もののけ姫のレビュー・感想・評価
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利害の相反する者同士の死闘の物語
正直、私は長らくこの作品を評価できませんでした。
その理由は、死闘を介した後の
(サン)アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない。
(アシタカ)それでもいい。サンは森でわたしはタタラ場で暮らそう。共に生きよう。
という最後の台詞にありました。
これを中東情勢あたりに置き換えると・・・
(ムハンマド)イツハクは好きだ。でもユダヤ人を許すことはできない。
(イツハク)それでもいい。ムハンマドはパレスチナで、わたしイツハクはイスラエルで暮らそう。共に生きよう。
くらいに現実を無視した理想論だと感じてしまったからです。
ただ、今回映画館でじっくりと腰を据えて見返したところ、この先入観を改めざるを得ませんでした。
一見、人間と自然との対峙がテーマと思われがちですが、この世界の自然は現実と異なり、「タタリ神」のように明確な敵意を抱いて意図的に攻撃してくる存在であること。しかも、復讐心に囚われた乙事主を嘆くモロの君のように、同士内でいがみ合いまでします。
こうして考えれば、人間界(タタラ場)と自然界(野生動物たち)との、各種思惑と利害に囚われた集団同士の死闘であり、思考や行動基準は人間的そのものと言えます。
その中で、アシタカとサンという双方の集団から追放されたり異端視されたりして溶け込めない者同士の出会いと愛憎劇が加わってきます。
「生きろ」という言葉も重要なテーマの一つですが、これはたとえ異端児だったり呪われたものとして遠ざけられたりしても、打ちひしがれることなく何が何でも生き抜け。ということだと思いました。
そう考えたら、
(サン)アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない。
(アシタカ)それでもいい。サンは森でわたしはタタラ場で暮らそう。共に生きよう。
の台詞はやはり蛇足だったかも。むしろセリフを発すること無く、親愛と拭い去りきれぬ忌避感とをにじませながら相対する形で曖昧に終わらせる方が良かったかも。
と思えてしまいました。
やはり凄い
劇場で観たい作品
ジブリの中で一番大好きな作品
オールタイムベスト級の大傑作!
ナウシカの二番煎じ、人間味のないアシタカ
公開当時も見たが内容を覚えていなかった理由が、再上映を見てわかった。
自分にとって『風の谷のナウシカ』が宮崎駿の「希望」だとしたら、本作は「現実」というか、「もう人間にはこれが限界で、解決なんてしないよ」注意して生きていこうねというメッセージにしか感じられなかったからだ。
解決しない結末など、『エヴァ』で既に通過済みだ。(あちらはその後なぜか完結してしまったが)
どちらかと言えば、監督の生の感情を吐き出している当時のエヴァやナウシカの方が好みである。単純に解決していないから好きではない、という話ではない。
映像に関しては、手書きアニメーションならではのぬるぬるした動きは非常に良い。ただ、テーマの一つであるはずの「怒り」に対しての表現が甘く感じられた。
世間では「自然対人間」の対立と見ているのかもしれないが、自然は何もしていない。人間が勝手に暴れているだけである。猪たちは、まぁ もう言葉も忘れてしまって居るので別で考えよう。
野生の猪だってイヤなことされたら人間に体当たりくらいするだろう。
個人的に一番気に入らなかったのは、アシタカの存在だ。
あれはもう、やっていることも精神状態も人間ではない。清廉という意味では「曇りなき眼」というのは間違いないだろうが、確固たる自分が強すぎて、周囲で何が起きても「はいはい、そうだよね」と達観しすぎている。あまりに人間味がない。
そのせいで、見ているこちらも「あぁ、はいはい、アシタカの周りでまた何かバタバタしてるわ」と、冷めた見方しかできなくなってしまった。
