マルタの鷹のレビュー・感想・評価
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読んでから観ましょう
原作も映画も不朽の名作です。
圧倒的なテンポでグイグイ引張るような演出が際立っています。
ボガート先輩のハマりぶりも圧倒的で、原作のヒリヒリする雰囲気を完璧に再現しています。
但し、原作があまりにも有名すぎるので、読んでいることを前提に作られています。
そもそもハードボイルド小説自体が客観描写に絞った文体が特色なので「なんでそれが分かったの?」「この人なんでここにいるの?」的な背景や心理状態の説明はしてくれません。
ヒューストン先生も原作のこの独特な文体を再現するような演出をとったそうなので、原作を読んでいてさえ集中して観ないと置いてけぼりになります。
参考 ハメット先生はそれまでの探偵小説の概念を根こそぎひっくり返して、ハードボイルドという分野を生み出した作家として探偵小説史上に燦然と輝く巨星です。
ちょうど清張先生がそれまでの探偵小説の概念を破って社会派推理小説を確立したのと相似形と言えます。
両者ともにそれまでの作り物の小説をリアリズムに引きずり出した点で共通します。
読んでから観ましょう
原作も映画も不朽の名作です。
圧倒的なテンポでグイグイ引張るような演出が際立っています。
ボガート先輩のハマりぶりも圧倒的で、原作のヒリヒリする雰囲気を完璧に再現しています。
但し、原作があまりにも有名すぎるので、読んでいることを前提に作られています。
そもそもハードボイルド小説自体が客観描写に絞った文体が特色なので「なんでそれが分かったの?」「この人なんでここにいるの?」的な背景や心理状態の説明はしてくれません。
ヒューストン先生も原作のこの独特な文体を再現するような演出をとったそうなので、原作を読んでいてさえ集中して観ないと置いてけぼりになります。
参考 ハメット先生はそれまでの探偵小説の概念を根こそぎひっくり返して、ハードボイルドという分野を生み出した作家として探偵小説史上に燦然と輝く巨星です。
ちょうど清張先生がそれまでの探偵小説の概念を破って社会派推理小説を確立したのと相似形と言えます。
両者ともにそれまでの作り物の小説をリアリズムに引きずり出した点で共通します。
ひたすらかっこいいハードボイルド
言わずと知れたハードボイルドの傑作です。ダシール・ハメット原作。
ジョン・ヒューストン監督のデビュー作です。デビュー作でこの完成度、というのもすごいですね。
主人公サム・スペイドがかっこいいやつで、演じるボギーがまた文句なしにかっこいい。たまりません。最初は(TVでやってたのを)久米明さんの吹替えで観ました。最後にスペイドが長広舌でもう超かっこいいことを言うんです。シビれました。男だったら一度はそのセリフ言ってみたいものだ笑。
その後DVD買って字幕で観たら、このセリフは字幕でははしょられていて全然つまんない(英語が聞き取れないから泣)。シビれない笑。私はたいていの映画は字幕で見る主義ですが、この映画に限っては英語が堪能でない方は吹替えで見ることをお薦めします。そういう、字幕ではニュアンスを伝えきれない映画って結構あるんでしょうね。DVDとか、吹替えがないんだよな(泣)。メーカーさん、吹替え付きのバージョンを出してください。
トリビア: 最後にスペイドが「(マルタの鷹とは)なんなんだ?」と問われて「夢が詰まっているのさ(stuff that dreams are made of)」と答えるんです。これはハメット(あるいは脚本家)の創作で、これまたかっこいいセリフだ、と思うんですが(多分アメリカ人もほとんどがそう思ってるんじゃないかと推測しています笑)、実はシェイクスピアのテンペストのセリフのもじりです。
ボギー最高の当たり役‼️
ハンフリーボガートのハードボイルドスターとしての立ち位置はこの作品で確立されたと言っても過言ではないでしょう。「カサブランカ」のリックや「三つ数えろ」のフィリップマーロウなども代表作だと思うのですが、やはりこの作品のサムスペード役に尽きると思います。ラスト、女の誘惑を振り切り、警察に突き出す姿はまさにハードボイルドの極み‼️
ヒューストン監督のデビュー作にしてハードボイルドの傑作
ハンフリー・ボガートの速い台詞回しの語感が生む人物表現の深みと重みが素晴らしい。脇役ピーター・ローレの役者振りと巨体の悪役シドニー・グリーンストリートの存在感。たったひとつの心残りは、導入部のメアリー・アスターの登場シーン。贅沢な要求だが、ワイルダーの「情婦」におけるデートリッヒと比較して、謎の美女の効果が弱い。演出・演技の問題ではなく、女優の格の違いが残る。
