ポーラXのレビュー・感想・評価
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世界はコインの裏表 相変わらずの難解映画
引き付けられる映像美はさすがカラックスだなぁ~。内容は難解、何度も見て漸くこう言う事なのかなぁ~と思いつつ社会の構造ってコインの裏表に感じられた。深く考えずに生活していたら何不自由なく生きられたのに・・でも本当の自分は何なのか・・核心を追及する事で破滅に向かう。うーん難しい。でもカラックス作品に魅力された事でこれまでの自分の思考が破滅している。結構悪くない。好きな作品です。
映像芸術としてのカラックス映画
ユーロスペース渋谷のカラックス監督特集上映にて鑑賞。
寡作のカラックス監督作品群で、長編の未見作は本作を残すだけであった。
本作は、イメージ溢れる映像に圧倒されながら、大音響の音楽にも叩きつけられる感を受けた。
ただ、全体的に暗い場面が極端に暗かったのと、白いスクリーンに白文字スーパーインポーズ(日本語字幕)が読みづらかったのは、ちょっと惜しかった。
そもそも、2時間14分の物語展開を理解しづらいのは、レオス・カラックス監督作品だから仕方ない……と諦めるしかない(笑)
覆面作家として出版した本が売れた小説家ピエール(ギョーム・ドパルデュー)は、綺麗な母親(カトリーヌ・ドヌーヴ)と広い屋敷に暮らしていたが、謎の黒髪女性イザベル(カテリーナ・ゴルベア)が現れる。
イザベルは「姉」…という設定で、ピエールとは「姉 弟」と呼び合うのだが、その後、真っ暗な中で交わっちゃうんだけど、「いいのかなぁ…?」とか「本当は血縁じゃないのかも…?」などと謎の関係。
カトリーヌ・ドヌーヴも浴槽内でヌードを披露しているが、こういう雰囲気は前半ぐらいまで。
中盤以降は、ピエールが満ち足りた生活を捨てて、イザベルと共にさすらいながら、なんか暗闇に落ちて行くような雰囲気が漂いながら、破滅への道を……といった感じ。
特筆すべきは、女が服を脱ごうとしている途中でピエールが服の裏側からキスするシーン、そして見事なイメージ映像の“血の川”を二人が流される場面はレオス・カラックス監督ならではかも知れない。
物語の細部までを理解するのは難しかったが、映像芸術としてのカラックス映画は、やはり凄いものがある!
世界の箍が外れる
≪WE MEET LEOS CARAX!≫
落ちたメイクが黒い涙にNortonで疾走するカトリーヌ・ドヌーヴが圧巻で、火花を散らし回転するバイクに衝撃的な末路をイメージするしか無い、唐突にオーケストラみたいに大所帯で奏でられるドラムやギターの音が破壊的で迫力満点、序盤に映し出される空爆の映像と夢であろう血の河で溺れる地獄絵図??
一人の女性に愛されながら違う女性に惹かれ、また同時に愛そうとしているようで実らない関係性、身勝手ながら苦悩して葛藤する男女の三角関係を一貫して描いているように思うレオス・カラックス、強い愛情が歪み切って変態的なものを感じる。
ハーマン・メルヴィル原作の仏語訳から頭文字を取ったPolaに、本作で使われた10番目の草稿を示すローマ数字Xを加えて『ポーラX』ってタイトル、映画の内容と同様に難しさが際立つ。
ギョーム・ドパルデュー
父の遺産によって、母マリー(ドヌーヴ)とお城に住む仮面小説家ピエール(ドパルデュー)。婚約者リュシーとの結婚準備も順調だったが、彼の周りをうろつく謎の黒髪の女の存在が気になっていた。追いかけて問い詰めると、彼女は姉のイザベラだと名乗ったのだ・・・
以前より「この世を超越する」と渇望していたピエールはリュシーも母も捨て家を飛び出し、イザベルと暮らすようになった。二人が結ばれてしまってから超越した人間への興味は失せてしまったけど、母のバイク事故死、リュシーの病気、そしてリュシーが自ら二人と一緒に住むことになったことで急展開する。アパートに住むインド人の少女が死んだエピソードの衝撃はすでになくなっていた・・・ううむ。
妄想と混沌だけの小説家。文学的なんだろうけど、そうした小説家の辿る末路は知れたもの。ただただ暗い雰囲気で進むストーリーで、イザベルも遊覧船から飛び込み自殺未遂してしまう。そして従兄弟であるティボーの存在。追いつめられるほどの確執があったと思えないが、ピエールに銃殺を決意させてしまった。小説家としての悩みのほうが重要な位置を占めているんだろうけど、このあたりはよくわからない・・・
ギョーム・ドパルデューは1996年にバイク事故。2003年には右足を切断しているという。そして2008年10月に急逝。本作でもバイクで転倒しているシーンがあるし、ドヌーヴのバイク事故死のシーンもひどく象徴的。
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