劇場公開日 2014年1月25日

「残念、二つの点から名作なり損ね」めまい(1958) KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0残念、二つの点から名作なり損ね

2020年7月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

NHKのBS放送を録画して
十数年ぶりに再鑑賞。
この映画は「サイコ」や「裏窓」等と並んで
評価の高いヒッチコックの作品だが、
次の2点からどうしても名作に挙げられない。

一点目は、これはヒッチコックが
スタッフの反対を押し切って採用したとして
有名な話だが、中盤過ぎにカラクリを
明かしてしまった件だ。
もし謎が最後まで維持され、
ラストの二人が階段を駆け上がるシーンが、
現在と事件当日双方を
細かくカットバックして描かれていたら、
中盤の種明かしパターンの本作以上に
大変な驚きとサスペンスフルな盛り上がりで
どんなに高い評価になっていたかと思うと
残念で仕方が無い。
この点について私はサスペンスの巨匠が
男女の心理表現にこだわりすぎた“勇み足”
と考えている。

二点目は、ホテルのシーンだ。
真相が分かっていない段階では、
入っていったはずの妻を
女支配人が見ていないとの話に、
これはどんなカラクリなのかと不思議だった
場面だが、真相が判明されてからは、
なるほど本当の妻は
ホテルに入って来ていない訳だから
女支配人が「奥様は来ていない」と証言
したと思われる。
そして偽妻は非常口かどこかから
ホテルの外に出て車に乗り去った
と監督は言いたいのだろう。
しかし待って欲しい。
偽妻の容姿は本妻にかなり似ていたはずだ。
しかも女支配人が証言したのは
彼女がホテルに入った直後。
女支配人の口から
「そう言えば奥様に似た方が先程入られ
ましたね」との証言が出るのが自然だろう。
このような脚本の不徹底さは世界興行レベルの作品では許されない。
あえて言えば、このホテルエピソードは
カットすべきシーンだ。
あるいはこの女支配人も夫の手の者
と言うのだろうか。

以上の2点から、「めまい」は惜しい、残念
なヒッチコック作品と言わざるを得ない。
これらの点について、
どなたに御意見をいただけましたら。

KENZO一級建築士事務所
こころさんのコメント
2020年7月9日

同じ作品を観ても、捉え方や感じ方が違うので、皆さんが書かれているレビューをつい読んでしまいます。
観ている作品の数は少ないのですが、映像が引き込む力の凄さを感じています。

こころ
こころさんのコメント
2020年7月7日

「一点目」については、書いていらっしゃるように、女性支配人か嘘をついたと考えると辻褄が合いますよね。
「ニ点目」についてですが、その後の行動において、彼女自身の徐々に色濃くなる違和感や恐怖を、彼女と同じタイミングでよりリアルに鑑賞者側が感じる事が出来るのではないでしょうか。
(あくまでも私個人の感想です。)

こころ