脚本と演出は絶賛に値する。現代の映画人が制作したならば、およそ2時間は越える長尺を必要とするであろうが、1時間40分に纏め上げたことが全てを物語る。スピード感があり、それでいて不足なのもがない驚き。相棒アーチャーの未亡人と主人公スペードの絡みが巧い。ラストのワンダリーの本性を暴くスペードの、探偵が背負う宿命感もクライマックスとして凝縮されて、見事に物語を完結させる。
ジョン・ヒューストン監督のいぶし銀に輝く、デビュー作の傑作品。
ジョン・ヒューストンの初監督作品
ハードボイルドかつフィルムノアールの古典として超有名
脚本家上がりのヒューストン監督だけに脚本がよく練り込まれており、一筋縄ではいかないお話を手際よくまとめてある
映像も陰影を意識した撮り方が内容にマッチして雰囲気を盛り立てている
ハンフリー・ボガード初主演の出世作でも有名だが、脇役陣の的確な配役と役柄のキャラが引き立つ良い演技をみせる
ハードボイルドの主役の映像イメージは、本作で確立されたと言って良いだろう
襟を立てたトレンチコートにハット、ダブルのスーツ、咥え煙草
このスタイルイメージはカサブランカでも踏襲されてハンフリー・ボガードのイメージそのものとなり、分かち難くなっている
今ではもはやハードボイルドという記号だ
サンフランシスコの地名が時折でてきて、どの辺かと楽しめる
冒頭にチラリと写る金門橋は本作公開の4年前にできたばかり
カイロの財布から出てきたチケットはGeary Theaterのもので、今も都心のユニオンスクエアの近くに実在する
カイロが持っていたパスポートはギリシャ、フランス、イギリスの3冊で、ギリシャ生まれの混血で多重国籍を示すものだろう
もしかしたらギリシャだけは本物で、後は偽造かも知れない
ファットマンが語るマルタの鷹の由来は、後半は映画用のホラ話だが、前半は何となく正しい
中世の聖ヨハネ騎士団がエルサレム、ロードス島と撤退の末、シチリア王よりマルタ島を借りることになる、その賃料は毎年マルタ島の鷹一羽だったという歴史の有名なエピソードだ
今もマルタ共和国として独立国家
古典的名作とのことだが、私的にははまらず。だって事件そのものがイマ...
古典的名作とのことだが、私的にははまらず。だって事件そのものがイマイチ面白くないんだよね。あくまで個人の感想です(笑)
ハンフリー・ボガードの出世作。彼のファンにはたまらんのでしょうね。私は世代が違うのでそうならなかったのでしょう。
演出が古いし、全体的に評価出来なかった
総合40点 ( ストーリー:45点|キャスト:55点|演出:25点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
マルタの鷹というから欧州の話かと思いきや、サンフランシスコが舞台だとは思わなかった。
ハンフリー・ボガードは、相棒が突然死のうが依頼に来た女と突然キスをしようが訪ねてきた男に突然銃をつきつけられようが、いつも何があっても平然としていて態度が変わらない。そして銃をつきつけられるような危険な状況となっても、迫力のない格闘で悪党を殴れば相手は簡単に一発で気絶して倒れ込む。自分は撃たれないし死なないという物語の筋がわかっているから、自分は大丈夫で何事にも動じず主人公としての演技を邁進していますといわんばかりで、自分が命の危険にあるという緊迫感がまるでない。この演技と演出は古すぎて、現代の映画を見慣れているとまったく評価できない。
オーショネシーにカイロにガットマンに船長と、こちらから調査したり出向かなくても勝手にむこうからやってくるし、物語もずいぶんと主人公に便利なものだ。だいたい船長はどこにでも隠せたはずなのに、なぜ切り札の鷹をわざわざ信頼できる味方とは言い難いばかりか、そもそも会ったことも話をしたことすらないボガードのところにもっていこうとするのか理解出来ない。会ったばかりの怪しい嘘つき女に簡単に恋愛感情を持つようだし、交渉の場面も大金と命がかかっているという気がしない。
最後のほうは多少盛り上がり、オーショネシーの迎える結末がちょっと面白いくらい。ハードボイルドの基本ともなった有名作品ということで期待していたが、特に評価できるところもなかった。今では基本から発展して基本よりもはるかに優れた良い作品がいくらでもあり、自分にとっては本作は名前倒れのくだらない作品だった。
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