紅いコーリャンのレビュー・感想・評価
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チャン・イーモウにようやく出会えた
紅い鮮烈な映像美。
1920年代末、中国山東省の小さな村、貧しい農家の娘が嫁ぐ先は造り酒屋の主人。嫁入りの日に輿を担いだ屈強な青年に恋をした。
売られるかたちで嫁いだ18歳の娘は悲劇のヒロインかと思いきや、、、
コーリャン(モロコシ)畑で青年と結ばれ、主人の失踪を契機に青年と結婚し、酒屋を切り盛りし、子供にも恵まれる幸せな日々。
そして突然の日本軍の侵攻。
我々日本人が多くのものを奪った。
多くのものを壊した。
観る我々は一気に現実に戻されることになる。
懐かしい
正義なき西部劇
心を刺す紅、赤、薄赤
中国、香港の映画は赤の使い方が独特で上手い。美しい、怖い、誘惑する、強い、悲しい、幻惑する。コーリャンが旨い紅の酒のもとになる。一面緑だったコーリャン畑を強引に潰させられて土だらけになり車が走る場所になる。仲間の殺害を強要され血の海になる。復讐の真っ赤な爆発が起きる。銃で撃たれてたくさんの人間が赤い血を流して死ぬ。
紅の嫁入り衣装、頭から被り顔を全部隠す紅の布、花嫁を運ぶ紅の輿、刺繍された花嫁の紅の布靴。紅に包まれた九(コン・リー)の若くて純粋なふてぶてしさと強さにとても惹かれる。酒造りの親方として若い衆を大事にし指導力を発揮する女、酒造り職人の番頭を尊敬する女、自分で夫を選んだ女、息子を可愛がる女。音楽は流れない。聞こえるのは短い台詞と酒造りの男たちの歌、花嫁を載せた輿を担ぐ男たちの歌。その男たちに囲まれて女は将来の夫を自分の目で選んだ。
空には満月だったり少し欠けた月だったりが空の真っ正面に浮いている、いや、貼りついているようだった。風にサラサラとなびくコーリャン畑。赤茶けた土。挟み込まれるコーリャンと大地と空の美しく荒々しい映像が効果的だった。地平線が見える大地の逞しさを見せつけるかのように。インドにもモンゴルにもそんな風景を挟み込んだ映画があった。
この映画 日本人として評価できない。
思い出しました。日本人としてはちょっと強烈過ぎて、共感出来なかった。と思い出しました。大変に残念な映画だと思いました。
抵抗運動があまりにもチープで、迫力が無い上に、侵略する日本軍も迫害する合理性が見えない。そもそも、日本兵の犯罪行為が、科学的に立証されていない。アナクロでグロテスクでしかない。中国共産党へのプロパガンダそのもので、大変に残念な映画になってしまっている。
しかし、世界は日本兵の行為をそう見て、この映画に賞まで与えている。つまり、日本人に対して、世界はそう見ているって事。兎に角、この映画を評価できないくとも、日本は中国民間人を1000万人近く戦争の名の元、殺害している。その事を忘れてはいけないと僕は思う。南京大虐殺があったかなかったではなく、侵略したのは事実なのだから。
しかし、それでも、この映画を日本人として評価はできない。残念ながら。
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