劇場公開日 1989年3月11日

「差別主義者は悪口や迫害しかやることがないのでは」ミシシッピー・バーニング 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0差別主義者は悪口や迫害しかやることがないのでは

2024年9月16日
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鑑賞方法:VOD

 今作に出てきたKKKのような差別主義者は、人生においてやることが、悪口や迫害といった行為しかないのだろう。作中のFBI捜査官の台詞に「黒人を憎んだおやじの本当の敵は貧乏だった」とあるように、そうなる要因の一つが貧困にある。

 金も教育も無い。そのため特に能力や知識も無いので、人生においてやりたいことも無いか、もしくはできない。閉鎖的な田舎では、人生の先も見えているので、現状を打開していく気力も湧かない。黒人がいると仕事の競争相手が増えて自分達の仕事が無くなる恐れもある。そういったフラストレーションを、黒人に対する差別という形でぶつけるしか無いのだろう。なぜなら、仕事、家族や友人といった人間関係、または趣味などが充実していれば、そのような行為に費やす時間は無いはずだからだ。彼らはまず、自分の人生を充実させようと努力する必要があるんじゃないか(自戒の念も込めて...)。

 黒人差別の歴史は、多少の嫌がらせ程度のものではなく、命の危険に晒されるレベルだったと知っていたが、今作はそういった差別を映像化してくれた点で貴重だと思う。

根岸 圭一