ぼくの伯父さんのレビュー・感想・評価
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社会の寛容さ
今作のテーマは社会の寛容さなのかなと思う。ユロ伯父さんは純粋な子どもっぽさを残した良い人だが、社会性に欠けていて、規律という言葉からはかけ離れている。サラリーマンは絶対に務まらないだろうタイプだ。案の定、妹の夫が勤める工場でも使い物にならない。だが周囲はそんな彼を強く咎める訳でも無く、こういう人なのだと受け入れる。作中では街の子供によるイタズラのシーンもしばしば出てくるが、どこか笑って流せるような可愛らしさがある。世の中には様々な人がいるということを認める社会の寛容さが、人々の生きやすさ、社会の温かさにつながる。ひいては社会全体の幸福度の向上をもたらしている。そんなことを考えさせられる映画だった。
ただ、大した出来事も無い日常生活を中心に描いたストーリーなので、自分にはあまり面白いとは思えなかった。
タイトルなし
小粋な映画だった。
私は、こちらには、粋なセンスと風刺を感じた。
甥はおじさんと遊ぶのが好きだった。
そしてそんなユロは町の人達にも愛され上手くやっていた。
子どものように、無邪気に、素朴に…
そういう指向、そういうテーマはこの映画に一貫して流れていると思う。
それは、また主に最初と最後に登場するワンちゃんたちの群れ方や無邪気な動きに象徴されていると思う。
ユロの暮らす下町と妹夫婦が暮らす環境とがかなり対比的に描かれていて、その構図そのものと、それから、役立たずと見なされ田舎に追いやられるという結果そのものが、なかなかキョーレツで、社会批判的だと思う。
下町の人たちの間抜けさを描きながらもその眼差しは暖かく、妹夫婦を取り巻く人たちの優雅さや洗練を描きながらも、彼らは陳腐にも描かれている。
ジャック・タチからの贈り物
何年か前に開催されたジャック・タチ映画祭で鑑賞した。
ヨレヨレのステンカラーコートとパイプがトレードマークのユロ氏の起こす騒動記。背筋を伸ばした姿は、何事にも動じなさそうな雰囲気を漂わせる。自身はボロいアパート住まいのユロにとって、やや上流階級の妹夫婦の住むオートマチック仕様のモダンな家は馴染まないが甥っ子にの為なら何でもやっちゃう。何をやっても上手くいかないユロは、、、。
妹夫婦の家の魚のオブジェが面白い。
甥との交流が微笑ましい。
見ているだけで安心するユロ伯父さん。
存在するホッとする映画のひとつ。
脚本・監督・主演はジャック・タチ
アカデミー外国語映画賞受賞
カンヌ審査員特別賞のコメディ映画。
※
【”ぼくの叔父さんは、ちょっと変わっている。けれどもぼくはそんな叔父さんが好きなんだ・・。”世間ずれしていないユロ伯父さんを、ジャック・タチが飄々と演じる作品。】
■ユロ伯父(ジャック・タチ)さんは変わり者の独り者。
気ままでのんきなユロ氏は下町暮らし。
甥っ子のジェラールは、そんな伯父さんのことが大好きだった。
何とか一人前の男にしようと画策する姉婿のアルペル氏は、ユロ伯父さんに仕事や女性を紹介しようとするが…。
◆感想
・トーンとしては、チャップリンの映画を彷彿とさせる。
・悪人はおらず、ユロ伯父を演じるジャック・タチの可笑しさが全面に出ている。
<色鮮やかな色彩感覚、不惑以上であれば、何処かで聞いたことのある懐かしい音楽。
効果音を巧みに使った音響の妙、アパートの不思議なデザインなど、唯一無二の世界を作り上げている作品である。>
身体
ジャックタチ演じるユロ氏は性格が日本人ぽく感じる。だから、他の国から見たユロ氏はコメディアンだけど、日本人から見たら、自分らも含めた結構その辺にいるおじさんなのかも。だから親しみが尋常じゃない。
オートメーション化批判
邸宅の門のブザー音と子どもたちの口笛の音。これが耳障りでしょうがない。もしかしたら、この単調で飽きることもオートメーション化への批判になっているのかもしれない。
家族の関係は寅さん。ユロ氏はチャップリン風。よれよれのコートとパイプはコロンボ刑事風。他の映画にもかなり影響を与えているのではないかと思わせる。ジャック・タチ演じるユロ氏以外の俳優は軽快で楽しいが、ユロ氏本人がぎこちなくてつまらない。どこまでが狙った映像なんだろう?
