「ジャニス・ジョプリンが昨日死んだ」ミッドナイト・エクスプレス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャニス・ジョプリンが昨日死んだ
折りしもハイジャック事件が多発していた。映像からもエキゾチックな雰囲気と同居する闇の世界が広がっている。麻薬を板チョコ大にアルミに包み、腹に巻く。税関の言葉もわからず、心臓の鼓動がドクドクと伝わってくる中、恋人スーザンの「ジャニス・ジョプリンが昨日死んだ」という日常の会話。折りしもハイジャックのニュースもあって厳重体制なので彼は爆弾犯と間違われた。
収容所ではいきなりの拷問。気絶していたところをジミーとエリックが介抱してくれる。弁護士について教えてもらっても「脱獄(ミッドナイト・エクスプレス)するのが一番」だと聞かされる。脱走計画を立てたジミーは捕まり殴られ睾丸を無くした・・・ぞっとする話ばかりだ。
模範囚として過ごし残り53日となったとき、裁判のやり直しの話を聞かされる。そして裁判は簡単に30年の刑を科す。決意が固まった瞬間でもあった。早速仲間と水路へ抜ける地下を掘り脱走を企てる。
5年経ってスーザンが面会にきたとき、窓越しで彼女の胸を見ながら自慰行為に耽る姿に涙が出そうになった。アメリカとトルコの外交の見せしめ、犠牲となったビリー。理不尽なことだらけだし、同室のトルコ人の囚人には裏切られるし、暴れたため精神病棟に入れられるし・・・
最終的には所長が誤って死んでしまい、所長の制服を拝借してギリシアまで逃げることができたビリー。アメリカとトルコがこの映画がカンヌで公開されたことによって、囚人交換協定を結んだ実話だなんて、ちょっとした勇気がなかったらなし得なかったこと。なにもハシシを不法所持しなければいいとは限らない。無実の罪だって投獄される恐れなんて世界中どこにだってあるんだと言わんばかりのドキュメンタリータッチが重くのしかかってくる。それにしても、映画の力もすごいものだ。