多分、自分は完成した監督の作品に興味が無いのであろう、判りきってる説教を聴くために時間を消費したいのではない。
そうであれば歴史を調べたり、ドキュメンタリーでも見ていたほうが良いと思う。
普段気にしていない人へのアンチテーゼというか注意喚起なのだろうか。
あめつちにあるものすべてのものを欲するのは、人間の業というものだ
「我が名はアシタカ。東の地より来た」の宣言勇ましい、英雄アシタカ流離譚。時代は室町。自分が今の知識と体験を経て、この物語の奥深さに興奮してやまない。思い返して浮かんでくる言葉(劇中および連想)は、磐座、蝦夷、縄文土器、ナガスネヒコ、天津神と国津神、津軽、諏訪、出雲、アニミズム、神鹿、アルビノ、たたら、らい病、非人、サンカ、縄文と弥生、狩猟民族と稲作文化、城郭都市、ハレとケ、森林破壊、天朝様、不老不死、乙事主、一言主、ダイダラボッチ、鞴、玉鋼、石火矢、女の国、物の怪、猩々、森の賢者、祟り神、、、。数知れず。鑑賞後に見た岡田斗司夫の考察動画にもたいへん触発された。諏訪か出雲か。サンは誰の子か。モロとエボシの因縁。そしてアシタカとサンのその後。宮崎駿の裏設定なども知るにつれ、さらに深まる物語。しかも、ぜんぜん清々しさがなく人間臭いところがいい。ネットに散々いろんなジブリフリークの考察動画も上がっているので今さら感がありすぎて余計なことを書く気になれいが、これだけは触れておく。「森と人間が争わなくてすむ方法はないのか」って?そんなのないよ。それは人間は強欲な生き物だから。どこかで折り合いをつけながら妥協していくしかない。それは共存という言葉で濁すには罪深い人間の業だ。だけどそれは悪ではない。その行きつく遠い先に地球の滅亡が待っていたとしても、それは地球の運命でもある。人間が自分の欲に逆らって地球を救おうと思うこと自体がおこがましい、とも思っている。人間が文明を持つこと、そしてその先にあること(起こること)すべてが地球自身の成せる業である、と思っている。その意味でこの映画の描く世界は、深い。
映画館でみれてホントによかった
不朽の名作を大スクリーン4Kデジタルリマスターで観られる幸せ
平日16:30からの回だが席は8割方埋まっている。
もう、言うことない。
はるか昔に映画館で観、何度もテレビで放映されて観、DVDでも観たが、2025年に再び大スクリーンで観られるという幸せに浸った。
アシタカやサンの細かな表情を改めて味わう。
しかし当時でこれだけの大作を作り切ってしまったジブリのパワーというのは、凄まじいものだな。
不朽の名作。
IMAX鑑賞、おすすめ
最高峰の映画
リバイバル上映をドルビーシネマで観覧。
大画面と存在感のある音で思う存分に楽しむことができた。
15歳の時に初めて観て衝撃を受け、その衝撃を35年近く経った今も同じように感じている。例えば以下の場面などは中学生の時に観た感情と本当に変わらない→
・ヤックルがタタリ神にビビっているところを、アシタカが弓矢で驚かせ、正気に戻すところ
・アシタカの腕にタタリ神が巻き付くところ
・甲六が骨折した腕を、「治ったー」と言って動かすとまだ治っておらず痛がる場面
・アシタカが腹に銃弾を受けながらも、重い門扉を押し上げる時の痛々しさ
・サンが干し肉をアシタカに口移しで与える場面
・エボシを前にしたアシタカの右腕がアシタカの意志と関係なくウネウネと動く場面
・シシ神が歩く度に足下の草が茂り、そして直ぐに枯れていくところ
・タタリ神に取り憑かれそうになったサンの体内からタタリ神の触手が出てくるところ
・ヤックルのお尻に矢が刺さった時の痛み、それでもアシタカの後を歩こうとする姿
・エボシがシシ神に向けて石火矢を放つ際に、シシ神の能力で石火矢から草が生い茂るところ
・シシ神が死に、たくさんのコダマが死んでいくところ
・シシ神が首桶に入れられている生々しいところ
大人になった今でも、「え、師匠連って何?」といった感じで観る映画IQしかない私だが、この映画の持つ魅力は何一つ変わらず、僕の中で生き続けている。
リバイバル上映ありがとう!
