劇場公開日 1985年12月24日

「新しい場所に旅立つ、そんなハルストレム監督の原点」マイライフ・アズ・ア・ドッグ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5新しい場所に旅立つ、そんなハルストレム監督の原点

2015年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

幸せ

総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 家庭の事情で家を離れる少年が、新たな場所で子供らしく様々なことを経験して新鮮に受け止めていく。でもこういうのってよくある話で、とりとめもなく描かれる日常の小さな出来事の連続に、当初はそれがどうしたといった印象で退屈でもあった。母親のことや他の家族のこともはっきりと描かれず、物語のいきあたりばったりの展開に明瞭性がない。
 でも家族とばらばらで知らない人だらけの場所で生活をせざる得ない少年が、遠くで昔の生活や母親と犬のことを思いながら地域に溶け込んで新しい生活をおくる様子には温かさがある。それは「僕は宇宙に無理やり送られて死んだライカ犬よりまだまし」と自分の不幸を肯定的に捉える少年の天真爛漫さに加えて、周囲の人々も滑稽に温かく描かれているからだろうか。実際、少年の場所は、兄の住む冷えた場所よりもはるかに温かくてましだ。いくつかの不幸を越えて、最後には安らぎと希望もかすかに見れる。物語よりも、登場人物たちの性格と振る舞い、不幸を包み込む暖かな雰囲気を楽しめた。

 本作品のハルストレム監督、「ショコラ」「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」の監督でもある。これらの作品は、見知らぬ場所に旅立ち、自分を発見して成長していく物語でもある。特に「ギルバート・グレイプ」と似ている。彼のそのような旅立ちの作品の原点なのかもしれない。

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Cape God