劇場公開日 1989年3月11日

「白人至上主義」ミシシッピー・バーニング うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0白人至上主義

2024年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

今見たら、また違う感想を抱くに違いない。

でも、もうその気になれない。

当時、映画といえば、純粋な娯楽作品が絶対条件で、自分にとっては、スピルバーグやルーカスのフィルムがそれであった。

ヒーローが悪を倒し、カッコよく去っていく。思えば、そんな映画ばっかり、いったい何本見たことか。

やがてスピルバーグは『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』でオスカーを獲得し、今も監督業を続けているが、その作風は大きく揺らいでいる。

人種差別を題材にして、見る人の心を揺さぶるのは、一種の禁じ手なのだろう。誰も何も言えなくなる。もちろんあってはならないことだが、この映画からもう30年近い年月が流れても、未だに白人至上主義がまかり通る社会は、なくなっていない。

きっと、これから30年たっても、人種差別を題材にした映画はなくならない気がする。
『ブレードランナー』が奴隷解放運動を根底に据えたSF娯楽映画であったように、テクノロジーの進化は、人種を開放しない。

アメリカが根底に抱える病理は、もう立派にビジネスとして成立している。
当時はその対象が虐げられる側だったのに比して、今は勝てない相手に対する畏怖の感情が混じっているように映る。

差別があるから、生きていられる人だっているのだ。

うそつきかもめ