リバイバル上映のおかげで初めて映画館で本作を鑑賞。
今までDVDでしか観ていなかったので、ようやく大スクリーンで迫力の映像を堪能できました。配信が無いため、本作は繰り返し視聴していませんでしたが、そのおかげで新鮮な気持ちで鑑賞。
なんとなく見落としていたシーンや、登場人物の感情の機微にも新たな気づきがあり、やはりお気に入りの名作は、機会のあるごとに繰り返し鑑賞しておくべきだなと思います。
本作のタイトルは元々「アシタカせっ記」だったらしいですが、そういわれれば「もののけ姫」ことサンよりも、アシタカがメインの物語でしたね。主人公であるアシタカはカッコよくて立派ではありますが、生まれ故郷で同年代の友人達と馬鹿な事をしでかすところも見てみたかったです。
今回のリバイバルは本作のみで終わりのようですが、月1エヴァのように、月1ジブリもやってくれないかと期待しています。
音はリマスターしなくてよし!
映像と違って、音はノイズを取って少し整えればいいわけではなく、原音をいじる事になるので、当時のスタッフ以外が触ったらもうオリジナルではない。モノラルでもステレオでもオリジナルが最高であって音響効果・作曲家以外のその道の素人が音をわかっているはずがないし作っていいものができるはずがない。
もののけ姫は元から5.1だったから安心してみられた。
怒り
1997年公開時から28年ぶりの4Kリバイバル、IMAXで観るという幸せな映画体験でした。傑作・秀作揃いの宮崎アニメの中でも特に好きな作品ですが、公開時から時代も変わり、自分自身も歳を重ね、当時と感じ方の違いがあったのも楽しめた理由かなと思いました。「アバター」(09)など色々な映画に影響を与えたと思える映像表現、例えば「生と死をつかさどる」シシ神という存在を、森を歩く足下の草が瞬く間に生長し枯れるシーンで表現する創造力に思わずため息が出ます。かと思えば、森の豊かさをコダマの数や表情・しぐさ、独特の音で表現し、とりわけサン(石田ゆり子)をおぶったアシタカ(松田洋治)のマネをしているコダマのシーンには、子供らを楽しませたいという宮崎監督の情熱を感じて嬉しくなりました。人類が地球の生態系へ影響を及ぼしているという「人新世」が提唱されたのが2000年、アル・ゴア氏の「不都合な真実」が2006年、そして近年、誰もが実感している異常高温や暴風…。それらに先駆けて今作が作られていることにも改めて感じるものがありました。冒頭に書いた感じ方の最も違っていた部分は、宮崎監督の「怒り」を当時よりも強く感じたことでした。アシタカやサンという若者たちや深山に300年も棲んでいる山犬・モロの君(美輪明宏)の視点で、エボシ御前(田中裕子)やジコ坊(小林薫)といった大人たちの振る舞いを鋭く批判しているように感じました。様々な想いが詰め込まれていて、語り尽くせてない部分も含めて、これから何度も思い出しながら反芻していきたい作品でした。
「人間なんて大っキライだ!」
昔ビデオの時代に1回だけレンタルで観たことがあったんだけど、25年ぶりぐらいに劇場でIMAXで4Kデジタルリマスターを観てきました。
「人間なんて大っキライだ!」って作中のセリフがあるけど、えー僕もキライです。人間なんて。
「人間を食べると血が穢れる」ってセリフも、当時から強烈に心に残ってまして、宮崎駿というと『もののけ姫』というと、この2つのセリフを思い出します。
この2つのセリフに宮崎駿というアーティストの作家性が詰まってると思う。
おおざっぱに言うと人間と自然の関係を描いてると思うけど、ジェームズ・キャメロンが影響を受けているのは有名ですよね。
キャメロンいわく『アバター』のラストシーンには『もののけ姫』へのオマージュがあるらしい。
最近、熊が出没して人を襲うニュースが多いけど、人間が自分達のことしか考えずに自然を壊すからだよ。
特に酷いのが中国製のソーラーパネル、メチャクチャに自然を破壊して、住む場所も食べ物も奪われ、そりゃ怒るよ恨むよ動物だって、動物だって被害者だ!!
ホント、人間ってクソだわ。自分もだけど。
大事なメッセージを持つ映画だと思います。
観てない方は、この機会に是非とも観て下さい。
ジブリの中で1番好きな映画で、スコアは90点。
もう1回観ます♪
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