劇場公開日 1993年4月17日

「なぜこの映画を好きなのか考えたけど、どうして好きなのかよくわからなかった???」許されざる者(1992) クラウディア🫶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なぜこの映画を好きなのか考えたけど、どうして好きなのかよくわからなかった???

2025年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

オスカー獲得作品だけど、何かとややこしい映画だよね。クリント・イーストウッドが西部劇の勧善懲悪(正義のヒーローが悪をボコボコにしてスッキリしちゃうとか?)という虚飾を暴いたということなんだけど、、、そこまで単純な映画じゃないよね。

とはいえ、確かに善悪があいまい、娼婦を傷つけた牧童も悪は悪なんだけど、二人とも殺されるのは変だよね。男子の大事なとこを笑われてナイフで娼婦を切り刻んだ男はまだしも、もう一人は何もしてないし、むしろ娼婦たちに申し訳なく思っているようなのに、一番最初に殺される。

暴力が暴力を生んで、その連鎖がややドタバタ気味で進んでいく。元フレンチ・コネクションのドイル刑事の保安官リトルビルも、ある意味正義なんだけどちょっとイカれているし、元ダーティハリーのキャラハン刑事の主人公マニーも、全然かっこいいガンマンではない。でも二人は立場が違うようでも本質は同じだってお互いに認めているようなシーンもある。

そうしたすでにキャリアがあってキャラも立っているようなイーストウッド、ハックマン、モーガン・フリーマンらが、それぞれいい味を出していて物語は進んでいくけど、自身のパロディっぽくは見えない。イーストウッドは、そこはうまいよね。相手役が新人だろうがベテランだろうが生かす。みんな同じになってしまうスタローンのエクスペンダブルズ・シリーズとは違うよね。

でも結局、相棒のネッドの死をきっかけに、マニーはお酒飲んじゃって、ダーティハリーに変身しちゃう。普通の西部劇になっちゃうんだよね。もちろんイーストウッドはいつもの喜怒哀楽がよくわからないあの表情なんだけど、登場しない奥さんの存在感やら、イーストウッドがお世話になった二人の監督へ捧ぐとか、いろいろ魅力的な要素もあって、この映画は面白いよね、暴力のないシーンの景色がきれいだというのも大きいかな。

クラウディア🫶