ミツバチのささやきのレビュー・感想・評価
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静かな混乱
恐ろしく台詞が少ない。しかも決定的な事件も少ない。だから話が難解になっている。
ポイントは3つ。
「フランケンシュタイン」「ミツバチ」「キノコ」
この3つの場面だけはいろいろ説明しているので、
その説明の文言をヒントに解明するしかない。
時代背景も色濃い。当時のスペインは内戦が終結。
それでも社会は混沌としており、この映画のフェルナンド家族もまた、
そんな社会情勢に翻弄されていた。
窮屈な社会=ミツバチの巣
新たな希望=創造物としてのフランケン
そして、キノコは死をイメージさせる。
台詞欲しいところも多々あった。
父フェルナンドは娘アナを何故に叱らないのか。
フェルナンドと後妻?テレサは一切の会話がないのは何故か。
何とも深い話だが、3回も見直して疲れました。
ヴィジュアル系映画
なんだ、こりゃ?
1940年代、内戦が終戦したばかりのスペインのとある農村が舞台。幼い少女アナが、村を回る映画で「フランケンシュタイン」を観、姉に「フランケンシュタインは死んでない。精霊だから」と教えられ、村はずれの廃墟で負傷した脱走兵に会い、… と起きることだけを羅列すると、こんな映画。
しかしこの映画の真髄は、少女の思い描く心象風景なのだろうから、上記には大した意味はない。
心象風景とは言っても、映画は現実に起きることを撮影してるだけで、ファンタジーではない。フランケンシュタインのくだりだけが、アナの心の中にあるだけの映像か。それでいてこの映画全体を「心象風景」と感じさせるところが、この作品の、この監督の凄いところだろうか。
なんか偉そうに書いたけど、「なんでミツバチのささやきなの?」を筆頭に、ちっともわからなかった俺でした。これからみんなの感想を読んで勉強してきます!
2025/2/23追記
ビクトル・エリセ監督は、題名(西: El espíritu de la colmena、直訳「蜂の巣の精霊」)について以下のように語っていたそうだ。
--- ここから ---
タイトルは私が考えたものではなく、偉大な詩人であり劇作家のモーリス・メーテルリンクにより書かれた、蜂の生活について書かれた最も美しい本と思われる作品から引用した
--- ここまで ---
嫌だね。
抗しがたい死の魅力
愛らしくてとても、とてもおそろしい映画
ミツバチのように光り輝く子供たちの魂とは
ビクトルエリセ 監督。
わたしが10代で出会って、最も敬愛する映画監督の一人。
その衝撃は、この映画、ミツバチのささやきの国内上映をリアルタイムで観た瞬間からだった。
それ以来、何度観たであろう。
テレビで、ビデオで、レーザーディスクにDVDにブルーレイの時代となっても。
この数年、リバイバル上映があったがチャンスを逃したので、映画館の銀幕で観るのは、80年代以来だから40年ぶりか。
奥行きのあるフィルムの印象から4Kレストアとなり、時代も変わり、年齢も、考え方も、あらゆることが変わった今、あの頃とまったく変わらない魂で安心して観れる映画などなかなか無いだろう。
これだけ時間が経って変わったことと言えば、映画の時代背景に対する歴史観も知識が多少増えてるし、実際にその後スペインにも行って土地勘もあるし。
なんといってもミツバチに対する愛情がこの映画で増したから養蜂家に憧れ、今ではミツバチの生態や飼育の知識もあって、そういったシーンもガッツリ観てしまうところが、ちょっとだけ進化したかな。
でも、それらはどうでもよいこと。
この映画の魂は、そこじゃない。
アナとイサベル姉妹はかわゆいだけじゃない。
反戦を表に出さずとも、この歪んだ大人の世界を、多感な感性で影響受けながらも魂から変える力が子供たちにはある。
そう、あの神秘的なミツバチのように、静かに、しかし力強くささやくのだ。
この映画がヨーロッパらしい暗い場面が多いけど、それはより光を感じるため、未来に生きる輝かしい子供の存在を際立たせることにつながってる。
そんな微細な光を感じられるのは映画館じゃないと。
とにかく、映画館で観ることをおすすめすします。
伏見ミリオン座 にて
※評価5の映画史上最高傑作10選+α
2001年宇宙の旅
惑星ソラリス
ブレードランナー
未来世紀ブラジル
ミツバチのささやき
ブリキの太鼓
時計じかけのオレンジ
裸のランチ
ウンタマギルー
ナウシカ
もののけ姫
ストレンジャー・ザン・パラダイス
バグダッド・カフェ
ドゥ・ザ・ライト・シング
※わたしの評価の基準
期待通りで3、期待しすぎで普通でも3、期待せず予備知識もなく面白かったら3、それ以上なら4、それ以下なら2。
よっぽど酷いと1。
期待を裏切る良さがあれば4だし、完全に裏切られるほど期待を遙かに超えてたら5です。
深く静かな映画
動きが少なくてちょっと退屈した
総合:55点
ストーリー: 50
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 65
最初の一時間というもの、物語らしい物語はない。幼い姉妹の学校生活、家庭生活、茸狩りやお喋りや夜に寝る前のちょっとした小話、そんな何気ない日常がひたすら描かれる。フランケンシュタインの映画と、それに感化されて村外れの空き家に行く冒険が、日常とは少し違う映画の物語らしい部分という程度だろうか。そんな小さなことが少し寂しい風景ながらも美しく暖かく繊細に淡々と描かれる。それは悪くないのだが、だがあまりに話が動かないので正直少し退屈もした。
後半、やっと物語が動き出す。しかしそれでも動きはゆっくりで、子供の目線で子供の時間で進行する。子供の目で見た世界はちょっと神秘的で幻想的。だがやはりちょっと退屈だった。
カメラワークも子供たちの演技もいい。映像は文学的な崇高さがあるし、アナの存在はとても大きな魅力だし質は高いなと感じるのだが、全体に大きな進展がなく動きもゆっくりで、それほど面白いとは思わなかった。上映時間のおよそ2/3が日常風景の描写では、流石に長すぎて暇を持て余す。映像の良さやそれが醸し出す雰囲気も大切だが、物語も映画には大切。そのあたりがあまり自分の感性に合わなかったのだろう。同じビクトル・エリセ監督で同じような雰囲気の作品でも、「エル・スール」のほうが物語があってずっと良かった。
深く静かな諦観
ミツバチの巣を模したガラス窓は、
そこから出る事を禁じる牢獄の鉄格子にも見える。
内戦後のスペインの、さびれた村で「フランケンシュタイン」が巡回上映
される場面から始まる、絵画のように美しい映画だが、前半は正直に言うと
眠気を感じてしまった。
だが見終わった時、忘れる事のできない深く静かな諦観に浸されていた。
腑分けされた死体から繋ぎ合わせられた怪物の悲しみと、切り離されて
また寄せ集められたごとく暖かさを感じられない家族の虚しさが共鳴
している。
アナとイサベルの姉妹も、まるで一人の少女が内包する善と悪を分割して
生み出されたようにも思える。
アナの瞳は、引き込まれる漆黒の闇(ブラックホール)のようでもあり、
相対する物の姿を映す鏡のようでもあった。
幾つもの問いかけが、こたえのないまま、ささやき続けられる。
「あなたは来ない人を待っているの?」
「あなたは精霊を呼んでいるの?」
「あなたは人生を諦めているの?」
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