劇場公開日 2014年4月12日

「Mr.Beanの大先輩」ぼくの伯父さん よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

1.0Mr.Beanの大先輩

2015年2月22日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

 ユロ氏は子供や下町の庶民の間では人気者なのだけれど、会社員やハイソぶった奥様方からは不興をかう人物。
 周囲の人物にはセリフが与えられているのにユロ氏にはセリフがない。Mr.ビーンだな。いや、こちらが半世紀も前の作品なのだから、ビーン氏が後輩ということになる。
 ここまで不器用な人、いや、ユロ氏の周りの人々も含めて、不器用な人々が生き辛いのはなぜだろうか?
 効率の良い労働力となるべく規格化された人々に、さらに効率の良い消費主体となることを要請される消費社会の萌芽が、一連のユロ氏シリーズの映画には描かれている。
 アルペル氏のモダンで無機質な邸宅の2階には丸い窓が2つ並んでいる。夜中にユロ氏がやむに止まれぬ事情で敷地に忍び込むと、不審に思ったアルペル夫妻が丸窓から一つずつ顔を覗かせる。これが大きな瞳のような動きをするのが非常に面白い。よほどこのアイデアが気に入ったのか、同様の丸窓を2つ空けたドアを、途中からガレージにも据えつけている。
 この映画は俳優の活躍もさることながら、犬たちの演技が素晴らしい。ゴダールの映画の犬が「パルム・ドッグ賞」を受賞したらしいけど、この犬たちにも与えらる資格は十分にある。

佐分 利信