったと言える作品に思える。黒澤監督が三船...
黒澤映画の全てのパーツが揃ったと言える作品に思える。黒澤監督が三船敏郎に惚れ込んだという話だが、自分の作る作品に不可欠な素材、それも人材を見分ける能力を持つ者は、もうヒトの域を越えている。ゴジラを生み出したに等しい才覚。
戦後の復興はひとりひとりの理性で心の結核に打ち勝っていかねばならないのだ
1948年公開
終戦から3年後、まだ戦後の混乱が収まらない頃
前年には二・一ゼネスト闘争があり、本作公開の4月末の1ヶ月少し後には全学連の結成に繋がる教育復興学生決起大会が日比谷公会堂で開催されている
その社会背景を頭に入れておきたい
主人公はもちろん志村喬演じる真田医師だ
しかし本作は赤ひげのような医者を巡ってのヒューマニズムを描くものではない
本当に描くのは三船敏郎が演じるヤクザ達を通して、この混乱収まらない日本の姿だ
冒頭のタイトルバックに写され、本編で何度も登場する悪臭をはなつ泡をふきあげる泥沼
それがこの時代の日本の現状を象徴しているのだ
真田医師は泥沼に浸かって遊ぶ子供達をチフスになるぞと叱りつける
もちろん伝染病にかけて、子供達にこの戦後の混乱の泥沼の風潮に染まるなとのメッセージだ
この泥沼は無くすためには、本作4年後の「生きる」のように埋め立てて公園にでもすれば良いだろう
しかし人や社会はそれでは変わらない
人や社会の泥沼は埋め立てできないものだ
だから真田医師は、ヤクザの松永や刑務所帰りの岡田、その元情婦や登場人物全てを叱りつけて繰り返し、繰り返し追及するのだ
理性を取り戻せと
人間に一番必要なな薬は理性なんだよと
結核はその敗戦の混乱で立ち直れずにいる日本の現状を暗喩したものなのだ
だから真田医師はいつも不機嫌で怒鳴ってばかりなのだ
理性を取り戻せずいつまでも泥沼のままの現状の日本に苛立っているのだ
泥沼には今日もどんどんゴミが大量に捨てられていく一方だからだ
そうしてラストシーン
社会の泥沼に首まで浸かり、心をチフスに犯されそうだった居酒屋の女性は、そこから抜け出し道の真ん中をきれいな水が流れる田舎に帰ろうと誘っている
町の真ん中の泥沼と、道の真ん中を流れるきれいな水の対比は、これこそ本作のテーマであるとの宣言だ
そこに女子高生が、理性を持って結核と戦い、それに打ち勝って無事健康に高校を卒業したことを真田医師に報告にくるのだ
彼女は戦後の復興を象徴する新しい世代だ
彼女の笑顔が太陽の日差しの様に眩しすぎて、居酒屋の女性は彼女から目を背けてしまうほどなのだ
真田医師と女子高生は手を組んで、あんみつを食べに市場の人混みの中に消えていく
悪臭を放つ泥沼はこうして新しい世代の理性によって浄化されていくに違いない
そのような明るい希望と展望で本作は終わりを告げるのだ
だからカメラはパンしながら泥沼から市場に俯瞰して行くのだ
戦後の復興はひとりひとりの理性で心の結核に打ち勝っていかねばならないのだ
それが本作での黒澤監督の力強いメッセージなのだ
これこそが本作のテーマなのだ
三船敏郎は見事に泥沼の中に咲く徒花を演じて見せた
悪夢に登場する棺と、頬をこけたメイクは、吸血鬼ノスフェラトゥのオマージュだろう
序盤の物憂げな下手なギターの意味は何か?
戦後の焼け跡の何もかも失った日本を表現しているのかも知れない
岡田は大変上手くギターを弾いてみせる
結局、岡田が登場するとチンピラは練習を止めてしまった
そのギターは新しい情婦と遊ぶために岡田が取り上げていたのだ
下手であっても日々努力していくことが大事なのに、そんなことで戦後の復興はなるのか
それとは逆に、結核だった女子高生は気胸を毎日続けて快方に向かっているではないか
あんみつを賭けましょうかという彼女の言葉に真田医師は嬉しそうに、そして頼もしそうに見送るのだ
そのような思いが込められている様に思う
素晴らしい余韻が残る、構成と演出の巧みさが光る名作中の名作だ
黒澤明はなぜサングラスをしているのか?
脚本家目線で言うと、ちょっとおかしい部分があるので指摘してみたい。
このストーリーは酔いどれ天使が主役であるので三船敏郎が親分と始末つけに行くっていう部分はむしろあってはいけないと思う。このシーンがあるから誰が主役になるか分かんなくなってしまった。酔いどれ天使は悪ぶっていても実はいい奴で、どっかで頭下げて三船のために恥かいて頑張っているところをクライマックスにすべきだったと思う。そして苦労して治療のための何かを手に入れて帰ってきたら三船が焼け起こして死んでいたと・・・というかっこにすれば主役が散らばらずに良かったと思う。
この映画の後、「野良犬」で黒澤明は三船敏郎を使ったアクション映画監督へと生まれ変わって行くのであるが、この映画の頃はまだ、それまでの人情もの監督の部分を強く引きずっている。それセンチな人情もの的情緒とアクション要素とが上手く融合せず中途半端になってしまったように感じた。
この映画のラストショットではカメラが酔いどれ天使を見送った後、何と後ろへ下がって行く。普通カメラはそこに固定して主人公が遠くの方へ去っていくところを見送る者であるが、カメラが後ろへ下がっていくとはどういうことだろう?私にはそれが黒澤明の人情もの映画への決別を示しているように感じた。
「私はこの三船敏郎という素晴らしい俳優を手に入れた。これからはアクションもの監督に生まれ変わるのだ。人情もの監督黒澤明よさようなら・・・」
と。
・何とかしてあげられたんじゃないかという場面がいくつもあって、それ...
・何とかしてあげられたんじゃないかという場面がいくつもあって、それを積み重ねた結果がこうで悔しい
・やるせない気持ちでいたら、最後がよかったー
改めて・・・
ずっ~と昔に見たけど記憶がタドタドしく、改めて見てみました。
記憶に残らないはずです。
そんなに面白くありません。
三船さんが志村さんを喰った作品と言われていますが、そうは思えませんでしたね。
仁義なきヤクザ映画
売り出し中のヤクザが結核を患い…という話。
市民(町医者)視点でのヤクザが描かれている。
志村喬と三船敏郎の演技に引き込まれる。
その他もろもろ黒澤監督作品だなと感じる映画。
にしてもやっぱりこの頃の邦画は日本語が聞き取りにくい。
(字幕があるので問題ないが)
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