三つ数えろのレビュー・感想・評価
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【”様々な大いなる眠り。”今作は前半は多数の怪しい人物登場により脳内フル回転で観るが、後半は名匠ハワード・ホークスが原作を上手く改編しているために分かり易いエンターテインメントになった作品である。】
ー 最初に敢えて書くが、今作の原作であるレイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」は既読である。だが、それでも今作の展開は、原作を読んでいないと(読んでいても:名匠ハワード・ホークスが結構改編しているから。けれども、それで分かりやすくなっている気がする。)難しいのではないかな、と思った作品である。-
■私立探偵フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート)は富豪の老将軍スタンウッドに呼ばれ、次女カルメン(マーサ・ヴィッカーズ)が古書店主ガイガーから脅迫され金を要求されている件の解決を頼まれる。
調査を進める中である一軒家にたどり着いたマーロウは、そこでガイガーの死体とその側で酔っ払い、意識が朦朧としたカルメンを見つける。
一方、勝気だが聡明な長女ヴィヴィアン(ローレン・バコール)も何かを隠している様子であった。
◆感想<Caution!内容に触れているかな?>
・冒頭に記した通り、前半は原作を読んでいても脳内フル回転で鑑賞する。私見だが、そもそも今作の原作であるレイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」自体が、可なり複雑な構成になっており、確か集中して読んでも結構時間が掛かった記憶があるからである。
尚、今作は原作を忠実には映像化していない事も記していく。
それにより、私は今作の後半、特にラストが、映画らしい面白みに繋がっていると思うのだが・・。
・今作が映画として魅力なのは、コレマタ私見なのだがフィリップ・マーロウを演じたハンフリー・ボガートが、(マーロウの原作イメージに合ってはいないのだが)矢張り渋くて惚れてしまった勝気だが聡明な長女ヴィヴィアンを守ろうとする姿が良いのだな。
又、ヴィヴィアンもフィリップ・マーロウに惹かれて行く姿も。
マア、これを書いたらおしまいって感じなのだが、この映画はハンフリー・ボガートと、妻であったローレン・バコールを観る映画なのだと思ったのである。
そして、原作とは違う”三つ数えろ!”のラストが、ナカナカなのである。
<今作は前半は多数の怪しい人物登場により脳内フル回転で観るが、後半は分かり易い展開になって行く作品なのである。>
いきなり観たら絶対わかりません
映画としては「カサブランカ」が一番有名、且つ名作とされていますが、「マルタの鷹」と共にボガード選手の特徴が最もよく出た作品です。ハードボイルドの意味を知りたければこの二作を観れば理解できます。
ハードボイルド小説というのは、謎解きやプロットに重きを置かず背景や心情などの描写を廃棄して、単一視点から目の前に現れた事実だけを語ってゆくリアリズム手法で成立しています。この作品に限らず、え、なんで?え、あの人どうなった?的なところが散見され、推理小説マニアですらハードボイルドを認めない人も多くいます。
とはいえ、当作はあまりにも有名で、あまりにも探偵小説史上で重要な大傑作ですので、当然読んでいることが前提につくられています。
小説ですら複雑な筋書きを2時間の映画に収めていますので省略も多く、昨日読み直してから観た私でさえ、何度も見直し再生しながらそれでもよくわからないところが多々あるので、予備知識なしで観たらチプンカンプンになります。
内容がよくわかない、というレビューが多いのも当然です。
読む時間がなければ、WIKIで登場人物やあらすじを読んでから観ることをお薦めします。
尚、この映画は「大いなる眠り」という邦訳の本が出る前に公開されたため、こんなタイトルになってしまったと推察します。
本作は同じ監督と俳優で、1945年版と1946年版の二つあるとされている
なかなかに有名な作品
しかもハワード・ホークス作品
主演はハンフリー・ボガート、脇役にローレン・バコール
さぞかし面白いだろうと思うのだが少々期待はずれ
ストーリーが複雑な割に大して面白くない
だが、やはりハンフリー・ボガートとローレン・バコールの魅力につきる
それだけで最後まで辛抱できるのだから
本作は同じ監督と俳優で、1945年版と1946年版の二つあるとされている
とは言え、実際は1946年版が正式公開版であって、1945年版は一旦完成しただけのものでいわばパイロット版に過ぎない
それにリテイクと再編集を加えたものが1946年版という訳だ
要は戦争前で、完成したものの公開が伸びて塩漬けになっていた本作を、ある事情で急遽リテイクと再編集を加えて公開に踏み切ったということ
期待の新人ローレン・バコールの評判が他作品で劣悪だったためテコ入れをしたというのが本当のところということ
いずれにせよローレン・バコールは本作によってようやくスターになったのだ
DVDには両面に両方の版が収録されているが、1946年版を観るだけで十分と思う
特典映像にその違いの解説が収録されているのでそれでこと足りる
男も女も気障でいられたいい時代だった。
ボガート&バコールの魅力を堪能すべし!
『脱出』(ローレン・バコールのデビュー作)で共演して結婚したH・ボガートとL・バコールのカップルが素敵過ぎて、ストーリーの分かりにくさや回収されずに終わった伏線(運転手の死は自己だったのか?それとも殺されたのか?だとしたら、誰に?)なんかはさほど気にならない。とは言え、観終わって「んっ?」となって思わず最初から観直したくなるのも事実。これは脚本の問題というよりも、チャンドラーの原作がそういうものだったのかもしれない(確か原作『大いなる眠り』も読んでいるはずだが、まったく覚えてない!)。脚本には、ノーベル賞作家W・フォークナーや後にR・アルトマンの『ロング・グッドバイ』を手掛けることになるL・ブラケットも参加しているのが、興味深い。
とにかく、ボガート&バコールというカップルの魅力を堪能すべき作品。
『脱出』にバコールを起用するよう彼女を推薦したのは、当時のボガート夫人だったそうだが、まさか夫を取られることになるとは思わなかっただろうな。
ローレン・バコールのかっこよさに惹かれる!
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