Mr.Beanの大先輩
ユロ氏は子供や下町の庶民の間では人気者なのだけれど、会社員やハイソぶった奥様方からは不興をかう人物。
周囲の人物にはセリフが与えられているのにユロ氏にはセリフがない。Mr.ビーンだな。いや、こちらが半世紀も前の作品なのだから、ビーン氏が後輩ということになる。
ここまで不器用な人、いや、ユロ氏の周りの人々も含めて、不器用な人々が生き辛いのはなぜだろうか?
効率の良い労働力となるべく規格化された人々に、さらに効率の良い消費主体となることを要請される消費社会の萌芽が、一連のユロ氏シリーズの映画には描かれている。
アルペル氏のモダンで無機質な邸宅の2階には丸い窓が2つ並んでいる。夜中にユロ氏がやむに止まれぬ事情で敷地に忍び込むと、不審に思ったアルペル夫妻が丸窓から一つずつ顔を覗かせる。これが大きな瞳のような動きをするのが非常に面白い。よほどこのアイデアが気に入ったのか、同様の丸窓を2つ空けたドアを、途中からガレージにも据えつけている。
この映画は俳優の活躍もさることながら、犬たちの演技が素晴らしい。ゴダールの映画の犬が「パルム・ドッグ賞」を受賞したらしいけど、この犬たちにも与えらる資格は十分にある。
雑談ですが…
ユロ伯父さん(タチ)は変わり者の独り者。工場社長でモダンな邸に住んでいる姉婿のアルベル氏夫人にとっては厄介者だ。
そんなことも気にしない、気ままでのんきなユロ氏を甥っ子のジェラールは大好きだ…
珍しく過去の名作レビューです(*^^*)
理由は昨日久々アニメ「イリュージョニスト」を観て思い出したから。※ジャック・タチ脚本
本作は当時のアカデミー、NY批評家賞の外国語部門、カンヌでも受賞と名作コメディなのだが、レンタル屋で見かけることもなく廃盤プレミア価格と残念なことに…
内容はゆるいコメディで、ずば抜けてストーリーがおもしろいわけでもないのだが、当時のフランス市井の様子、美術、独特の構図など見所満載。
古い映画だがカラーで、マスターの保存がいいのか下手な8-90年代映画より高画質( ;∀;)
詳しい中身のレビューはネット上にごろごろしてるんで、そちらを参考に(笑)
犬たちのかわいさが異常(゜ロ゜)
本作の主人公「ユロ伯父さん」は知らない人も多いが、今では誰でも知ってる有名なキャラのモデルとなっている。
一人はローワン・アトキンソン演じる「Mr.ビーン」!
本人がインタビューで「役作りで一番影響を受けたキャラ」と話している(^^)
もう1人は………
「男はつらいよ」シリーズの「寅さん」Σ(゜Д゜)
山田洋次監督は若いころ大病を煩い、生きる気力も失いかけたころ、こちらの映画と出会い大きな感銘を受ける。
そして、「僕もこんなおもしろい映画を作りたい!!」
と元気になって、タチ演じる「ユロ伯父さん」を日本風の寅さんにし「男はつらいよ」を産み出すのであった。
して、寅さんはユロ伯父さんがモデルなので、監督にはどうしてもやらねばならないことがあった(。>д<)
寅さんを「伯父さん」にすることである(゜ロ゜)
よって1作目で強引にでも、さくらを結婚させて寅さん→伯父さん計画を( ;∀;)
そして、そして、「男はつらいよ」シリーズ開始から20年!
42作目にして「男はつらいよ ぼくの伯父さん」が誕生し、山田監督は悲願を果たしたのであった( ;∀;)イイハナシダナー
レビューというより、雑談で終わってしまったけど(笑)それだけ影響力の強い「ユロ伯父さん」シリーズ の紹介でした(*^^*)
(コアな)映画好きさんにはぜひ観てほしい大好きな映画です(^^)見終わるとなんか幸せ気分に♪
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