「ディックらしくないが、まあいいかあ・・・」ペイチェック 消された記憶 Kadwaky悠さんの映画レビュー(感想・評価)
ディックらしくないが、まあいいかあ・・・
フィリップ・K・ディックというSF作家は独創的だ。そして映画的なのかもしれない。
ブレードランナー、トータルリーコール、マイノリティリポート・・・
彼の作品を基した映画は「バルジョーでいこう!」「クローン」以外の
日本公開作品は観ているが、実は原作はことごとく断念している。
いつか読書感想文を書こうと思うが、いまは映画評にとどめたい。
それで、ペイチェックだが、原作は同題の短編。映画の方は監督がジョン・ウー。
前回「ミッション・イン・ポッシブル2」での印象が悪かっただけに、
ちょっとドキドキである。それに彼がSF、それもディックをやるというのが
非常に不安をよぎっていた。
主演は「アルマゲドン」のベン・アフレック。
でも、あの頃に比べたらだいぶ老けたって感じ。
メイキングでC・グランドを意識して役作りをしたといってただけあって、結構似てた。
今回予備知識がなかったが、ヒロインがユマ・サーマン。
キルビルのイメージしかなかったが、なかなかアクションはよかった。
キルビル見たくなっちゃった(というか、この後本当にキルビルを借りてきてしまったのだ)。
それで、本題だが今回のお話はトータルリコールに似てるっちゃ似てるかな。
でも、あの深みはなかったね。とにかく謎解きに徹しているし、
謎が解けた後はなるほどねええ、で終わっちゃう。
ディックのいつものなんか妙にひっかる感じは今回はなかったね。
そういう意味では、きちんと娯楽作品としてまとめられていて作品自体はいいと思う。
ジョン・ウーのアクションもきちんとあるし、チェイスシーンにはちゃんとバイクも登場した
(M:I-2の時のようなむりやりのシーンではないのでご安心を)。
ただディック作品ならもっと違う膨らみがほしかったのは贅沢な不満だと思う。