「森は生きている。殺すのは誰?」もののけ姫 Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
森は生きている。殺すのは誰?
娘が泊まりに来たので映画の話しをした。
「おとう最近何観たの?」
「秒速5センチメートル。実写2回、新海誠の小説読んで、お前が押したアニメ3回観て鈴木史子のノベル読んで、鼎談動画見て約5千字のレビュー書いた」「ほぉ」
「お前は何観た?」「チェンソーマンと、もののけ姫」
「もののけは、吉祥寺プラザの閉館上映に行ったでしょ」「あれは思い出、今回は体験」
「スラムダンク」好きの娘はIMAXを初め、全ての上映形態で観たらしい。結局、Dolbyシネマが一番だと。
「だからもののけをDolbyシネマで観た。音が頭上から降って来る。浴びるんだよ。Dolbyシネマで観れば、昔と違う事感じるよ。」
老いては子に従え。Dolbyシネマではないが、なるべく音の良い画面の大きな劇場でとTCXシアターへ。
11月19日(水)
TOHOシネマズ日本橋で「もののけ姫」(4Kデジタルリマスター)を。
初公開時劇場鑑賞済、その後金曜ロードショーで複数回視聴。
アマゾンの熱帯雨林の伐採が凄いスピードで進んで、跡地は大豆畑にして大豆を生産している。地主は土地が高く売れ、大豆生産者は食料として売り利益を得られるが、樹木伐採によって干ばつが加速度的に進むらしい。
森が死んでいる。
本作が作られて28年経った今でも、いや舞台となった室町時代やそのはるか前から利権と自分たちの利益のために世界の何処でも人は対立し、戦い、憎み合っている。
シシ神様ではなくクマ神様が人里に出て来る今日この頃、木々は伐採され大量のソーラーパネルが敷き詰められている。新しく建てられるマンションはオール電化。
地元に1年前に建った高層マンションは上層階は億ションだが、投資目的の中国人が買い居住していないので、夜は電気が点いていない。周辺には木造の空き家が多い。隣駅の駅前に4棟の高層ビルの計画がある。
曇りのない眼で良く周りを見て欲しいものである。
宮崎駿の世界では、いつも森は生きている。
豊穣の森で生きているトトロは憎しみも争いもない。
心を盗まれても元気で生きていける。
サンは森で、私はたたら場で暮らそう。共に生きよう。
宮崎駿は、「生きろ!」そして、「君たちはどう生きるか」を問い続けるのである。
ラスト、ジコ坊に一言言いたい。「馬鹿はおヌシだ」と。
アシタカ、一度自分の村に帰らなきゃ駄目だよ。呪いは解けたと。
