「『風の谷のナウシカ 』の精神的続編。 天才・宮崎駿ここに極まれり❗️」もののけ姫 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
『風の谷のナウシカ 』の精神的続編。 天才・宮崎駿ここに極まれり❗️
自然を軽んじる様になった中世日本を舞台に、呪いにより村を追放された青年アシタカが、山犬に育てられた少女サンと出会うことにより神々と人間との戦に巻き込まれていく時代物ファンタジー。
監督/原作/脚本は『となりのトトロ』『魔女の宅急便』の、巨匠・宮崎駿。
山犬の姫サンを演じるのは『3-4x10月』『平成狸合戦ぽんぽこ』の石田ゆり子。
タタラ場の頭領、エボシ御前を演じるのは『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』『夜叉』の、レジェンド女優・田中裕子。
第21回 日本アカデミー賞において、アニメーション作品としては初となる最優秀作品賞を受賞!
20数年前、少年時代に映画館に連れて行ってもらい鑑賞した『もののけ姫』。
満員の会場で立ち見をした記憶が朧げながらある。
この時に受けた衝撃こそが今の自分を形成しているといっても過言ではないかもしれない。
それだけこの映画はすごかった!
今まで自分が観てきた子ども映画とは全く違う、いい知れない何かがこの映画には存在していた。
そして時は流れて2020年。
まさかこの映画が映画館で再上映されることになるとは!これが怪我の功名というものか!
本作を一言で表すならば『風の谷のナウシカ2』。
『ナウシカ 』で描いていたテーマを再構築して再び映像化したといったところでしょうか。
そのため『もののけ姫』と同時期に『風の谷のナウシカ 』も再上映されるのはありがたい!流石ジブリ、わかってらっしゃる。
『もののけ姫』を鑑賞後、連続して『ナウシカ 』も劇場で鑑賞するというフルコースを味わうことが出来ました!
映画版『ナウシカ 』は同名漫画の連載中に作られたもの。
そのため、漫画版『ナウシカ』と映画版『ナウシカ 』はかなーり作品のテイストが違う。
漫画版ナウシカの連載終了は1994年。
『ナウシカ』の完結は映画公開年とは10年も間が開いており、当然ながら原作と映画版を比べると物語の展開からキャラクターの描き方から作品全体に流れる思想から何もかも違う。
本作は制作に3年かかっているらしいので、漫画『ナウシカ』完結直後くらいから作り始めたのだろう。
おそらく宮崎駿は漫画版『ナウシカ』を映画化したかったのではないだろうか。
とはいえ『ナウシカ』はすでに映像化しており、同じキャラクターを使ったアニメは作りたくない。
そこで始まったのがこの『もののけ姫』というアニメの企画だったのではないかと予想しています。
自然を敬うことを忘れ、神々の住う森をただの資源として扱う様になった人間たち。
その人間を率いる女頭領エボシは森の住人からしたら悪魔の様な存在。
しかし、売られている女を見れば片っ端から買い仕事を与え、ハンセン病患者にも分け隔てなく接し、周辺国の大名に屈することのない豊かなコミュニティを築き上げている彼女の姿は、我々人間からすれば非常に優れたリーダーの様に映ります。
神々に対する敬意を忘れ自然を汚す行為の傲慢さ。
しかし、自然を破壊することにより発展してきた人類を完全に否定することも出来ない。
その二律背反的なテーマを、「曇りなき眼」で見つめ描き切った宮崎駿の偉大さよ!
大体、時代劇でも室町時代の地方を描いた作品なんてほとんどないと思うのです。
そんなよくわからない時代・場所を舞台に映画を作ったことがまず凄ぇ。
こんなこと普通の人間にはできない。
宮崎駿以外で出来そうな監督…全く思い当たらない。おそらく今後も出てこないでしょうね。
アニメーションの凄さも日本歴代最高到達点だと思う。
アニメの世界では、犬を動かすのが一番難しいと聞いたことがありますが、これほどまでにリアルな犬の描写が沢山描かれるアニメも他にないかも。
今や馬を走らせることのできるアニメーターも少なくなったと聞いたことがあります。このアニメの様に、生き生きとした動物が沢山登場する作品は今後生まれないのかも知れないですね…。
アシタカかっこよすぎ!
俺の右手が疼くぜ…!的な厨二的な属性を持っていながら、全く痛々しくないのはそのイケメンな顔面と性格のおかげかな。
人間離れした身体能力と、神仏の様に達観したメンタリティは正に漫画版ナウシカを見ているよう。
アニメ界のイケメンNO.1は間違いなくこの人。声もサイコー。
昔はなんとも思わなかったが、改めて観るとサンがめちゃくちゃ可愛いことに気がついた。
素の話し方がかわいい。小刀を貰った時に、女の子っぽくなるところもかわいい。
エボシもジコ坊もゴンザもみんないいキャラクター。
悪役(に見える)の人間もみんな魅力的なのがこの映画の凄いところ。
脚本・キャラ・作画・テーマ・役者、全てにおいて一級品の伝説的な映画。
日本映画界の一つの到達点として、今後も語り継がれることでしょう。
文句なしの満点!
> 『風の谷のナウシカ 』の精神的続編
なんですね。自分もコロナ禍下での映画館支援で上映された両作品を劇場で初めて観て、その映像の凄さ、映画館でこその醍醐味を味わい、あらためてレビューする中で、たなかなかなかさんの言う意味を知りました。ナウシカに感動していた俺って単純なんだなあ、と思いながらもそれはそれで納得し、「もののけ姫」の重厚さを知ることができて幸せ!!!
たなかなかなかさんのコメントみて、あれって思ったんです。ナウシカ4点で、もののけ姫5点、私の中では違和感だったんです。そこで他の方ももののけ姫評価高いので、観に行くことにしました。
結果、よかったです。素敵なコメントありがとうございます!