劇場公開日 2025年10月24日

「得体の知れない何か」もののけ姫 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 得体の知れない何か

2025年12月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

約30年振りに劇場にて4Kで再鑑賞。やはり、スクリーンで鑑賞すると迫力と臨場感が桁違いです。本当に来て良かった。

私は信仰を持っておらず、神様を信じてはいないのですが、漠然と八百万の神は居ると思っています。それは、子供の時から山や海、森などには何かが潜んでいそうで、得体の知れない何かへの畏れを感じていたから。得体の知れない何かというのは、私だけが感じたものではなく長い間人類が感じてきた普遍的なもの。それを概念化したのが神なのではないかと。

この八百万の神を制圧しようとするタタラ場(文明社会)に生きる人間と、山に生きるサンは一見正反対に見えます。しかし、人間が生きる文明社会も山がないと成り立たない。今も解決していない、いや今後も解決しそうにない人類の抱えるジレンマをサンとエボシ御前で表している様でした。

山と共に生きるサンも
サンを救いタタラバの人を救うアシタカも
開発を進めるエボシ御前も
全てが人類の象徴。

しし神様は、あらゆる生命体を司る崇高な何か。
私の生も死も、しし神様次第です。
台風、噴火、地震、津波などもしし神様の領域。
だから、たくさんの死をもってたくさんの生を生み出します。

個人的には人間よりも、犬神モロ、乙事主様、しょうじょう達の存在がブッ刺さりました。思いっきり人間族でいることに罪悪感を感じましたし、全ての生き物が人間族を恨み憎しみ、苦しみを訴えかけてきた錯覚に陥りました。人間族でいることが恐ろしい。

「俺たち人間喰う」
「人間にもなれず山犬にもなりきれぬ哀れで醜い可愛い我が娘だ」
「わしの一族を見ろ。みんな小さくバカになりつつある」

ミカ