「鷹&都市」マルタの鷹 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
鷹&都市
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正直言うと、ハードボイルド御三家と言われる作家のうち、ロス・マクドナルドは大半読んでいるのに、ダシール・ハメットとレイモンド・チャンドラーは読んだことがないという偏った読書遍歴だ。
サム・スペードはサンフランシスコ、フィリップ・マーロウとリュウ・アーチャーはロサンゼルスの探偵で、(むろん作家たちが居を構えていたこともあるが)初期のハードボイルドがいずれも西海岸の都市が舞台になっているのは何かしら醸成する土地柄があったのだろう。ちなみにハンフリー・ボガートはスペードとマーロウの両方を演じているが、アーチャーはやっていない(こちらはポール・ニューマンの担当)。
失踪した人物を捜す依頼があり、捜査の過程で死体がごろごろ転がるという典型的なハードボイルドの展開をたどるが、とにかく室内シーンが多く、しゃべってばかりいる。主人公は簡単にホールドアップされたり薬で昏倒させられたりするが、相手の大甘の対応で切り抜ける。様々な関係者が都合よく訪問してきたり、電話をかけてくる。さらに言えば、肝心のマルタの鷹(本物)はついぞ登場しないという…。たぶんハードボイルドの雰囲気を味わうための作品で、細かい辻褄とかを気にしちゃいけないんでしょう。
ロス・マクドナルドはなぜ、この作品の冒頭でいきなり殺されるスペードの相棒の名前を自分のシリーズの探偵の名にしようと思ったんだろう?
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